1954年 フランス・イタリア合作。
この映画、『現金に手を出すな』…………どうも『現金に体を張れ』(監督スタンリー・キューブリック)と、たま~に、ゴッチャになってしまっていて(似たような邦題で)、今日の今日まで観ずじまい。
いつも「どっちがどっちだったっけ?」ってな具合。
今回、意をけっして観たのだけど………う~ん、………何なのだろう?
この違和感は?
主演は、以前もとりあげた、ジャン・ギャバン。
初老のギャング、『マックス』(ジャン・ギャバン)が、ギャングを引退して過ごすために、5000万フランの金塊を、見事盗み出す。(映画では、既に盗んだ後で、全く盗むシーンもない)
でも、その秘密を、20年来の相棒である『リトン』(ルネ・ダリー)って男が、情婦で踊り子の『ジョジィ』(ジャンヌ・モロー)にペラペラ喋ってしまう。(これも説明だけで、このシーンも存在しない)
そして、このジョジィが《 金塊 》の事を、アンジェロに喋ってしまったから大変。(このシーンもない)
リトンはアンジェロたち一味に誘拐されて、人質に。
「リトンを返してほしければ、《金塊》を渡せ!」がアンジェロの要求だった。
マックスは、馬鹿なリトンを見捨てられない。
古い友人ピエロと共に、金塊を積んで引き渡し場所に向かうのだが………。
これが『現金に手を出すな』の大まかなストーリーなのだが…………
ここに書いてみて分かったが、こんな場面が、まるで、《見当たらない》のだ。
これが、この映画に感じた《違和感》。
まるで、わざと本筋に重要な場面を外しているとしか思えない。
代わりに、挿入されるのが、マックスたちの食事するシーンや、踊り子たちの踊り。
アンジェロにつけ狙われたマックスが、リトンと一緒に秘密の隠れ家で、またまた食事したり、お互いパジャマに着替えて、歯を磨いたりして(クチュクチュ、ペッ!)、そして就寝するシーン。(なんて行儀良いギャングなの(笑))
こんな、どうでもいいようなギャングの日常風景なのだ。
もちろん、ギャングゆえ、『マックス』(ジャン・ギャバン)の迫力ある場面もあるにはあるのだけど。(裏切ったジャンヌ・モローを往復ビンタしたり、機関銃乱射したりね)
「普通に撮ったんじゃ面白くない!平凡すぎる!」
これが、この映画を監督したジャック・ベッケルの意図だったのかねぇ~。
そうなら、あんまり上手くいってない気がする。
この演出が、60年以上経った今、我々現代人の目で観ると、逆に《おっそろしく退屈》な時間なのだ。
それに、場面場面をつなぐテンポの悪さも目についてしまう。
ギャングの親分として、ひとり、気をはくジャン・ギャバンだけが、まるで浮いた存在のように見えてしまった。
その他の登場人物たちは、いずれもおバカというか、愚鈍というのか……
中でも、この相棒の『リトン』って奴が、まるでダメダメ。
完全にポカ~ンとしたアホ面なのである。
観ていても、「こんなの助ける価値あるの?」って思ったくらいだ。(ゴメンナサイ、最初から最後まで、この相棒『リトン』が、頭カラッポにしか見えなくて、まるで同情する気にもなれなかった)
以前、blogであげたジャン・ギャバンの『レ・ミゼラブル』や『殺意の瞬間』には、ちょっとほど遠い出来かな~。
星☆☆。
※あ~そうそう、映画のタイトルは『現金に手を出すな』ですが、特別給付金はチャッカリ頂いたワタクシなのでございました(笑)