2018年12月1日土曜日

映画 「バートン・フィンク」

1991年 アメリカ。






監督・製作・脚本 / ジョエル&イーサン・コーエン。


コーエン兄弟の映画でも、一番好きな映画である。



カンヌ国際映画祭でパルム・ドール監督賞、主演男優賞を授賞しています。



1941年の世界大戦前、NYの新人作家『バートン・フィンク』(ジョン・タトゥーロ)が、ハリウッドに招かれて専属契約を結ぶのだが、プロレス映画(なんでプロレス??)の脚本を書くように強要される。


ホテルに缶詰めにされるのだが、全く書けないフィンクが、ある事件に巻き込まれて………ってなのが、大まかなストーリー。




この映画に関しては、あらすじをこまごま書く気はない。

出演者や雰囲気を、楽しむ映画だから。




順を追って個性的な出演者たちを紹介していきたいと思う。



●ジョン・タトゥーロ……主人公バートン・フィンク役。

セサミストリートのアーニーみたいな髪形をして、丸メガネに動物のバクのような鼻をもつ、インパクト大なお姿。

映画会社の社長にも、書きたくないプロレス映画の脚本を断れずに、気弱さゆえに押し付けられて、オドオド、ビクビクしてる。


脚本を書く為のホテルの部屋は、6階にあり、あまり陽も射さずに、薄暗く閑散としていて、壁には、女性が砂浜に座り海を眺めている絵が掛けられているだけ。

ハリウッドには、知り合いもいないし、ベットに寝転がれば、薄気味悪い天井の染みが、なおさら、バートンの気持ちを心細くするのだ。




●ジョン・グッドマン……バートンの部屋のそばに間借りして住んでる保険外交員のチャーリー。

でっぷりした巨漢で明るいチャーリーは、話好きで、脚本が進まないバートンをなにかと気にかけてくれる。

そんなチャーリーに、バートンも心を許し頼りにしていくのだが……。




●マイケル・ラーナー……映画会社の社長ジャック。

理不尽で立て板に水のように、喋り倒す。バートンなどは、その迫力に気圧されて何一つ言い返す事さえ、できない。


マイケル・ラーナーはこの『バートン・フィンク』でアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされた。




●スティーヴ・ブシェミ……ホテルマンのチェイト。

コーエン兄弟の作品の常連さんで、独特な印章を残す。

顔がホント独特で、蒼白な皮膚に頭蓋骨の骨がはっきり浮かぶし、デカイ目の周りやデカイ口周りの赤みが、不気味で、一度みたら忘れられない顔立ち。

出番は少ないが、いい味だしてますよ。




他にもアル中の先輩脚本家メイヒュー、その秘書兼愛人のオードリーなどクセ者たちが、揃う。




あと舞台のホテルが、とにかく不気味。

全然他の宿泊客見ないし、昼間も薄暗いし、突然、壁紙がベロ~ンと剥げ落ちるし。


バートンを巻き込んで、やがて残酷な事件もおこるのだが、なぜなのか?それほど残酷にみえない。


それどころか、変な可笑しみさえ感じるのは、出演者たちの個性なのか、このホテルの雰囲気なのか………。



なんだか幻想的にも見えてくるので、ホントに事件があったのか?と思えるくらいなのだ。



独特なこの映画は、批評家たちには受けたが、興収は赤字をだしてしまった。


でも、その後の『ファーゴ』や『オー!ブラザー』に続く片鱗を垣間見させてくれる。


それにしても、何年かぶりに観ても、やはり強烈な出演者と雰囲気を漂わせている。


不思議な余韻を残す映画だ。

星☆☆☆です。