2022年3月21日月曜日

映画 「伊賀忍法帖」

 1982年  日本。




この映画に関しては、昔からあんまり良い評判を滅多に聞かない。


『伊賀忍法帖』のタイトルでも、原作があの『魔界転生』と同じ山田風太郎ですもん。


マトモなアクションを楽しむような忍者活劇じゃないのだ。(相当グロい内容に、現代においては、ちとドン引きする)


オマケに、当時の角川映画の悪趣味な部分が出過ぎている感じだ。(角川映画といえば、横溝正史の金田一シリーズのように、首が●●●。今では美保純渡辺典子には、かなり汚点といえる作品かも)


私も最近の真田広之熱で、再度観直してみたが、評価は、やっぱり変わらず ……… あまり楽しめなかった。(『里見八犬伝』や『忍者武芸帖 百地三太夫』のように多少の《痛快さ》や《爽快さ》があればねぇ〜)


それでも、この映画に関しては別のエピソードがあるので、そこを書いておこうと思い、今回は取り上げた次第である。





で、この御方が出てくる。


皆さん、ご存知の有名な方、原田知世である。(まぁ、可愛らしいこと)


こんな可愛いい(≧∇≦)原田知世は、当時、熱烈な 真田広之の大フアン!♥ だったのだ。


「あ〜、憧れの真田広之様に会いたい〜!」


少女、原田知世が考えるのは寝ても覚めても、その事ばかり。(みんなフアンっておんなじ気持ちなのね)


とうとう中学3年生になった原田知世は、大胆にも行動にまで移してしまう。


なんと!自ら、《角川映画の新人募集》に応募してしまうのだ。


「グランプリが取れれば、憧れの真田広之と共演できる!毎日、真田広之の近くにいられる!」

ただ、それだけの理由で。(こんだけ愛される真田広之って、いったい …… 男冥利に尽きるだろうよ)



でも、ときに神様は残酷なモノである。



「今回のグランプリは渡辺典子さんに決定しました!!」


原田知世、大ショック!😭(ガビ〜ン!)


原田知世は結局、次点となり、審査員から特別賞が与えられたのだが、本人にしてみれば、

「んなこたぁ~、ハッキリ言ってど~でもいい」事なのだ。


かなり(ドヨヨ〜ン)落ち込んだはずの原田知世。


だが、それでも気持ちを切り替えて、立て直すことにする。


(この仕事を続けていれば、いつか真田広之様と共演できるかも …… )と。(今となっては、そんな日が来ないのを、我々は知ってるけどねぇ~(笑))


見事、グランプリに輝いた渡辺典子には、真田広之との共演、ヒロインの座が約束されていた。


それが、この映画『伊賀忍法帖』なのである。(これが渡辺典子のデビュー作なのだ)


とにかく、内容は冒頭に書いたように散々でも、ヒロイン役らしく渡辺典子は真田広之と終始イチャイチャしてる。(エンディングでは二人の長いキスシーンまである)



この映画を原田知世は、当時観ただろうか。


観ていたなら、きっとこんな気持ちだったのかも。


(あそこにいたのは、もしかしたら私だったのかもしれないのに ……… )



壁に爪をあてて、相当悔しがっていたのかも。(コレ、あくまでも私の勝手な想像ですので)



でもねぇ〜、新進女優のスタートとしては、この映画、渡辺典子にとってはラッキーだったのかしらん?(後年を知る自分としては、とても良いとは思えない)


最初からドギツイ映画に出てしまった渡辺典子の、次に与えられた役は、あの問題作の映画化『積み木くずし』である。(テレビ版の高部知子が例の事件で干されてしまった為、急遽、そのお鉢が渡辺典子にまわってきたのだ)


これまた、ドギツイ化粧に荒れた不良姿の渡辺典子に、アイドル的な人気が出るはずもない。



グランプリまでとった彼女に、角川側も「このままじゃ、いかんだろう …… 」と、やっと本腰を入れ始める。


等身大の役を与えようと、赤川次郎の原作映画をあてがって、主題歌を歌わせるシステムに切り替えるも、完全に出遅れた感じ。



その間、原田知世は『時をかける少女』のヒットで、薬師丸ひろ子の二番手になっていたのだから。


角川三人娘の序列は、薬師丸ひろ子原田知世渡辺典子の順番で、世間的には認知されていたはずである。



それにしても、この後に真田広之は薬師丸ひろ子とも共演している。(『里見八犬伝』や『病院へ行こう』でも)


こうして渡辺典子とも共演していて、唯一、共演していないのは、角川三人娘の中では原田知世だけなのだ。



こんなに真田広之を慕っていた原田知世なのに ……(トホホ可哀想)


そう考えると、真田広之も罪作りな男よのぉ~。(もう、今じゃ、とっととハリウッドに行ってしまったし)



原田知世は、この後、『早春物語』でオッサン林隆三相手にキスシーンがまわってくるのだが、「とてもイヤでした」と、どっかでコメントしてるのを聞いた覚えがある。(けっこう、根はハッキリした性格なのかも、原田知世って人も)



(あ〜、これが憧れの真田広之ならなぁ~ …… )

なんていう、原田知世の心の声が聞こえてきそうだ。



この『伊賀忍法帖』は、そんな二人の女優、原田知世渡辺典子の明暗を分けた映画として、記憶にとどめておくのもいいかもしれない。(映画は散々な出来でもね)


長々、お粗末さま。これにて。