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2022年5月25日水曜日

ドラマ 「時をかける少女」

 1985年  11月4日放送。(月曜ドラマランドにて)






「へ〜え、こんなのがあったんだ」

こんなドラマがあった事さえ、ごく最近まで知らなかった。



ムリもない。

南野陽子が、まだ『スケバン刑事 Ⅱ 少女鉄仮面伝説』で大ブレイクする、以前のドラマ。



『スケバン刑事 Ⅱ …… 』が、スタートしたのが1985年11月7日(木曜)。



ドラマ『時をかける少女』は、南野陽子にとって、フジテレビが仕掛けた前座的な役割りなのだ。


同じ週の4日後に始まる『スケバン刑事 Ⅱ …… 』の為の、《南野陽子・入門編》といったところに位置する。(まだまだ、この時は無名だったので)



それにしても、当時、あまり知られていなかったアイドルを《トップ・アイドル》に持ち上げるにしても、フジテレビの仕掛けたお膳立ては、今考えても親切丁寧だ。



あの、斉藤由貴にしても『スケバン刑事』がスタートする前、同じ枠内で『野球狂の詩』が放送されているし、

浅香唯にしても『スケバン刑事 Ⅲ …… 』前、これまた同じ枠内で『一休さん』が放送されてる。(なぜに?浅香唯だけ『一休さん』?(笑))



《月曜ドラマランド》って、そういう意味ではトップアイドルへ登り詰める為の貴重な第一歩、登竜門的なモノだったのかもしれない。(こういう放送枠が、今じゃ無くなってしまったのは、ことごとく残念である)


その後、ビデオレンタル時代には、ビデオ化されてレンタル店にもひょっこり並んでいたという(気づかなかった)


そして、例により長い間、全くDVD化もされない日々が続いていき ……


もはや諦めていた頃 …… またもや、最近になって運良く視聴する機会に恵まれたのだ!(ラッキー!どこまでもツイてる奴)


「へ〜え、こんな感じなのか …… 」



この2年前、原田知世主演・大林宣彦監督版の『時をかける少女』は、誰もが知るほどの名作である。


筒井康隆の原作がある以上、あらすじはほぼ一緒なのだけど、ドラマはドラマとして、なんとか差別化を図ろうとしているのが、アリアリと伺われる。(まぁ、どうしても傑作と呼ばれている映画の方と比べてしまうわなぁ~)


それにしても南野陽子演じる主人公『芳山和子』の性格は、素のナンノに近いのか、超絶お気楽で明るい!(笑)


偶然手に入れた《タイム・トラベル》能力に、最初こそ戸惑うものの、《何かの割れる音が、タイム・トラベルをする》というカラクリを知ってしまえば、それを利用してジャンジャン楽しんじゃう!


「やったー!私、《タイム・トラベラー》よ!!」

(良いのかなぁ~? それにしても映画じゃ《タイム・ループ》と呼ばれた能力が、ドラマじゃ安易に《タイム・トラベル》?!)



幼なじみのゴローちゃんは、ドラマでは理髪店の息子に変えられていて、坊主頭に眼鏡姿。一気に地味〜な印象だ。(この学校では、男子は珍しく学帽まで被ってる)


このゴローちゃん役が伊藤康臣って人。(その後、あっさり俳優を辞めたそうな。どうりで知らないはず)



で、問題は、2660年の未来からやって来た『深町一夫』役なのであるが、それを誰が演じているかというと …… それが『中川勝彦』って人。

上の写真を見ても誰だが知らない人もいる?)


この中川勝彦さん、このドラマの当時は、こんな風に高校生役を演じながらも、もう立派に成人を過ぎた23歳。


しかも、既に、奥さん までいて、このドラマの同年、1985年の5月には 子供まで産まれていたそうな。(ゲゲッ)



そんな裏事情は所属事務所によって、もちろんひた隠しに隠される事となる。(まぁ〜ねぇ~、イケメンのビジュアルで、まさに売り出そうという時に、妻や隠し子の存在はタブーでしょうよ)



オマケに、この方、映画『ねらわれた学園』では、薬師丸ひろ子の相手役オーディションで、あの高柳良一さんと競い合ったそうなのだ。


もちろん、薬師丸ひろ子の相手役は高柳良一さんになり、中川勝彦さんは落選するのだけど …… 


それにしても、その後、映画『時をかける少女』で高柳良一さんが演じた《深町一夫》役を、ドラマの方でこうして演じる事になるとは、なにやら、この二人には因縁みたいなモノを感じてしまう。

写真左、高柳良一



このドラマ版に話を戻すと、タイム・トラベル能力で『芳山和子』(南野陽子)は、銭湯の男湯の浴槽の中にセーラー服で突然現れてしまったり、『深町一夫』(中川勝彦)は、女湯に出てきたりと、もう、ヒッチャカメッチャカな展開になる。(これって、ドタバタコメディー?)



