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2019年2月3日日曜日

映画 「ペネロピ」

2008年 イギリス、アメリカ合作。






名家ウィルハーン家の当主ラルフは、使用人のクララを、ほんの火遊びで妊娠させてしまった。


だが、ラルフにしたら相手は只の使用人の娘。


罪の意識さえ無く、別の女性と結婚してしまう。


悲観したクララは身籠ったまま、可哀想に自殺してしまった。





だが、不倫の代償は高くつく。



これに怒ったのは、当然クララの母親。


しかも!なんと!彼女は『魔女』だったのだ。




「次にウィルハーン家に産まれてくる娘は《豚の顔》になれ!」と呪いまでかけてしまった。




ただし、呪いを解くには彼女を本当に愛する事ができる名家との結婚だけ………こんな条件をつけて。(変わった呪いだこと)




だが、魔女の呪いも、そうそう巧くいかない。


この後にウィルハーン家に産まれてくる子は、幾代も全て男の子ばかりだったのだ。(この辺り、魔女にとっては、「キーッ、なんでじゃ~?!」の心境だろう)





そして、時は流れて ―



『フランクリン・ウィルハーン』と『キャロル』(キャサリン・オハラ)の間に、待望の娘が誕生したのだ。



豚の耳に豚の鼻をもった娘が。(魔女も、やっと「ヤッター!」の歓喜の声)




産まれた我が子を見て、「ギャアアーーーーッ!」と卒倒してしまうキャロル。




整形手術も医者に、「不可」と言われて途方にくれる両親。

だが、どんな子でも自分が産んだ子で可愛くないわけがない。





その日から、母キャロルの、命がけの闘いの日々が始まるのだった。




外敵から、娘のペネロピを守る為には何だってする。



名家の娘の写真を一目でも撮ろうと、マスコミは常に待ち構えているのだから。


化粧棚に、こっそり隠れるほど小さな『レモン』なんてのがいるくらいなのだから本当に油断できない。




「こうなりゃ、もう、娘が死んだ事にするしかない」と嘘の葬式まであげてしまう始末。



こうして、幼いペネロピは家から一歩も出られず、外界から完全に遮断されて成長していった。




そして、18歳を過ぎると、秘書のワンダが雇われて本格的に花婿探しが始まる。




何人も何人も…。



だが、『ペネロピ』(クリスティーナ・リッチ)の顔を見た途端に、


豚人間だぁぁーーー!!

と叫びながら逃げていく。



それを執事のジェイクが、全速力で追いかけて連れ戻し「他言無用」の誓約書を書かせる。





今日も、2部屋の間にマジックミラーの鏡をはさんでお見合いが始まった。


名家の息子『エドワード』(サイモン・ウッズ)が、部屋に通される。


しばらくは順調だが、隣の部屋からペネロピがヒョッコリ現れると、いつものように「豚人間だぁぁぁー!」と叫びながら逃げていった。



ペネロピは(またか……)と思い、もう慣れっこになっているのか、とっとと引き揚げる。



執事のジェイクが全速力で追いかけるが、思ったより、このエドワードの逃げ足が速くて取り逃がしてしまった。


「ハァハァ……奥さま、すみません」


ジェイクの言葉に、(キィーーッ!)ヒステリーをおこしたキャロルは、秘書のワンダを連れて飛び出すようにエドワード捕獲に向かった。




だが、時、既に遅く。

エドワードは一目散に、あろうことか警察署へかけ込んでいたのだった。



「刑事さん!あのウィルハーン家の豚人間を、即刻逮捕してください!!」


「あんた、一体何言ってんの?その人が何か罪でも犯したの?」


「だって顔が、豚人間なんですよ!!」


「顔が、まずくて逮捕するなら、ニューヨーク中の人を逮捕せにゃならんよ」(おっしゃる通り)



変人扱いされたのは、むしろエドワードで、「おい!こいつを一晩留置しておけ!」と引っ張られていった。



だが、それを、あの記者である『レモン』が嗅ぎつけた。


「やっぱり!娘が死んだなんてウソなんだ!」


恨みがあるレモンは、エドワードから事情を聞くと、ギャンブル依存の売れないピアニスト、『ジョニー』(ジェイムズ・マカヴォイ)をスパイとして送り込む計画を立てた。


『マックス』と名乗らせて、次の集団お見合いへと送り込むのだ。





そうして、またもや始まったお見合い会。



今回は、キャロルの「数撃ちゃ当たるだろう!」考えで候補者たちが大勢並んでいる。



もう、ペネロピは面倒くさくて、直ぐ様、顔を出した。

案の定、男たちは叫びながら逃げていった。




「ヤレヤレ…………」

誰もいなくなったと思い、立ち去ろうとしていた瞬間、隣の部屋のソファーの陰から、スックと立ち上がる男の影。



そう、ペネロピの顔を、まだ見ていないジョニー゛マックス゛だけが、一人だけ残っていたのだった………






ファンタジー、コメディ、ラブロマンスありの贅沢な映画。


逆バージョン『美女と野獣』といったところか。


とにかく豚鼻のクリスティーナ・リッチが可愛らしいです。




ペネロピとジョニーは思いのほか、意気投合する。


マジックミラー越しの会話も弾んでいき、初めてペネロピも、

(この人なら……私を見ても驚いて逃げたりしないかも……)なんて期待をよせてしまう。




意を決して、ジョニー゛マックス゛の前に姿を現す決心をしたペネロピ。


だが、結果は………


やっぱり玉砕!



それでも、諦めきれないペネロピは、自ら初めて、

「結婚して、マックス!」と懇願するのだが、名家の息子ではなくペネロピを騙して付き合っていたジョニーは、自分では呪いを解けないと思って、渋々立ち去ってゆく。




憐れ、一人取り残された可哀想なペネロピ。


階段に座り込み、手すりごしに悲嘆の涙をポツリと流す。(たとえ豚鼻でも、このシーンの胸を切り裂かれるような悲しみよ!こっちまでジンジン悲しみが伝わってくる。この映画の名シーンである)




事は、《美女と野獣》のように、キスをして元の姿に戻り、ハッピー・エンドになるほど簡単ではないのだ。




ペネロピは失恋を乗りきり、自力で呪いを解くために街へと出ていくのである。



初めて見る街並み、初めての親友(リース・ウィザスプーン)、始めて飲むビールなどなど………



そして、卑下していた姿を、自らさらけだす。


その勇気にマスコミや人々も感銘をうけ、ドンドン好意的になっていく。



そうして………

「今の自分が好きなの!」


と、全てを受け入れて叫ぶ時、やっと呪いは解けるのである。(呪いをかけた魔女も、コレにはビックリする!)





勿論、呪いが解けたペネロピも可愛いのだが、母親のキャロルは、


「これでもっと鼻を高く整形できるわね」


と、空気の読めない余計な一言をポツリ。(終始、この映画のキャサリン・オハラは笑えます)




豚の鼻をマフラーで隠して、キラキラした冬の街並みを散歩するペネロピ。



冬の、この時期にはピッタリの映画だと思います。



星☆☆☆☆。

※たまには、こんな映画を、地上波でクリスマスに放映すればいいのにね……。