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2018年9月26日水曜日

映画 「サスペリア PART2 (紅い深淵)」

1975年  イタリア。






ある夜、イタリアの会場で超心理学についての講演が行われていた。


物珍しさで集まった大勢の人々。



特別ゲストとして、テレパシストの『ヘルガ・ウルマン』なんて女性が招待されている。


次々と、客たちの思っている事を言い当てるヘルガに客たちは驚いて拍手喝采。



だが、次の瞬間!


「キャアアーーー!」


ヘルガが、突然叫び声をあげて、口に含んでいた水を、《ジャー!》と吐き出した。(汚ねぇ~)




「怖い …… 怖いわ」

客席の中に、邪悪な殺人鬼の意志を察知したのである。




その殺人鬼の過去や考えが、湯水のようにヘルガの頭の中に入ってきて、ヘルガは恐ろしさのあまりパニックになったのだった。



講演が終わるとヘルガは急いでサッサと帰宅した。





その殺人鬼に後をつけられているとも知らずに ………(テレパシストなのに尾行には、全く気がつかないヘルガさん)




そんなヘルガの住むアパートの近くで、ピアニストの『マーク』(デヴィッド・ヘミングス)は、同じピアニストでアル中の『カルロ』と帰宅中だった。


「飲み過ぎだぞ、カルロ!」


マークの忠告を無視して、帰り際にも酒を煽り続けるカルロはベロンベロンで千鳥足。


「へへへ、大丈夫、大丈夫 …… 」

カルロは、ふらつきながらも、やっとこさ帰っていった。



「やれやれ …… 」呆れるマークが、自分もアパートに戻ろうとした瞬間、


「キャアアァーーーー!!」


暗い深夜の通りに、耳をつんざくような絶叫が響き渡る。





その声がどこから聞こえたのか …… 辺りをキョロキョロ見渡すマーク。



通りをはさんで建っている、もしや、あのアパートの2階なのか?


見上げれば窓ガラスに血だらけの女性の姿が映しだされている。


その背後からは、今、まさに、《斧》のようなものが、何者かによって降り下ろされたのだった!




絶叫と共に、窓ガラスが粉々に割れる音が響き渡り、遠く離れているマークの目にも赤い鮮血🩸が見えた。





マークはいつの間にか走り出していて、そのアパートの玄関を抜けると一目散に階段を駆け上がっていった。




2階には細長く続く狭い通路。


それは、いくつかに枝分かれしていて、壁には様々な額縁の奇妙な絵が飾られていた。



辺りを見渡しながら、慎重に歩を進ませるマーク。


そうして歩いていくと、奥の部屋には血まみれで倒れている、あの、先程のヘルガの遺体があったのだった。






しばらくして警察がやってくると、現場は大勢の人々で騒然としはじめた。



もちろん、第1発見者のマークも警察に質問攻めにあっている。


「駆けつけた時、遺体の彼女以外は見なかったんですか?犯人の姿も?!」


「ええ。でも ……… 何かがおかしかった。うまくは説明できないのですが ……… 」





そこへ、いきなり、『パシャッ!』のシャッター音。


ドア口にカメラをもった新聞記者の『ジャンナ』(ダリア・ニコロディ)が乗り込んできたのだった。



「おい!誰の許可を得て入ってきたんだ!」

「いいじゃないの。ねえ、彼が第1発見者なんでしょ?教えてよ!教えてよー!」



特ダネのためならどこまでも。

キャリア志向で食らいついたら離れない、まるでスッポンのような根性のジャンヌに、マークは呆れるのだった。





そして次の日、新聞にはデカデカと写真つきでマークの記事が載せられている。

「何なんだ、これは!?」



そこへ現れたのは、あのジャンヌ。

「これで、次に犯人が狙うのはあなたよ!でも大丈夫! 二人でこの難事件を解決するのよ!」


(やれやれ、厄介な事になったものだ……。)


好奇心旺盛なジャンヌにあおられて、マークは事件に首をつっこんでいくのだが………






監督はダリオ・アルジェント




日本では先に『サスペリア』という映画が公開され大ヒットした。


それ以前につくられた映画にもかかわらず、当時の馬鹿な映画宣伝部が、勝手に『サスペリア2』なんて邦題をつけて公開してしまった。(原題は、deep red)


内容も、オカルト映画『サスペリア』とは全く関係ないサスペンス謎解きスリラーなのにである。(あ~、不運な映画)





でも、謎やスリラー的な雰囲気はあっても、この映画、あんまり怖くない。


怖さよりも、所々で笑ってしまうのだ。



でも、これが《アルジェント印》の映画なのだから、しょうがないっていえばしょうがないんだけど。(笑)



何本も映画を撮っているのに、一向に上手くならないアルジェント。



怖がらせようと一生懸命に演出するのだが、なぜか?湧き出てくるB級感。





でも、こんなヘンテコな『アルジェント映画』にフアンは熱狂的になるんだけどね。(かくいうワタクシも大好きである)




だいたい、この犯人から変わっている。



わざわざ殺しをする時に、


レコードをかけたり(♪ラ~ラ~ラ~)、

気味の悪いオモチャの人形を、カタカタと走らせたりするのだから。(この労力だけでも大変なものだ)




そうやって、充分に相手をビビらせておいてから、「いざ、殺しましょう!」って。


どんだけ悠長やねん!(笑)って話だ。






マークとジャンナの会話も本筋から外れっぱなし。



「あなた女が怖いんでしょ?」

「はぁ?、ぼくは男だぞ。女が怖いわけないだろう!」

「じゃ、腕相撲しましょうよ」(なんで?)

腕相撲でアッサリ負けてしまうマーク。


「ズルしただろう?こんなので勝って嬉しいのか!もう1回だ!」




本当に、もう、どうでもいいエピソードである。(笑)






だが、こんなズレまくっている『サスペリア2』なのだけど、この映画には、それを補うほどの特別な仕掛けが施されているのだ。




それは映像でしか、なし得ない一発勝負の《映像トリック》。



こんな事をよく思いついたものだと、初めて観た時はビックリした。


それがアルジェントだけなのだと思うと、俄然、自分の評価は高くなってしまう。




映画が終わりました。


もう一度巻き戻して、ゆっくり観てみましょう。


ほ~ら、わかりましたか?



これだけでも充分、コロンブスの卵のような映画といえると思います。



観た方はネタバレ禁止。(必須)


星☆☆☆☆☆を挙げておきます。