1994年 アメリカ。
そんなに酷い映画かなぁ~
本国アメリカの評価と真逆の感想を持つのが、この映画『薔薇の素顔』(原題:Color of Night)。
ニューヨークは、高層ビルの一室で精神カウンセリングを開業していた『ビル・キャパ』(ブルース・ウィリス)。
ある日、目の前で自分の患者が衝動的に飛び降り自殺((゚Д゚;)ガーン!)。
そのショックで、自身も精神的なダメージを負ってしまう。
その瞬間から、全く《赤》い色が見えなくなってしまったキャパ。
(こんな風になっては分析医の仕事なんて、とても続けられそうもない……)
そんなキャパは、友人で同じ同業者のボブを頼ってロサンゼルスへとやって来た。
だが、ボブは、5人の患者をまとめての集団セラピー中。
「いや、俺は…」と遠慮するキャパを、ボブは「まぁ、まぁ……」と言いながら、強引に5人に引き合わせた。
セックス依存症の女性『ソンドラ』、
潔癖症で偏執気味の弁護士『クラーク』、
被害妄想の画家『ケイシー』、
妻子を強盗に殺害された『バック』、
そして自閉・失語・対人恐怖症の少年『リッチー』。
これらの年齢や性別、症状の違う患者たちを一斉に集めて、お互いに会話をさせたり、ディスカッションさせるようなやり方が、ボブ流の治療法なのである。
「今日、僕の患者たちを見ただろう?あれをどう思う?」
その夜、カウンセリングが終わって皆が引き揚げた後、ボブはキャパに精神科医としての意見を聞いてきた。
キャパは、重い口を開きはじめる。
「他は大した事はないが………あのリッチーという子は一番ヤバいかもな」
「そうか……」
ボブは言うか言わないか……何かをためらっていたが、意を決して、やっとキャパに話しはじめた。
「実は何者かに 命を狙われている。そして、それはあのカウンセリングのメンバーの誰かだと思っているのだが……」
「まさか…?!」
真面目な顔をして話すボブの言葉の重みを、少しでも和らげようと、キャパは半笑いしながら、軽い冗談にしようと試みた。
だが、それは冗談にはならず……
次の日、殺されているボブの 遺体 が発見されたのだった。
担当刑事の『マルティネス』に、昨夜のボブとの会話を話したキャパは、「是非、捜査に協力を!」と依頼される。
「このまま、あなたにはボブが怪しんでいた5人のカウンセリングを続けてほしい。そして、何か分かったら逐一私に連絡してほしいのだ」
「そんな……」
気が進まないキャパだったが、5人の患者たちも、「キャパに代わりにやってほしい」と全員一致で同意する。
(なんだか、大変な事になってきたぞ……)
広大なボブの邸宅に留まりながら、渋々カウンセリングをするキャパ。
そんな日々が続く中、ある日、キャパの運転する車に、後ろから(ドーン!)衝突してきた車が。
(なんだ?このヤロー……)と思うキャパだったが、振り返ると、そこに居たのはセクシー美女。
「ごめんなさい~」の声に、キャパの目尻も一瞬で垂れ下がる。
こうして、謎の女性『ローズ』(ジェーン・マーチ)とお近づきになったキャパは、どんどん逢瀬を重ねていくのだが ………
この映画は公開当初、叩かれた!叩かれた!
「こんなに最低な映画はない!」
なんて言われて、もうゴールデン・ラズベリー賞(最低映画賞)ノミネートの嵐。(からくも作品賞だけの受賞だったが、主演、助演、脚本、監督など全ての分野でノミネートされた)
監督したリチャード・ラッシュは、これ以降、映画を撮らせてもらえない、までに追い込まれる。
何が?アメリカ映画界を、ここまで大騒ぎにさせたのか?!
もう、それはひとえに、ブルース・ウィリスとジェーン・マーチの●●●シーンに他ならないのである。
もう、「これでもか!これでもか!」と頻繁に出てくる二人のシーン。
野外プールで、シャワールームで、場所を変えて …(よ~やるよ)
『ダイ・ハード』シリーズでアクション俳優としての地位を得ていたブルース・ウィリスだったのだけど、イメージ・チェンジを図りたかったのかな?…
とにかく《生々しさ》の方が、打ち勝ってしまって、一部の人たちには嫌悪されてしまう。(これ以降の映画で、ブルース・ウィリスのこんなシーンは全く皆無になる)
ジェーン・マーチの少女に近いビジュアルと、中年のブルース・ウィリスの対比が、かなり露骨に嫌がられたのかもね。(清廉潔白な方々には)
日本でも遠い昔にビデオになり、DVDは出る事は出たが、それっきり。
今では、パタリ!と、その姿を見かけなくなってしまった『薔薇の素顔』なのである。(古いDVDがけっこう高額で売り買いされてます)
確かに、こんな散々な『薔薇の素顔』なんだけど ………
でも当時、私、この映画を薦められてビデオで観たのだけど、この《トリック》を見破れなくて、逆にけっこう感心してしまいましたよ。
あんまり詳しくは書けないが、
「えっ?《この人》が本当は《あの人》だったの?!」って具合で、終盤で明かされる真相に心底ビックリした記憶がある。
まぁ、観ていない人には、「何のこっちゃ?」で、まるで分からないだろうけども。
ある意味、これも立派な《どんでん返し映画》なのである。(ゆえに詳しいネタバレが出来ない。う~ん、じれったい!)
だいたいが、この手の映画ばかりを槍玉にあげて、最低映画としてしまう《ゴールデン・ラズベリー賞》の選考も、いかがなものだろうか。
ゴールデン・ラズベリー賞を受賞した作品の中には、けっこう《面白い》っていう映画が案外隠れているものである。
そのうちDVDの再発もあるやもしれぬし、出れば出たで、もう一度観てみたい記憶に残る映画ではある。
星☆☆☆。(けっして、《アレ》目的だけではございませんので、ご理解下さいませ (笑) )