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2022年5月6日金曜日

映画 「地中海殺人事件」

 1982年  イギリス。





原題は『Evil Under The Sun』(太陽の下の悪)。


それが邦題では、あっさり『地中海殺人事件』になってしまうのだから、ま〜、誰がつけたのか、センスの欠片も無いことよ(笑)。


前作『ナイル殺人事件(1978年)』のヒットを受けて、ポアロ役はピーター・ユスチノフの続投。(※ふと、気づいたのだが、デヴィッド・スーシェは《ポロ》で、ピーター・ユスチノフは《ポロ》なのね。ど~でもいいトリビアなんだけど(笑))


今回殺されるのは、男やお金にだらしがなく、その奔放さで、知らずに敵を作りやすい性格(こんなのが一番タチが悪い)の女優『アリーナ・マーシャル』(ダイアナ・リグ)である。


『ナイル殺人事件』では、『007 ムーン・レイカー』のロイス・チャイルズが殺され、今回『地中海殺人事件』では、『女王陛下の007』のダイアナ・リグが殺される。(製作者はボンド・ガールに恨みでもあるのか?(笑))



とにかく、残念なお胸をしている(笑)『アリーナ』(ダイアナ・リグ)は、ほんのはずみで、男やもめでコブ付きの『ケネス・マーシャル』(デニス・クイリー)と結婚。




二人はケネスの連れ子である一人娘『リンダ』を伴って、地中海にある孤島へとバカンス旅行にやって来たのだ。



そんな島の持ち主で、リゾートホテルの経営者である『ダフネ・キャッスル』(マギー・スミス)は、大好きなケネスとリンダを迎え入れて嬉しそう。



嫌いなアリーナにも「いらっしゃいませ」と笑顔で、一応大人の対応する。(目が笑ってないぞ。(笑))




そんな女優アリーナ・マーシャルが、《孤島でバカンス》のニュースは、たちまち関係者たちの知るところとなり ……… 続々と人々が集まってきた。


ただし、あまり好意的ではない人々なのだが。



そうして、我らが名探偵『ポアロ』(ピーター・ユスチノフ)にしても、アリーナ関連の胡散臭い依頼をうけて、はるばると島へと駆け付けるのだった ………






この後は、クリスティーの原作らしく、一癖も二癖もあるような怪しい面々たちが、次々と顔を揃える。




★『オデール&マイラのガードナー夫妻』(ジェームズ・メイソンシルヴィア・マイルズ)。

演劇プロデューサーの夫婦で、以前プロデュースした舞台をアリーナがドタキャンして、大損させられた過去がある。(当然恨んでいる)


旦那『オデール』(ジェームズ・メイソン)は、お人好し。

気が強い妻『マイラ』(シルヴィア・マイルズ)は、それにイライラしっぱなしである。(尻にしかれるメイソンも珍しい)





★『レックス・ブルースター』(ロディ・マクドウォール)。

演劇評論家?らしいのだが、どこをどう見てもマトモな物書きには見えない、口先だけの軽いノリの男である。(笑)


とにかくお調子者過ぎて、言わなくてもいいような事を、片っ端から言ってまわるのだから、周囲の人々からは、当然嫌われている。


でも、こんな嫌われ者よりもアリーナの方が、もう一枚上手。(上には上がいるのだ)


逆にケチョンケチョンに言いかえされて、珍しく逆ギレするブルースター。






★『ブラッド卿』(コリン・ブレイクリー)。

ある日、気の迷いか結婚前のアリーナにデレデレになってしまい、ダイヤを貸して、模造品になって返ってくるという、まるっきりドジな大富豪。


「なんとかワシのダイヤを取り返してくれ〜」

とポアロに泣きつく始末。(で、ポアロも颯爽乗り出すのだ)






★『パトリック&クリスチン・レッドファン夫妻』(ニコラス・クレイジェーン・バーキン


ハンサムな夫『パトリック』は、周囲の目など気にもせず、公然と『アリーナ』を追いかけまわして不倫三昧。

一方、内気で地味な妻『クリスチン』は、「ヨヨヨ …… 」と泣き崩れる日々である。





こんな面々が揃い、皆がそれぞれバカンスを満喫している日中、事件は突然起きた。



問題の アリーナ・マーシャルが砂浜で殺されたのだ!(死因は絞殺だった)



それぞれにアリバイがある中、ポアロは推理を開始するのだが ……





殺されたのがイヤな性格の被害者だからなのか、または全編をとおして流れるコール・ポーター作曲の軽快な音楽のせいなのか ……


《殺人事件》を扱いながらも、全然暗い雰囲気はない。



重々しかった『オリエント急行殺人事件』、『ナイル殺人事件』とは、まるで真逆で、コレがクリスティー映画の到達点だとすれば、充分な成功をおさめていると思う。




それにしても、昔、初めてこの映画を観た時、ジェームズ・メイソンには悪いが、デニス・クイリーコリン・ブレイクリーと、全く区別がつけられなかった。(オッサンは誰も彼も、同じように見えた(笑))




逆に女性陣たちは、個性派揃い。



マギー・スミスの凶器のように尖ってる顎。




失礼!まるで、オカマが女装しているようなシルヴィア・マイルズのド迫力(笑)。




黙ってれば綺麗なのに、口を開けばすきっ歯が目立つジェーン・バーキン



ダイアナ・リグは前述の通り。(胸の谷間に骨がクッキリと見えるのは、セクシーとは程遠い)




こんな陽光燦々と降りそそぐ海辺が舞台なのに、全然セクシーじゃない連中が揃って、「あ〜だ、こ~だ」言いたい放題なのだ。



………いや、いや一人だけ居た。



一人でセクシー担当を担ってるようなお方が。


それが、ニコラス・クレイ




この海パンは、わざと狙って履いてるのか?(笑)



ケツにくいこみ過ぎて、半ケツ丸見え状態じゃないですか!(大爆笑)




「こんなニコラス・クレイに負けてたまるか!」と、我らが『ポアロ』(ピーター・ユスチノフ)も水着姿(ビア樽)になったりする。(まぁ、コレがギリギリの線。コレ以上の露出は、本人はよくても周りが許しません(笑))





謎解きを知っていても、たま〜に観たくなるのは、これらの出演者たちの強烈なインパクトのお蔭なのかも。



デヴィッド・スーシェの『名探偵ポワロ』でも『白昼の悪魔』として映像化されているが、比べてみるのもいいかもしれない。(私個人としては、こっちが勝ちかな)



ピーター・ユスチノフの《ポアロ》に敬意を払って、星☆☆☆☆。(ナンダカンダ書いてみたけど、面白いよ!←フォローになってるのか?)