映画版の真面目な純愛ドラマに心うたれた人には、とても受け入れにくいかもしれないが、コレはコレで、お気楽〜に楽しませて頂きました。


神がかっているナンノの美しさと可愛らしさは、この時から抜きん出ている。

星☆☆☆。


※《補足 ①》

エンディングテーマで流れる曲は、南野陽子の『接近〜アプローチ〜』である。


コレが最後に流れると、「んん??」

ちょっと驚くし、それに確か、この曲は『スケバン刑事 Ⅱ 』が終了された後にリリースされた曲だったはずなのだ。


実は、この『接近〜アプローチ〜』、デビュー曲の『恥ずかしすぎて』の次、セカンドシングルとして、本来ならリリースされる予定だった曲。


だが、もろもろの事情により、先延ばしにされたそうなのである。(歌詞も違う)


それなのに(何の因果か)コレが先もってドラマには使用されている。


この『接近〜アプローチ〜』を聴くと、なんだか不思議な気分に襲われるのだった。



《補足 ②》

先程から出ている中川勝彦さんについて。


彼は不幸にも32歳の若さでお亡くなりになっている。(急性骨髄性白血病で)



そして、この時産まれていた子供なのだが、今じゃ知らない人はいない有名な方!


皆が知ってるマルチタレントの


 中川翔子(しょこたん)なのだ!!(ビックリ!驚き! (´⊙ω⊙`)!)



何かの番組で、ドラマ『時をかける少女』を観て「おとーちゃんが出てるぅー!」と叫ぶ中川翔子

南野陽子に「おとーちゃんの事、覚えています?」と訊ねると、「もちろん、覚えているわよ」と即答するナンノ。


こうして、二人仲良く記念撮影なんかもしてくれちゃったりする。


それにしても、南野陽子にとっても、この出会いは不思議な因縁だったろう。


(あの時、産まれていた相手役の子供が、こんなに大きくなって、同じように、また芸能界にいるなんて …… )


これは、まさに、長い長〜い、時をこえた《タイム・トラベル》のようなモノ。


ドラマ『時をかける少女』の世界観は、2020年を過ぎた今も、不思議な縁で、ずっと継続中だったのである。


長々、お粗末さま。(これにて)

2022年5月18日水曜日

ドラマ 「ザ・カゲスター」

 1976年  4月〜11月(全34話)





「影よ …… 影よ …… ゆけぇーーー!!」


影!、影!、影!、ギュッギューン!カゲスターー!!(唄 : 水木一郎



知ってる人は知っている。

そうでない人は、この珍妙なデザインに「何じゃ、コリャ!」と戸惑うかも。


頭やベルトの渦巻きは、ジッと見てると目眩がしてくるし、マントのド派手な星マークは、目がチカチカしてくる(*﹏*;)。


難儀なヒーロー『カゲスター』。


でも、こんなカゲスターには、一応仲間がいて、それが相棒となる『ベルスター』である。(コチラも渦巻きと星マークに彩られている)


激しい戦闘シーンがあれば、ミニスカートがまくれ上がり、白いパンツが丸見えになるほどのサービスっぷり。(子供番組とは思えない過剰サービス)


こんな『ザ・カゲスター』を、当時は夢中で観ておりました。(別にパンチラ目的じゃないぞ(笑))


なんせ、この『ザ・カゲスター』、他の戦隊ヒーローとは違っていて、そもそもの設定から異色だったのだ。



主人公が《風村コンツェルン》という財閥令嬢の秘書『姿 影夫』(立花直樹)。


そうして、その美しき令嬢が『風村 鈴子』(早川絵美)である。


この二人が、前述の『カゲスター』と『ベルスター』に変身するのだ! ……… と思いきや、コレを《変身》と言ってよいのやら ……



悪の軍団《白蝋魔人》に誘拐された鈴子と影夫。

なんとか敵のアジトから脱出した二人だったが、途中で運悪く崖から転落。


さらに、偶然、高圧電線に触れてしまった二人。(ビリ、ビリ、ビリィー⚡)

(そりゃ、当然こうなるわな。でも感電しても命があっただけめっけもん)



その後、トンデモない奇跡が、二人に起きた!


