1992年4~6月。
主人公は警視庁捜査一課の警部『佐々木武夫』。
そんな武夫に「これでもか!これでもか!」と襲いかかってくる、連続悲劇の物語である。
《武夫の悲劇 ①》
麻薬密輸の捜査中に、暴力団の放った凶弾に何発も撃たれる。(奇跡的に、なんとか命をとりとめるけど。でも普通なら死んでるよな?これ?!)
《武夫の悲劇 ②》
その後、武夫の銃が、暴力団によって勝手に使われてしまい、関係のない相手を射殺してしまう。
《武夫の悲劇 ③》
結果、武夫が殺したとして《誤射殺》扱い。(これ、この人のせい?)
《武夫の悲劇 ④》
命はとりとめたものの、この武夫の処分をどうすればいいか?
警察の上層部は「ん~ん……」と頭を悩ませて、「ええい!もう、死んだ事にしてしまえ!」と勝手に殉職扱い。(ろくな捜査もしないで、酷すぎる上層部)
《武夫の悲劇 ⑤》
その後、本人には内緒で、勝手に整形手術で顔を変えてしまい、心臓には遠隔操作でいつでも止める事が出来るという特殊な《ペースメーカー》を入れられてしまう。(もはや人権無視もいいところ)
《武夫の悲劇 ⑥》
「君は今日から《岩城丈二》と名乗り、発足した超法規委員会の為に働いてもらう!断った時は容赦なく心臓に入れたペースメーカーのスイッチを切らせてもらう。分かったな?!」と、アコギな脅しをする上層部。(これでも警察なの?)
非合法なやり方で、『悪を裁く』という、『超法規委員会』(闇の組織)の為に、無理矢理に働く事になった武夫。
こうして生まれ変わった佐々木武夫は『岩城丈二』(藤竜也)と名乗り、《裏刑事》を襲名するのであった……。
真面目なドラマとは、とても思えないほど、ハチャメチャな主人公の設定である。
まぁ、昔は、こんな風な刑事ドラマなんてのが数多く作られていたのだけど。(だからこそ、テレビが面白かった)
こんな悲劇まみれの主人公、
「さぞや、毎日が悲壮感でいっぱい。苦渋に満ちた顔をして、与えられる任務を嫌々遂行しなければならないんだろうなぁ~ ………」と観た事がない人は、想像するはず。
でも、全くそんな風にはならないので、ご安心を。
それは、演じるのが藤竜也だから。
ストイックにバーベルなんて持ち上げながら身体を黙々と鍛える『岩城丈二』(藤竜也)。
整形した顔は顔で、中々気に入っているようである。(そりゃ、そうだろうよ)
たま~に心臓の診察をする組織の女医『長谷香織』(財前直見)を口説いたりする余裕もある。
その香織なんて、丈二に対しては、
「あなたは私の作り上げた最高傑作よ」と、まるで人間扱いしないのだけど。(それでも飄々としていて、暇があれば口説き続ける藤竜也)
裏刑事仲間には、岩城をサポートする、西村和彦や山田雅人もいる。(この人たちの印象が薄くて、記憶が、ややボンヤリ。お色気担当の小林小夜子って人もいたっけ)
他の助っ人では、武夫の昔の知り合いで変わり者の『三枝(さえぐさ)』(近藤正臣)なんてのもいたりする。(ギャラの分だけしか働かない図々しい奴。「俺の仕事はここまで…」と言って、平気で途中退散する)
三枝の特技がカード・マジックで、トランプの達人。指に挟んだトランプを華麗に投げてもみせる。(お前は『キャッツ・アイ』か? (笑) )
そして、そんな裏刑事に、組織の指令を伝えるのがクールな美女『芹沢雅子』(戸川京子)なのだ。(ソバージュ・ヘアーの戸川京子を、今見ると、「あ~!バブリーな平成らしい髪形」と思っちゃう)
こんな面々が揃って、毎回毎回、非道な限りを尽くす犯罪者たちを成敗していく。
平成版仕事人みたいなのが、ドラマ『裏刑事』なのである。
なんで、今更、こんなマニアックなドラマを取りあげてみたのか?というと、ここ最近CMで流れている映画の宣伝をみて、突然、このドラマことを思い出したのだ。
藤原竜也と竹内涼真の『太陽は動かない』。
「心臓に爆弾を埋め込まれたエージェントが、組織の命令で繰り広げる大アクション映画」なんていう、(大袈裟な)謳い文句。
爆弾とペースメーカーの違いはあれど、何となく、この『裏刑事』に似かよった設定である。
オマケに、《藤原竜也》=《藤竜也》……名前も一字違いの二人。
いやがおうにも、この『裏刑事』を連想してしまうというものだ。
ただ、藤原竜也よりは、《渋さ》や《ダンディーさ》で、自分なら『裏刑事』の藤竜也さんの方に、なんとなく肩入れしてしまうかな~。(なんせオッサンなんで)
それにしても、こんな《渋い》雰囲気を漂わす俳優も、めっきり見なくなった。
これ、DVD化してくれないだろか?
毎回、ターゲットが変わる度に、『岩城丈二』(藤竜也)が、組織から渡される銃も、その都度変わるので、こんな所もワクワクさせて、面白いドラマでした。
星☆☆☆☆。