《①の続き》
《4話目》
金持ち夫婦の買い物(宝石店での宝石選び)に付き合った妻の友人である『フランソワーズ』(フランソワーズ・アルヌール)。
煌めく輝きに目を奪われながらも……(こんなのは無理)と羨ましさを隠して、半端諦め顔。
彼女の夫は貧乏劇作家、でも二人の間には、ちゃんと愛がある。
(それで満足しなくちゃ…)
そんな気持ちを知ってか知らずか、富豪で友人の夫『フィリップ』(メル・ファーラー)は、フランソワーズにモーションをかけてきた。(妻の友人なのに)
フランソワーズが目を輝かせていた、あのダイヤのネックレスをプレゼントまでして……。
「こんなの付けられないわ!家で夫の前で、これを付けるなんて……」
そう言いながらも、フランソワーズは鏡に映る、宝石を首にかけた自分の姿から目が離せない様子。
そして、
(何とか自然に、この宝石を手に入れた事にして、夫の目の前でも、このネックレスを首にかけられないかしら……)
宝石の魔力がフランソワーズの貞節を、とうとう狂わせてしまう。
いつしか懸命に策を練るフランソワーズなのだが……。
あのメル・ファーラーが出演してる。
実生活でも5回結婚している彼は、この映画のように、実際もそれを地でいく生粋のプレイボーイである。(4度目の妻がオードリー・ヘプバーンなのは有名)
何でこんなにモテるんだろうねぇ~(あんまりハンサムそうにも見えないんだけど)
やっぱり、女性に対してマメなのか、気が利いてるのか。
男は顔じゃない!ってメル・ファーラーを見かけるといつも思ってしまうのである。(失礼だけど)
そして、フランソワーズ・アルヌール。
彼女を観たのは、この映画が初めてだったが、その噂は昔から知っていた。
日本人に愛されたフランソワーズ。
石ノ森章太郎の『サイボーグ009』に出てくる003/フランソワーズ・アルヌール(同名)は、この人の名前から、そのまんま命名されたのは有名な話である。
何だか、華奢でホッソリしていて、首も細くて、オードリー・ヘプバーンにも似たような体つきの彼女。
オードリーと同じように、あまり性を感じさせない雰囲気は、当時の日本人にも、すんなり受け入れやすかったのかもね。(なかなか可愛い人ですよ)
《5話目》
寂れた寒村の道をぶらりとやって来た男(フェルナンデル)。
ポツンとある一軒家の側まで来て、窓をそーっと覗くと、車椅子に座った老人が「失せろ!」と怒鳴り付けた。
その様子をドア陰からじっと見ている少女。
男が笑いかけると、少女マリーもニコッと笑った。
じい様は車椅子、ばあ様は寝たきり生活。
両親は羊飼いの仕事で年中留守。
幼いマリーが、ばあ様の介護をする日々だったのだ。
「おじさん誰なの?」
「私? 私は《神》さ」
喜ぶマリーは、男《神様》を、早速、家の中へと連れてきた。
だが、当然、寝たきりのばあ様は男の言葉を信じるはずもなく……
「さっさと出ておいき!! この浮浪者め……何が神様だ!神なら何か奇跡をおこしてごらん!!」と荒い息で怒鳴りまくる。
そんなばあ様の剣幕にも、男はどこ吹く風。
落ち着き払って、「いいでしょう……分かりました」とあっさり言ってのけるのだが……。
このオムニバス映画でも、私の一番のお気に入りは、この1本かも。
この短い話のクライマックスには、捻りの利いた《どんでん返し》が待ち構えている。
主役の男《神》を演じるのは、デュヴィヴィエ監督お気に入りの俳優フェルナンデル。
デュヴィヴィエ作品では、名作『舞踏会の手帖』や『ドン・カミロ』シリーズに出演している。
この人の顔も、面長で特徴的で、1度見たら忘れられないくらいのインパクト。
この話の中では、「ロバに似ている顔」なんて事も言わせている。(いいのか?ちょっと可哀想な気もするが)
さぁ、こんなロバみたいな男に、はたして奇跡はおこせるのか?!(本当に失礼でごめんなさい (笑) )
淡々と話は進みながらも、仰天のオチが待っている……。
取りあえず②はここまで。
まさか、書きはじめてみて、こんなに長くなるとは。
私にしては、今までで最長の③にまで、とうとうなってしまいました。(もう、こうなったら最後までキチンと書いてやる! どうぞ、もうしばらく我慢してお付き合いください)
次回、とうとう最終回。
そして③へと続くのであ~る。