それぞれ、影夫と鈴子の人影から、ムクムクと突然起き上がる謎の生物。


そう、それが正義の味方『カゲスター』&『ベルスター』の、摩訶不思議な誕生だったのである!!


何気に格好いいカゲスターとベルスターの専用バイク)



冒頭のセリフ「影よ、影よ、ゆけー!」のかけ声で、二人の影から生まれ出てくる『カゲスター』と『ベルスター』。


影夫と鈴子の意識は『カゲスター』と『ベルスター』に乗り移り、敵と闘いはじめるのだが、その間、人間体の方はというと …… 


朦朧とした意識の中、邪魔にならないよう、どっか隅っこの方で、フラフラ、ユラユラとゾンビのように彷徨っている(笑)。


コレが普通の変身ヒーローモノとは、一線を引いている『カゲスター』の特殊設定なのだ。


颯爽とキメポーズで登場するカゲスターとベルスターに、白蝋魔人(薄気味悪い青白メイクのロン毛男)が、「この化け物めー!」と叫ぶ。(お前に言われと〜ないわ(笑))



こんな『ザ・カゲスター』も、東映特撮モノとしては、お馴染みの顔ぶれや見知った者たちがしっかりと脇を固めている。




東映特撮といえば小林昭二さん。(ここでは丸眼鏡をかけた少々ぬけてる『屯田警部』役である)


その部下で後ろにいるのが『業平刑事』(星純夫)。(あら、この人『燃えろ!アタック』に出てた、小鹿酒店の三枚目配達員じゃないの)


そうして写真の中央に陣取っているのか、皆さんご存知の小松政夫さんだ。(風村コンツェルンで働く、飄々とした部長さん役)


まぁ〜、ご覧のように、皆さん間が抜けてるんで、その分、影夫と鈴子が正義の味方然として頑張ってるんだけどさ(笑)。



こんなカゲスターの最大の武器は、カゲスターの影を超巨大化させて、どこまでも追いかけたり、簡単にやっつけちゃうこと。(何でもありか!それにしても影から、またもや影が生まれるのか?)



こんな、他の特撮モノには見られないような特殊能力は、当時、中々のインパクトでございました。



こんな『カゲスター』なんだけど、当時の評判は少々悪かったみたい。


おどろおどろしいオカルト的な怖さは、普通の子供には残念ながらウケなかったようだ。(全34話は当時としては短命)


私は昔も面白かったし(まぁ、子供の頃から変人だし)、今、観ても充分に面白いんだけどさ。



こうして何十年経っても覚えているのは、水木一郎さんの歌う主題歌のお蔭かもしれない。(芋づる式に記憶が蘇ってくる)


オープニングと同じようにエンディング曲でもタイトルの『カゲスター』を何度も連呼して熱唱している水木一郎さん。


やっぱり主題歌に番組名が入っているのは強みなのだ。(それが何度も繰り返し入っていれば尚更)


エンディングでも、「カゲスター!カゲスター!カゲスター!」…… もう、「これでもか!」っていうくらい念押しで歌ってる。


これなら洗脳のごとく脳内に深く刷り込まれるし、忘れようたって忘れられませんがな。



最近の特撮モノで、訳の分からんJポップもどきの主題歌の番組なんぞを、数十年後にはどれだけの人が覚えているかねぇ~。


よけいな理屈は要らないのに。



番組名を主題歌に折り込んで、ただ、ただ連呼すればご覧のとおり。


そうすれば、こんな『ザ・カゲスター』のように伝説として、いつか語られる日がやって来るはずである。


星☆☆☆☆。(マントの星☆の数は、こんなもんじゃね~ぞ(笑))



