2020年6月13日土曜日

映画 「現金(げんなま)に手を出すな」

1954年 フランス・イタリア合作。





この映画、『現金に手を出すな』…………どうも『現金に体を張れ』(監督スタンリー・キューブリック)と、たま~に、ゴッチャになってしまっていて(似たような邦題で)、今日の今日まで観ずじまい。



いつも「どっちがどっちだったっけ?」ってな具合。



今回、意をけっして観たのだけど………う~ん、………何なのだろう?


この違和感は?


主演は、以前もとりあげた、ジャン・ギャバン





初老のギャング、『マックス』(ジャン・ギャバン)が、ギャングを引退して過ごすために、5000万フランの金塊を、見事盗み出す。(映画では、既に盗んだ後で、全く盗むシーンもない)


でも、その秘密を、20年来の相棒である『リトン』(ルネ・ダリー)って男が、情婦で踊り子の『ジョジィ』(ジャンヌ・モロー)にペラペラ喋ってしまう。(これも説明だけで、このシーンも存在しない)


でも、このジョジィは、別に、二股で、新進のギャング『アンジェロ』(リノ・ヴァンチュラ)とも、裏でデキてる。(これも、たまたま楽屋で二人がいるところに、マックスが遭遇するシーンだけ)



そして、このジョジィが《 金塊 》の事を、アンジェロに喋ってしまったから大変。(このシーンもない)



リトンはアンジェロたち一味に誘拐されて、人質に。


「リトンを返してほしければ、《金塊》を渡せ!」がアンジェロの要求だった。



マックスは、馬鹿なリトンを見捨てられない。



古い友人ピエロと共に、金塊を積んで引き渡し場所に向かうのだが………。






これが『現金に手を出すな』の大まかなストーリーなのだが…………



ここに書いてみて分かったが、こんな場面が、まるで、《見当たらない》のだ。



これが、この映画に感じた《違和感》。

まるで、わざと本筋に重要な場面を外しているとしか思えない。




代わりに、挿入されるのが、マックスたちの食事するシーンや、踊り子たちの踊り。


アンジェロにつけ狙われたマックスが、リトンと一緒に秘密の隠れ家で、またまた食事したり、お互いパジャマに着替えて、歯を磨いたりして(クチュクチュ、ペッ!)、そして就寝するシーン。(なんて行儀良いギャングなの(笑))




こんな、どうでもいいようなギャングの日常風景なのだ。




もちろん、ギャングゆえ、『マックス』(ジャン・ギャバン)の迫力ある場面もあるにはあるのだけど。(裏切ったジャンヌ・モローを往復ビンタしたり、機関銃乱射したりね)




「普通に撮ったんじゃ面白くない!平凡すぎる!」


これが、この映画を監督したジャック・ベッケルの意図だったのかねぇ~。





そうなら、あんまり上手くいってない気がする。


この演出が、60年以上経った今、我々現代人の目で観ると、逆に《おっそろしく退屈》な時間なのだ。




それに、場面場面をつなぐテンポの悪さも目についてしまう。



ギャングの親分として、ひとり、気をはくジャン・ギャバンだけが、まるで浮いた存在のように見えてしまった。




その他の登場人物たちは、いずれもおバカというか、愚鈍というのか……



中でも、この相棒の『リトン』って奴が、まるでダメダメ。


完全にポカ~ンとしたアホ面なのである。


観ていても、「こんなの助ける価値あるの?」って思ったくらいだ。(ゴメンナサイ、最初から最後まで、この相棒『リトン』が、頭カラッポにしか見えなくて、まるで同情する気にもなれなかった)



以前、blogであげたジャン・ギャバンの『レ・ミゼラブル』や『殺意の瞬間』には、ちょっとほど遠い出来かな~。


星☆☆。

※あ~そうそう、映画のタイトルは『現金に手を出すな』ですが、特別給付金はチャッカリ頂いたワタクシなのでございました(笑)