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2019年6月23日日曜日

映画 「007 ダイヤモンドは永遠に」

1971年 イギリス。







ガイ・ハミルトン監督の『レモ / 第1の挑戦』を書いて、ショーン・コネリーの事を書いたら、次は、当然、「007」だろう。




傑作と呼ばれてる『ロシアより愛をこめて』?

第1作目の『ドクターノオ』?

それとも『ゴールドフィンガー』?



あんまり、それらには食指は動かず …… 



ショーン・コネリーの007ものでは、この『ダイヤモンドは永遠に』が一番好きかもしれない。




いったんボンド役を降りたショーン・コネリーが復帰。



前作のジョージ・レーゼンビーがコケてしまい、再度白羽の矢が立った。


破格のギャラを受け取ってボンドに返り咲き大成功を収める。




再び、007人気を復活させたのだった。
(このジョージ・レーゼンビー、スタッフ受けも最悪だったらしい。撮影中も散々、威張り散らしていて……、そのわりには、興行成績もダメダメ。案の定、映画界から消え去っていった。)


戻ってきたボンドは、もちろん敵に対しての非情さは、以前と変わらないのだが。



ん?どこか前と違ってみえるぞ!






日本やカイロに飛び、『ジェームス・ボンド』(ショーン・コネリー)は、やっと宿敵『プロフェルド』(チャールズ・グレイ)の居所をつきとめた。


プロフェルドは、自身の影武者を作り上げるために、秘密の手術室で製造中。


そこには、何故か?泥の沼や、グツグツと煮たたる沼なんてのもある。(ほんとに何故?こんな変な場所で、わざわざ整形するんだろう。今、考えてもおかしい)



そこに潜入したボンド。


泥の沼からピストルで狙う敵には、さらに泥を流して、簡単に溺れ死にさせる。(泥の中に隠れて待ち伏せしてるなんて、アンポンタンな敵である)



そこへ、

「待ってたよ、ボンド君」

二人の部下を従えて、プロフェルドが、颯爽と登場。



部下は、ピストルでボンドに照準を合わせている。(さっさと撃てばいいのに、何故かノンビリしている部下たち)


ボンドは仕方なく両手を上げて、やれやれ、のポーズ。


プロフェルドの部下が、ボンドから武器を取り上げようと、懐を探ると、

「ギャアァーッ!」の悲鳴。

鋭利な刃のついたネズミ取りに、手を挟まれてのたうち回りだした。


その隙に、ボンドは手術台のメスを手に取ると、手裏剣の如く「えい!、やぁ!」と、次々投げて、相手を絶命させる。



そして、残ったプロフェルドを、手術台にグルグル巻きに縛り上げると、ベットごと、グツグツと煮たっている沼へ、容赦なく投げ込んだのだった。


「地獄の釜へ、ようこそ!」


ボンドの決めセリフと共に、憐れプロフェルドは、沼深く沈んでいったのだった……。







と、ここまでが、最初のオープニング。



この後、シャーリー・バッシーの高らかな声で、主題歌が流れるのだが、こうやって文章におこしても、今更ながら、「ぷっ!」と吹き出しそうになるくらい変な映画である。



でも、このバカバカしい珍妙さこそが、007映画なのだ。




ショーン・コネリーも第1作目から、それは充分に分かって演じていた。



でも、まだ、まだ、無名の新人。



文句なんか言えるはずもない。
(やりたくなくても、やらねばなるまい!)



海から出てくる陳腐な模型、火を吹く怪物に、(バカバカしいと思いながらも)逃げまどいながら演じた『ドクターノオ』。



(もう、これで終わりだろうよ ……)とも思っていても、映画は予期せぬヒットになって続編が続けざまに作られていく。



2作目、3作目、4作目、5作目、と続いていき ……



(俺はいつまで、こんなアホなシリーズ続けているんだ…)と、やりきれない日々。




それは、映画を観ている我々にも、充分すぎるほど伝わってきた。




特に日本で撮影した『007は2度死ぬ』なんてのは、馬鹿馬鹿しさの極致だったろう。


漁師の格好をさせられたり、無理矢理、日本人に変装なんてのをさせられたり。(我々、日本人が観ても、この映画の出来は??とアタマをひねりたくなる。でも舞台が日本なんで贔屓目に見てしまうけど)





そして、間をおいての復帰。



『ダイヤモンドは永遠に』


でも、「ショーン・コネリーが、いつもより楽しそうだぞ!」って思ったのが、この映画の印象だったのだ。



高額なギャラでふっ切れたのか、このバカバカしさを、いつもよりも、ノリノリで楽しんでいるようにも見える。



ボンドガールのティファニー役、ジル・セント・ジョンは、これまでのボンドガールと違い、コケテッシュで小悪魔的。



セクシーだけど、でも何だか、ドジで可愛いげのある女優さんだ。



いつも非情さを売りにしているボンドとティファニーには、それまで演じていた相手役のボンドガールたちとは、あきらかに違って見えて、二人の間は壁1枚が取っ払われているようにも見える。



撮影でも、案外、この二人ウマがあっていたんじゃなかろうか。(プライベートでも付き合っていた噂もある)




映画の後半、全ての敵を倒し、豪華客船の中、夜空を見上げながら、ティファニーが言う。


「ジェームス、あのダイヤ、何とか取り戻せないものかしら?」


ボンドはティファニーを抱き寄せて、二人ニッコリ。

笑いながら星を見つめる二人の姿で、映画は幕となる。



こんな幸せそうなボンドの顔を見たことなかった。





有終の美を飾った、ショーン・コネリー版ボンド映画としては、この映画は自分の中では、やはり特別な位置つけなのである。


星☆☆☆☆。





それにしても、やっと、007シリーズから、解放されたコネリー。



でも、まだ、彼は、この時知らなかったのだ………



それより、さらにヘンテコな映画、『未来惑星ザルドス』に、数年後、巡り会う運命を(笑)。




※詳しくはブログ内『未来惑星ザルドス』参照くださいませ。