2022年5月6日金曜日

映画 「地中海殺人事件」

 1982年  イギリス。





原題は『Evil Under The Sun』(太陽の下の悪)。


それが邦題では、あっさり『地中海殺人事件』になってしまうのだから、ま〜、誰がつけたのか、センスの欠片も無いことよ(笑)。


前作『ナイル殺人事件(1978年)』のヒットを受けて、ポアロ役はピーター・ユスチノフの続投。(※ふと、気づいたのだが、デヴィッド・スーシェは《ポロ》で、ピーター・ユスチノフは《ポロ》なのね。ど~でもいいトリビアなんだけど(笑))


今回殺されるのは、男やお金にだらしがなく、その奔放さで、知らずに敵を作りやすい性格(こんなのが一番タチが悪い)の女優『アリーナ・マーシャル』(ダイアナ・リグ)である。


『ナイル殺人事件』では、『007 ムーン・レイカー』のロイス・チャイルズが殺され、今回『地中海殺人事件』では、『女王陛下の007』のダイアナ・リグが殺される。(製作者はボンド・ガールに恨みでもあるのか?(笑))



とにかく、残念なお胸をしている(笑)『アリーナ』(ダイアナ・リグ)は、ほんのはずみで、男やもめでコブ付きの『ケネス・マーシャル』(デニス・クイリー)と結婚。




二人はケネスの連れ子である一人娘『リンダ』を伴って、地中海にある孤島へとバカンス旅行にやって来たのだ。



そんな島の持ち主で、リゾートホテルの経営者である『ダフネ・キャッスル』(マギー・スミス)は、大好きなケネスとリンダを迎え入れて嬉しそう。



嫌いなアリーナにも「いらっしゃいませ」と笑顔で、一応大人の対応する。(目が笑ってないぞ。(笑))




そんな女優アリーナ・マーシャルが、《孤島でバカンス》のニュースは、たちまち関係者たちの知るところとなり ……… 続々と人々が集まってきた。


ただし、あまり好意的ではない人々なのだが。



そうして、我らが名探偵『ポアロ』(ピーター・ユスチノフ)にしても、アリーナ関連の胡散臭い依頼をうけて、はるばると島へと駆け付けるのだった ………






この後は、クリスティーの原作らしく、一癖も二癖もあるような怪しい面々たちが、次々と顔を揃える。




★『オデール&マイラのガードナー夫妻』(ジェームズ・メイソンシルヴィア・マイルズ)。

演劇プロデューサーの夫婦で、以前プロデュースした舞台をアリーナがドタキャンして、大損させられた過去がある。(当然恨んでいる)


旦那『オデール』(ジェームズ・メイソン)は、お人好し。

気が強い妻『マイラ』(シルヴィア・マイルズ)は、それにイライラしっぱなしである。(尻にしかれるメイソンも珍しい)





★『レックス・ブルースター』(ロディ・マクドウォール)。

演劇評論家?らしいのだが、どこをどう見てもマトモな物書きには見えない、口先だけの軽いノリの男である。(笑)


とにかくお調子者過ぎて、言わなくてもいいような事を、片っ端から言ってまわるのだから、周囲の人々からは、当然嫌われている。


でも、こんな嫌われ者よりもアリーナの方が、もう一枚上手。(上には上がいるのだ)


逆にケチョンケチョンに言いかえされて、珍しく逆ギレするブルースター。






★『ブラッド卿』(コリン・ブレイクリー)。

ある日、気の迷いか結婚前のアリーナにデレデレになってしまい、ダイヤを貸して、模造品になって返ってくるという、まるっきりドジな大富豪。


「なんとかワシのダイヤを取り返してくれ〜」

とポアロに泣きつく始末。(で、ポアロも颯爽乗り出すのだ)






★『パトリック&クリスチン・レッドファン夫妻』(ニコラス・クレイジェーン・バーキン


ハンサムな夫『パトリック』は、周囲の目など気にもせず、公然と『アリーナ』を追いかけまわして不倫三昧。

一方、内気で地味な妻『クリスチン』は、「ヨヨヨ …… 」と泣き崩れる日々である。





こんな面々が揃い、皆がそれぞれバカンスを満喫している日中、事件は突然起きた。



問題の アリーナ・マーシャルが砂浜で殺されたのだ!(死因は絞殺だった)



