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2019年6月18日火曜日

映画 「マンディンゴ」

1975年 アメリカ。








その昔、『ルーツ』というドラマがあったのを知っているだろうか?



奴隷制度の時代に産まれた、黒人クンタ・キンテの波瀾万丈の物語。


イギリス人に誘拐され、奴隷として別の名前を与えられ虐げられながらも、決して誇りを忘れず、その不屈の精神は代替わりしても、子孫たちへ脈々と続いていく ……



本国アメリカで放送されるやいなや、衝撃的な内容は、たちまちセンセーションを巻き起こした。


そうして世界中で放送されると、どの国でも高視聴率をたたきだす。



かくいう自分も、このドラマは、リアルタイムで観ていた世代であり、あまりの白人たちの横暴さに、目をそむけたくなるくらいだった。


脱走を繰り返したクンタ・キンテが、これ以上、逃げ出さないように足の指を切断されるシーンなどは、テレビを観ていて「ギャアァーッ!!」っと叫ぶほどだった。(画面を通じても、痛さが伝わってくるとは、この事か …… )



この『ルーツ』が1977年の放送。




それより前に、この映画は『マンディンゴ』は、とっくに公開されている。





同じように黒人奴隷の問題を扱っていても、こちらは、もう『ルーツ』なんて比べ物にならないくらい酷い有り様である。



この映画に、ただ唖然とさせられる!😱






19世紀、ルイジアナ州にある広大な土地を所有する当主『マクスウェル』(ジェームズ・メイソン)。


マクスウェルは、その土地で黒人たちを奴隷として使って農園を営んでいた。


綿や農作物の為に、懸命に働く黒人たち。


男も女も黒人ならば白人様には絶対服従なのは当たり前。


使う方も使われる方も、それに疑念すら持たないのである。



だが、黒人たちの御奉仕は、これだけで終わらない。



夜になれば女たちは、マクスウェルのひとり息子である『ハモンド』(ペリー・キング)の 性処理係 を毎晩つとめなければならないのだ。


その為、お屋敷には、14歳以上で黒人の処女などは全くいなかったのだった。




こう書くと、女たちには、さぞや地獄の日々に思えるだろうが、このハモンドは見た目、超ハンサムさん



白人男に奉仕するのでも、黒人女たちはあまり抵抗なく身を捧げていたのである。


「あ~ん、ハモンド様、アハァ~ン♥️」(ようやるわ。それにしても毎晩女たちを満足させるハモンド様は絶倫王)




だがハモンドの性根は、やはり冷徹な父親マクスウェルの血を引いていて腐りきってる。


黒人など、同じ《人間》とは微塵も思っていないのだ。(ただの性欲の捌け口くらいの鬼畜感覚である)



もし仮に、女たちが妊娠してしまい、ハモンドの子供が産まれても、即座に売りに出される。



黒人ならば買ったり、売ったりすればいいだけなのだ。

そう、この屋敷は《 奴隷売買牧場 》でもあったのである。





ある日、黒人男『メム』が、こっそり本を読んでいた。


深夜、父親の寝室に入ってくるなり告げ口するハモンド。(本当にイヤな奴)


「パパ、あいつ、隠れて字を読んでいたよ!黒人のくせに字が読めるんだ!!」



それに父親マクスウェルが即反応する。

「な~にぃ~!」(ここはクールポコ調で)


「黒人ごときが生意気な!昔は目玉をくりぬいてやったくらいだが ……折檻してやるんだ! そうだ、尻叩きがいい!怪我をすると作業ができなくなるからな …… そのかわり、尻には唐辛子とレモン、それに塩をたっぷり刷り込んでやれ!ヒィー!ヒィー!言わせてやるんだ!!」(ジェームズ・メイソンよ、トホホ …… (笑))


「わかったよ、パパ」(この父親にして、この息子あり)



