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2019年6月20日木曜日

映画 「未来惑星ザルドス」

1974年 イギリス。






2293年の、遠い未来。





今日も巨大な石像が、暗雲がながれる上空を、どこからともなく飛んでやってきた。


そして、それは大地にドスン!と音をたてて着地する。



目をカッと見開き、口を大きく開いた不気味な石像。(巨大なダルマみたいな顔)


『エクスターミネーター』と呼ばれる集団たちは、奴隷から収穫した農作物を持ち寄って、石像をぐるりと囲むように待ちかまえていた。


すると、石像は、いきなり口から大量の武器を吐き出した。


何千何万の数のピストルやライフルが、石像から雨が降るように吐き出される。


エクスターミネーターたちの仕事は、農作物の収穫だけでなく、反抗する奴隷たちの抹殺もあるのだ。




「皆よ、受けとるがいい!これを使って、増えすぎた『獣人』(奴隷)たちを殺すのだ!」




石像の名は『ザルドス』。


ザルドス!ザルドス!

歓喜の声をあげて叫ぶエクスターミネーターたち。





エクスターミネーターたちは、武器と引き換えに、ザルドスの口の中に大量の穀物や農作物を投げ入れた。


その時、一人の男が、こっそりと石像の中に紛れ込んで侵入した。


男の名は、『ゼッド』(ショーン・コネリー)。

ゼッドを乗せた石像ザルドスは、再び高く浮上すると、どこかへ向かいだした。



(いったいどこへ行くんだろう …… )



ゼッドは、しばらくして穀物から這い出ると、石像の中を探検し始めた。



その時、石像の物陰から一人の男が現れた。


反射的に手に持っていた銃で撃ち抜くゼッド。



男は胸を抑えながら、

「なぜ……私を撃った?、お前はきっと後悔するぞ…… 」と息絶え絶えに呟く。

そして、石像の口から男は、ゆっくりと下界に向けて落ちていった。



戸惑うゼッド。

ゼッドを乗せた石像は、雲をぬけると、緑豊かな楽園に降り立った。


そこは不老不死の楽園『ボルテックス』……





冒頭、こんな出だしを書けば、この後、さぞやハラハラする冒険や戦いが待っていると思うだろうが、期待なさるな。


全くそうはならない、これはトンデモなくシュールな映画なのである。



監督は『脱出』などで知られるジョン・プアマン


この映画は、SF映画にも関わらず、わずか100万ドルの低予算で作られた。


そして、主演のショーン・コネリーのギャラが20万ドル。

これは100万ドルとは別に、ブアマン監督が自費で捻出したそうな。



そこまでして、この映画に命をかけていたのかねぇ~、プアマン監督。



ちょうど、007シリーズが終わり、この時期ショーン・コネリーもよっぽど仕事がなくて暇だったんだろうか………(何でもいいから仕事をくれぇ~!ギブ・ミー、仕事!って気分だったのか)





そうでなければ、こんなヘンテコな格好をさせられる映画なんて、20万ドルでも出るはずがない。



このショーン・コネリー扮するゼッドの格好が、なんてったってスゴイのだ。



着ているものといえば、素っ裸に赤いフンドシ一丁。


ゆえに、あのボーボーと栄えている草むらのような胸毛やヘソ毛が、始終あらわになっているのだ。



それに黒いSM嬢のようなロングブーツ。


口髭は、馬の蹄鉄のような形にきりそえられている。

とどめは、長いおさげ髪のかつら。



恥も何もかもかなぐり捨てて、仮装もここまでやりきれば、もう立派なもんである。



このお姿で、映画の冒頭から最後まで、あっちブラブラ、こっちブラブラしているショーン・コネリー。






こんな格好の男が、平和な国『ボルテックス』に降りたったから、さぁ、大変!


お前はいったい何者なの?どこから来たの?!

すぐに不審者扱いされて捕らえられてしまう。(そりゃ、そうだろ!)



『ボルテックス』に住むエターナル人には、一種の超能力が備わっているのだろうか……

こんなゴツいショーン・コネリーを簡単に眠らしてしまったり、テレパシーで他の者たちと会話したりもする。




変な部屋に連れてこられて、そんな場所に寝かされているゼッド(コネリー)



「この男の記憶を探ってみましょう」


エターナル人『メイ』という女性は、ゼッドに呼び掛けながら、過去の記憶を呼び戻させる。


すると周りのスクリーンに、ゼッドのこれまでの闘う姿が映像として映し出された。



「こんなのは、どうでもいいのよ!お前がどうやって、ここに来たのかを知りたいのよ!」

だが、肝心の映像は映し出されない。



そこへ、「殺してしまいましょう」と言いながら別の女性がやってきた。


ヒラヒラ、透け透け衣装を着た『コンスエラ』(シャーロット・ランプリング)という女性である。(こんなヘンテコ映画に、またもやフランスの名女優ランプリングまでもが……(゚д゚) …)


「ダメよ」とメイ。

「じゃ、投票で決めましょうよ」

テレパシーで、他のエターナル人に交信しながら、奇妙な多数決をとりはじめる二人。


すると、多数決の結果、なんとかゼッドの命は3週間だけ延長される事になった。





そして、今度はなぜか?

ドスケベな女たちに囲まれながら、ゼッドの 興奮度チェックが始まる。(コレに何の意味があるのか?)



スクリーンに男根の形が映し出され、男性が勃起するメカニズムが詳しく解説される。

それを熱心に恍惚とした表情で聴き入る女性たち。(痴女?(笑))



「この男の興奮具合を検証したいわ」とメイ。


次から次に、スクリーンに全裸の女性の姿が映し出される。



それに無反応で、まるで知らん顔のゼッド。


「おかしいわね、全然興奮しないわね」とメイ。(いったい、なんやねん。この実験 (笑) )



そこへ再び、先程のコンスエラが現れた。


「あら、この男、あなたに対して興奮しだしたわよ」と、ゼッドの変化する下半身を見つめながら、メイが喜びだした。



困惑顔で、その場をそそくさと立ち去っていくコンスエラなのであった ………




本当に、こうして書き出しながらもヘンテコリンな映画である。



SFというジャンルを借りてきて、変態映画を作りたかったのかしら?プアマン監督は!?




あまりにもシュールさに、公開当時、観客たちも何がやりたいのか全く意味が理解できず、皆が首をかしげたという。



この後も、このボルテックスのヘンテコな習慣や決まり事などに、まるで『不思議の国のアリス』の世界に迷いこんだような気分にさせられてしまう。



ただ、この映画では、アリスが毛むくじゃらの中年ショーン・コネリーなのだけど。(笑)





そんな映画『ザルドス』であるが、DVDではプアマン監督の詳しい解説つきである。


いちいち、馬鹿みたいな場面を丁寧に解説してくれるプアマン監督。(懸命に話せば話すほど、ドツボにハマっていくような気もするがなぁ~)



イギリス人は、たま~に、こんな訳の分からない映画を撮るものである。




とにかく胸毛ボーボー、ヘソ毛ボーボーのショーン・コネリーの頑張りだけに星☆☆である。


※(プアマン監督の一生懸命な解説を聞いても、この印象しか残らない映画なので、観る方は、どうぞ、お覚悟くださいませ)


にしても、本当にスゲー格好だな~、オイ!