それぞれにアリバイがある中、ポアロは推理を開始するのだが ……





殺されたのがイヤな性格の被害者だからなのか、または全編をとおして流れるコール・ポーター作曲の軽快な音楽のせいなのか ……


《殺人事件》を扱いながらも、全然暗い雰囲気はない。



重々しかった『オリエント急行殺人事件』、『ナイル殺人事件』とは、まるで真逆で、コレがクリスティー映画の到達点だとすれば、充分な成功をおさめていると思う。




それにしても、昔、初めてこの映画を観た時、ジェームズ・メイソンには悪いが、デニス・クイリーコリン・ブレイクリーと、全く区別がつけられなかった。(オッサンは誰も彼も、同じように見えた(笑))




逆に女性陣たちは、個性派揃い。



マギー・スミスの凶器のように尖ってる顎。




失礼!まるで、オカマが女装しているようなシルヴィア・マイルズのド迫力(笑)。




黙ってれば綺麗なのに、口を開けばすきっ歯が目立つジェーン・バーキン



ダイアナ・リグは前述の通り。(胸の谷間に骨がクッキリと見えるのは、セクシーとは程遠い)




こんな陽光燦々と降りそそぐ海辺が舞台なのに、全然セクシーじゃない連中が揃って、「あ〜だ、こ~だ」言いたい放題なのだ。



………いや、いや一人だけ居た。



一人でセクシー担当を担ってるようなお方が。


それが、ニコラス・クレイ




この海パンは、わざと狙って履いてるのか?(笑)



ケツにくいこみ過ぎて、半ケツ丸見え状態じゃないですか!(大爆笑)




「こんなニコラス・クレイに負けてたまるか!」と、我らが『ポアロ』(ピーター・ユスチノフ)も水着姿(ビア樽)になったりする。(まぁ、コレがギリギリの線。コレ以上の露出は、本人はよくても周りが許しません(笑))





謎解きを知っていても、たま〜に観たくなるのは、これらの出演者たちの強烈なインパクトのお蔭なのかも。



デヴィッド・スーシェの『名探偵ポワロ』でも『白昼の悪魔』として映像化されているが、比べてみるのもいいかもしれない。(私個人としては、こっちが勝ちかな)



ピーター・ユスチノフの《ポアロ》に敬意を払って、星☆☆☆☆。(ナンダカンダ書いてみたけど、面白いよ!←フォローになってるのか?)


2022年5月3日火曜日

映画 「フライトナイト(1985年版)」

 1985年  アメリカ。




17歳の高校生『チャーリー』(ウイリアム・ラグズデール)は、隣に引っ越してきた人物に興味津々。


夜中に《棺》を運び入れているのだ。


彼女『エイミー』(アマンダ・ビアース)が来てるのに放ったらかし。

果ては双眼鏡まで取り出して、隣を覗き込む始末。(彼女はプンプン!して帰っちゃう)



そうして、次の夜には、またもや女性の《死体》らしきモノを運び出しているのを偶然目撃してしまうチャーリー。


時を同じくして、ここ最近、近隣では謎の殺人事件が多発していたのだ。


(もしかして、隣の住人は《吸血鬼》なのか? …… )


すぐさま、警察に相談するも「犯人は《ヴァンパイア》なんだ!」と、つい口走ってしまった為、警察には(コイツ、頭がイカれてる!)と完全に狂人扱い。

全く相手にされない。



そんなチャーリーの行動に隣の男『ジェリー』(クリス・サランドン)も気づいたのか …… 家に直接訊ねてきた。


「入ってもよろしいですか?」(ヴァンパイアは招待されないと家には入れない)


「さぁ、どうぞ!どうぞ!」

何も知らないチャーリーの母親の手招きでズカズカ入ってくるジェリー。




そうして、二階のチャーリーの部屋で二人っきりになると、……… 案の定、 やっぱり、男は《吸血鬼》だったのだ!!


恐ろしい形相に変貌して、いきなりチャーリーに襲いかかってきたのだ!



だが、間一髪のところで、難を逃れたチャーリー。(ジェリーは手のひらを刺され、窓から飛び出して逃げてゆく)


(でも、このままじゃ、また襲ってくるかもしれない …… どうすればいい?! …… )


ならばと、………

今度はチャーリー、何を思いついたのか?