次の日、馬小屋で全裸にさせられたメム。


黒い素肌に縄が食い込むくらい、ギュウギュウに縛り上げられると、逆さ釣りにされて引き上げられた。


「ご主人様、お許しください!」

「いいか?黒人が、もう本なんて読むんじゃないぞ!」


別の黒人奴隷に命じて、角材で尻叩きをさせるハモンド。


「打て!!」

「バチーンッ!」の音とともに、何度も「ギャアァーッ!」の悲鳴。 


今日も黒人奴隷たちの涙が流されてゆく ……





こんなのは、この映画に限っては、まだ序の口。


この後も、こんなクズ・エピソードはジャンジャンと出てきます。




ある日、奴隷市場で《マンディンゴ》と呼ばれる筋骨粒々の体格の黒人『ミード』(ケン・ノートン)を競り落としたハモンド。


ハモンドは、黒人同士の拳闘をさせる為にミードを買ったのだ。



ミードはご主人様ハモンドの期待に応えて、どんな試合でも相手を打ち負かしてゆく。(負けた方の黒人は縛り首なのだ。もう黒人同士の殴り合いでも、命がけである)



そんなミードの勇姿を観て、我が手柄のように悦に入っているハモンド。


喜び喝采する白人たち。(書き出しながら、ドンドン胸糞が悪くなってきた)




↑(お〜、このババァ、勝手にドコ握っとんねん!(笑))




父親マクスウェルが突然こんなことを言い出した。

「わしは生きているうちに孫がみたいんじゃーーー!」

(ハモンドには、既に黒人女たちに産ませた子が何人もいるのにね)




「やれやれ …… 」と思いながらも、ハモンドは父親の夢を叶えてやる為、白人女性『ブランチ』(スーザン・ジョージ)と、あっさり結婚した。



でも、このブランチが《処女でない》事が分かると、途端にハモンドは手のひら返し。


猛烈に腹を立てて、放ったらかしにし始めたのだ。(本当に最低な奴である)



その代わりとして、自分の性欲の捌け口を、またもや黒人女『エレン』へ向けていくハモンド。(相手にされない妻ブランチはイライラを募らせてゆく)



そうして、とうとうエレンがハモンドの子供を身籠ってしまった。



これまで本妻のプライドを傷つけられてきたブランチの怒りが、ここへきて大爆発!(キィーッ!!)



「死ねぇ!この売女!!」

むごたらしくエレンを鞭打って流産させてしまうのだ。(このブランチも大概スゴい性格だ)




ブランチの怒りは、こんなものでは収まらず、ハモンドにも復讐を開始する。


今度は黒人奴隷ミードを誘惑して、一線を越えてしまうのだ。(女だって男並みに性欲はあるし)



でも、それがハモンドにバレてしまい、もはやドロ沼のクライマックス。


俺の奴隷の分際で、俺の妻に手を出しやがってぇ~!



ミードが白人妻ブランチを拒めるはずもないし、ミードは全然悪くない。


なのに、この理不尽な怒りの矛先は、黒人というだけで一斉にミードに向けられるのだ。




ハモンドは、ミードを殺そうと追いかけ回す。(かつて、ここまで傲慢な主人公がいただろうか)

(「どのツラ下げてそんなセリフが吐けるんだー!」と全世界でハモンドの今までの所業にツッコミたくなる)




セックスと人種差別が入り交じって、まさに魑魅魍魎の地獄絵図。



当然のように映画はトンデモない結末をむかえる。(↓コレは、もはや人間の所業じゃないだろ。ヒィーーーーッ!😵‍💫





こんなトンデモ映画であるが、公開された1975年当時は予想外に大ヒットしたのだという。



でも、ヒットとは真逆で、悪評、酷評の嵐。(そりゃそうだろうよ)



主な感想はやっぱりこんな感じ。

クズ映画」、「子供に見せられない最低映画」、「下品などなど ……



クェンティン・タランティーノなどの著名人も「史上最悪の映画」として太鼓判?を推してくれております。



まるで否定出来ないわ〜



かくいう自分も、見終わった後、一瞬、クラクラするくらいであった。(これでも日本発売のDVDでは、SEXシーンと暴力シーンをだいぶ配慮してカットしているのだという。ノーカット版は、どれだけエグいのやら)



まぁ、とにかく史上稀な問題作なのは間違いない。



それにしても、ペリー・キングジェームズ・メイソンは、この映画に出演して、その後、大丈夫だったのかしらん?



フィクションの境界線をこえて、全黒人たちの猛烈な怒りが彼らに向けられたのなら、命がけの出演だったんじゃなかったのか。



単に暴言や、石を投げられただけじゃ済まなかったかもしれない。(当時は殺害予告もあったかも)



この映画に出て、誰か得した者はいたのかねぇ〜?



と、問いかけておいて、私は、ここらで(スタコラ)逃げておきます(笑)