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2022年10月23日日曜日

映画 「ヤング・マスター 師弟出馬」

 1980年  香港。





『ロン』(ジャッキー・チェン)と『キョン』(ウェイ・ペイ)は、有名な《金龍道場》の門下生。


孤児だった二人は道場の『ティエン師範』(ティエン・ファン)に拾われて育てられてきたのだが、どちらかというと、師範はキョンの方を優遇していた。



だが、このキョンが、とんだ クズ。(師範も見る目がない)


金欲しさに、ライバルの《黒龍道場》に寝返ったり、果ては娼婦まで道場に呼びよせたりと、やりたい放題である。



こんなのがバレて、さすがの師範もカンカンになり、出てけー!!の声をあげる。


だが、そうは言ったものの、息子のように可愛がっていた弟子に去られてからは、師範は毎日がイライラ気味。


とうとう、他の若い弟子たちに手を挙げては、八つ当たりをしてしまう。(これは師範としてイカンだろう)


こんな状況に、ムカムカしはじめた『ロン』(ジャッキー・チェン)。

「俺も出ていく!」と宣言した。



そこで、ティエン師範も「ハッ!」と、我にかえる。


「待ってくれ!私が悪かった。どうかお願いだ!キョンを探して、連れ戻してくれぇ~!」

師範はロンに懇願する。(テメ〜で探しに行けよ!(笑))


こうして、ロンは、キョンしか持つ事を許されなかった、道場に古くから伝わるという免許皆伝の《大扇子》まで渡されて、旅に出た。





一方、キョンの方はというと …… 

こんな根っからのクズですもの、あっさりと落ちるところまで落ちてゆく。


悪党たちの一味に加わり、その親玉である『キム』(ウォン・インシク)の脱走に加担していたのだ。(扇子を持ってるのがキョンね)






しかも、例の《大扇子》を振り回して、警察相手に大暴れ。



そんな事になってるとは露知らず、ロンが同じように《大扇子》を持って町中に現れると、案の定、キョンに間違われて ……




ココまでが、映画『ヤング・マスター 師弟出馬』の導入部。


この映画に関しては、最近の異常な《カンフー映画熱》で、今回初めて観てみたのだ、けど ……



ハッキリ言っとくが、ココまでが 非常にツマラナイかも!



ジャッキーが脚本、主演、監督までも一人で務めた事も知っているし、

当時、どんな状況化で撮りあげたかも、もちろん知っている。(突然独立したジャッキーに、前いたプロダクション(ロー・ウェイ監督)から、猛烈な妨害や嫌がらせがあった)


でも、1つの映画として観た場合、その背景などは、あくまでも後日談であって、映画の《出来》には全く関係のない話なのだ。(それを気にしながら観る人もあまりいないはずだ)



まず、この『キョン』(ウェイ・ペイ)と『ティエン師範』(ティエン・ファン)というキャラクターには、全く感情移入すら出来なかった。



《↑日本人俳優・高橋悦史さんにも見えたりするティエン・フアン






《↑なんか終始不貞腐れているウェイ・ペイ



感情移入どころか ほぼ 嫌いなキャラクターである。(キョンがどうなろうが、師範がどうなろうが、ハッキリ言って知ったこっちゃない。別に ど~でもいい!


キョンは、金と引き換えに簡単に敵に寝返るほどの薄情な男だし、師範も残った弟子たちに手をあげて八つ当たりするほどの大バカ野郎だ。


こんな二人の為に、旅に出ていく『ロン』(ジャッキー)はどうかしてるとしか思えない。(こりゃ、そもそも脚本が酷すぎるわ)


そんなこんなで、この映画には、とっとと三下り半をつけようと思っていたら ……… 



警察署長の『クァン』(シー・キエン)と、その息子(ユン・ピョウ)が出てきてから、この映画は 俄然、面白くなるのだ!。(やっぱり映画は最後まで観てみるもんだ)





特に、シー・キエン演じるクァン署長とジャッキーの掛け合いが面白くて、見事にハマってしまった。(日本のコメディアン由利徹にそっくりだ)



息子(ユン・ピョウ)に加勢してもらって、なんとか『ロン』(ジャッキー)を逮捕した『クァン署長』(シー・キエン)は、ロンを警察署に無理矢理引っ張っていこうとする。


「あの〜オシッコしたいんですけど …… 」

ロンが逃げようとして嘘を言い、茂みの中に入っていこうとするも、クァン署長は落ち着きはらった様子。


なんと、その先には《底なし沼》があったのだ!