怪奇テレビ番組《フライトナイト》のヴァンパイア・ハンター役でお馴染みな、只の俳優である『ピーター・ヴィンセント』(ロディ・マクドウォール)の元を訊ねた。


助けを求めようとするのだが ……… ピーターにしても、「コイツ、おかしいぞ」と、全く取り合う風でもない。


八方塞がり、ど~すればいい???



こうして文章に書き出してみても、かな〜り な主人公チャーリーの物語である。


小さな子供なら分かるが、隣人がおかしな行動をしてるからといって、普通すぐさま《ヴァンパイア》って発想になるかねぇ~。(たまたま、そうだったんで結果オーライ!だけど)


それに、テレビでヴァンパイア・ハンター役を演じているとはいえ、只の俳優 に助けを求めるのも、高校生としてはどうなんだろ?(《おかしい奴》呼ばわりも、充分に分かる気がする(笑))


何から何までおかしい事だらけで、ツッコミどころ満載のホラー映画だが、観てると段々クセになる。


そうして、

この「このバカバカしさがたまらない!」って思えるほど、この映画は、とにかく面白いのだ! ♪~(´ε` )



助けを求められた『ピーター』(ロディ・マクドウォール)にしても、番組はやや低迷気味で俳優としては、やや下り坂。


チャーリーの友人『エド』(スティーヴン・ジェフリーズ)と、心配した彼女『エイミー』にも言われて、「どうかチャーリーの目を覚ましてほしい!」と訴えられると、人の良いピーターも渋々付き合ってくれたりする。(嘘のヴァンパイア・ハンターなのにね)


そうして一同は、隣家のジェリーの元へ!


エイミーも、エドも「なんだ、やっぱり気のせいだよ。普通の人じゃないか」とジェリーを見て安心するも、チャーリーはともかく、ピーターの様子は少しおかしいぞ。


芝居の小道具として持ってきた鏡にジェリーの姿が《全く映らない!》のだ。(吸血鬼は鏡に映らない)


ビックリして、そそくさと一人帰っていくピーター。(本当に吸血鬼だぁーー!)


一方、エドとエイミーは、ジェリーにまんまと騙されて、二人は《狼男》と《吸血鬼》にされてしまう。


なぜ?吸血鬼じゃなく《狼男》になってしまうのかは不明。》




なぜ?吸血鬼なると、牙と一緒にショート・カットの髪の毛がロン毛になってしまうのかも、これまた不明である(笑)》





「こうなりゃ、悪の根源であるジェリーをやっつけるしかない!」


腹をくくった、偽者ヴァンパイア・ハンター『ピーター』と、高校生『チャーリー』は、吸血鬼ジェリー相手に、勝ち目の薄い、最後の闘いを仕掛けるのだが ……





只の俳優が、ドンドンそれらしく本物のヴァンパイア・ハンターになっていく …… 

これもロディ・マクドウォールの後年の傑作だろう。(この人、本当に運が良いのかも)




この映画は、このバカバカしさが当時大いにウケて、大ヒットした!(なんと!1988年には続編のパート2まで作られてしまう。)



そうして、2011年にはリメイクで『フライトナイト/恐怖の夜』が作られ、2013年には、そのリメイク版のパート2まで、さらに作られてしまう始末。(どんだけ皆んな『フライトナイト』が好きやねん!(笑))



しかも、この第1作目に関しては、あのアクションやホラー映画に贈られるという『サターン賞』まで受賞しているのだ。(もうビックリ!)




で、こんな映画を作ったのが、「誰なのか?」と思い、コソコソ調べてみると、脚本と監督をトム・ホランドって人が兼任している。


トム・ホランドは、あのバイオレンス・アクションの傑作『処刑教室』の脚本を書いており、『チャイルド・プレイ』では、これまた脚本と監督をやっているような多才な方なのだ。



それを知って、妙に「なるほど~」と納得してしまった。



私、以前にも書いたのだが、《ホラー映画》は少々苦手とするジャンル。

だが、稀に面白いと思うモノもチラホラとある。




それらの面白いと思えるモノは、《ホラー》というジャンルが、《くだらなさ》や《バカバカしさ》と紙一重だということを、ちゃんと熟知して理解しているようなモノなのだ。



この『フライトナイト』もソレをちゃんと分かっていて、楽しめるように作られている。



この意図した、バカバカしさを、大いにおちょくりながら楽しもうではないか。


星☆☆☆☆。