ズブズブ沈んでいくロンを見ながら、署長は「ハハハッ!」と高笑い。


だが隙をみせたばっかりに、自身も底なし沼へ落とされて、ドボン!する。(「ひぃ~、助けてくれぇ~!」)



命からがら逃げたロンは、近隣の家まで、なんとかたどり着いた。


中から出てきたのは、若い女性。



「あの〜、済まないけど身体を洗わせてほしいんだけど …… 」


親切な女性は庭にある風呂場を貸してくれた。

そこへ、いそいそと入っていくロン。



遅れて署長もこの家に、やっとたどり着いた。

なんと!この家は《署長の自宅》だったのだ!


てっきり隣りに入っているのが先程の息子(ユン・ピョウ)だと思いこんでる署長は、疑いもせずに、空いている隣りの方へと入っていく。


(とにかく、この泥だらけの身体をなんとかせにゃ~ ……トホホ …… )



石鹸で頭を洗い、隣にある桶を取ろうとして、下から手を伸ばす署長。



そこにあったのは『ロン』(ジャッキー)のお尻》


ギャン!(ジャッキーもオッサンにケツを撫で撫でされて、もうビックリよ(笑))


この後、風呂から上がってサッパリした二人は、再びご対面してビックリ。


「アァ〜ッ?!」

「あ〜、お前、なんでココにいるんだぁ〜?!」


第ニラウンドの始まり、始まりであ〜る。



こんな風に、シー・キエンユン・ピョウが出てきてから、この映画は急にコミカルさを増して面白くなっていく。


どうにかして署長と息子を巻いて逃げたい『ロン』(ジャッキー)。


それを先回りして妨害するユン・ピョウ。(その度に、トホホ顔のジャッキーに笑える)




この後、疑いが晴れたロンは、兄弟子キョンを救う為に、先程の大悪党『キム』(ウォン・インシク)との一騎打ちに挑んでいくのだが(お約束) …… 



……… だが、どうも面白かったのはココまでだったかも、この映画。



なんせ、この後の闘いが、 長〜いの、なんの!(計20分以上、ず〜っと闘い続けている)



最初は、強い相手『キム』(ウォン・インシク)との闘いにハラハラしながら観ていたのだけど …… こうも長過ぎると、観ている側は集中力も途切れがちになってくる。


しまいには、

「いつ終わるんだ?この闘い?!」

って食傷気味になり、もう終わる頃には完全にウンザリしていた。




あまりにも、冗長過ぎたアクション・シーン。



香港を離れ、ジャッキー・チェン自らアメリカで編集したらしいけど。(例によって、ロー・ウェイの妨害から作品を守る為)


でも、まだ短くしても良かったのかもね、この映画に関しては。


だってさ〜、コレ観てみてよ ………



《↑コレ、完全に人形にすり替わってるじゃん!(笑)



ここまで、長〜く引っ張った死闘の挙げ句が、最後《人形とのプロレスごっこ》?!(これじゃ、コントだよ!、ジャッキー!!(笑))



私の感想は、ユエン・ウーピン監督が撮りあげた『蛇拳』と『酔拳』の域には、まだまだ遥かに遠い… って感じ。(この《人形プロレス》には、最後にズッコケて笑ったが(笑))


採点は星☆☆☆近くで、やっと50点ってところで。



《後記》※クァン署長役をやっているシー・キエンを観て、思い出した事があった。


このお方、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』に出ていた、《ベアークロー》の人じゃないですかー!


後年、こんなコミカルな役もやってらしたのねぇ~


特に熱心なブルース・リー・フアンでもない私が知ってるくらいですもん。


やっぱ、『燃えよドラゴン』は名作なのだ。(これもいつかは語りたいと思っている)


《おしまい》