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2021年11月26日金曜日

映画 「白い肌の異常な夜」

 1971年  アメリカ。




この映画を観れば、ドン・シーゲル監督や、クリント・イーストウッドの見方は180度変わるかも。(『ダーティハリー』しか観てない方は特に)


かくいう自分も、その昔、何の予備知識も無しに観て、かなりの衝撃をうけた。


ガビーーーン!何じゃ、こりゃ?!


この映画を観た後なんて、しばらくの間は、この二人に関しては変な色眼鏡が抜けきれずに、「映画は映画として……」なんて割り切れなかったほどだ。


そのくらい、この映画は、エロティックであり、残酷なモノに満ちあふれている。


ドン・シーゲル、イーストウッドの師弟コンビが、若い時のノリで、思いっきり《変態性》を突き詰めた異色作。


それが、『白い肌の異常な夜』なのであ〜る。




時は、南北戦争終わりの頃、森の中でキノコ採りをしていた12歳の少女『エミー』は、瀕死で倒れている北軍の伍長『ジョン・マクバニー』(クリント・イーストウッド)を発見した。


(死んでるのかしら?……いや、生きてるわ!それに脚を怪我してる、この人!)


幼いエミーにそれ以上の事が出来るはずもなく………エミーは森を抜けた自分が住んでいるファーンズワース女学院へと助けを求めて走った。


しばらくして、気を失っているジョンが、ふと目を覚ますと、自分は担架の上に載せられていて、それを左右から見知らぬ女たちが大勢で取り囲みながら運ばれている。


(誰なんだ?この女たちは……俺をどこへ連れて行くつもりなんだ?!)


《ファーンズワース女学院》……そこは『マーサ・ファーンズワース』を校長として、森の中で自給自足をして女たちだけが住む女学校なのだ。


教師も女なら、エミーのような小さな生徒から思春期の生徒たちまで、全てが女性。

黒人奴隷で学院につかえているのも、これまた女性なのである。



こんな女だらけの巣の中に、突然、男が一人やって来た。


怪我をしていて動けないとはいえ、《男》は《男》なのだ。



案の定、その日から、女たちは始終ソワソワしはじめる。


気にならないはずがないのだ。(しかも若くてハンサムな男ときてるんだから)



ある日、17歳の女生徒『キャロル』は、授業を抜け出して、こっそりジョンが寝ている部屋へ忍び込むと、自ら大胆にキスしてくる始末。(ワァオー!)


清楚な女教師『エドウィーナ』もジョンの魅力に抗えずメロメロになっていく。




やがて介抱のかいあって、ジョンが松葉杖で歩けるようになると、南軍に引き渡そうと考えていたマーサもすっかりジョンの虜になって、

「どうかしら?ここに住んで畑仕事を手伝ってみては?」なんて提案をしてくる。



そんなマーサに「しめた!」と思ったジョンは、「この期を!」とばかりに、年増のマーサにまで手を出してしまう。



こうして色々な女たちと愛欲の日々を過ごすジョン。


まさに、ジョンにとっては、ここは《ハーレム》か《天国》。


あっちの女、こっちの女と行き来して、女たちの欲求に応えていく。



だが…………世の中、そう簡単に上手くいくのか?


やがて、女たちの間では、不穏な空気が流れはじめ、最悪の事態がジョンを襲うのだった………(アララ……やっぱりね)




こんなモテ男を演じたクリント・イーストウッドと、それを監督したドン・シーゲル


この『白い肌の異常な夜』は、あの『ダーティハリー』と同年、1971年の作品なのだ。


で、結果は『ダーティハリー』の方が世間的に大ヒットしたのは、皆の知るところなのだが、ドン・シーゲルにしてもイーストウッドにしても、この『白い肌の異常な夜』の方にこそ、思い入れが、かなりあるらしい。


なんせ、後年になっても、

「自分が監督した作品で何が好きか?」

と聞かれると、ドン・シーゲルなんて真っ先に「『白い肌の異常な夜』!」と答えているのだから。(まぁ、『ダーティハリー』は、皆が嫌がって無理矢理押し付けられたモノだしね)


イーストウッドにしても、この映画の撮影では「こんなカメラアングルで撮った方が効果的なんじゃないか?」なんて、どんどん自分の意見を発信していたらしい。


シーゲルも、それを「うん!うん!」と受け入れてくれたのだから、この映画は二人にとってはエポック的な作品なんだろうと思う。



たとえ、映画が、《残酷》で《変態》みたいな内容でも……(笑)




この後は、案の定、ジョンが若いキャロルと情事にいそしんでいるのを、女教師エドウィーナが目撃して修羅場。


エドウィーナは松葉杖のジョンを階段から突き落としてしまう。(ヒェ~!)


治りかけていたジョンの脚は、複雑骨折で、もうメチャクチャだ。


そんな光景を見ながら、マーサが冷淡に告げる。


「この脚はもうダメね……切るしかないわ」


イヤだぁぁぁーーー!

ジョンの叫びも虚しく、ギーコギコ(ギャアーー!(鳥肌モノ) )




脚を失ったジョンを今後どうするのか……


憎さはあれど、ジョンの肉体に完全に溺れていた女たちは集まって話し合う。


その結果、「皆でジョンを《共有する》」事になる。(いわばタネ馬みたいなもんである)



だが、こんなのに当のジョンが堪えられるはずもなく、すきをついたジョンはマーサの銃を盗んで、逆に脅してきたのだ。


(この男はやっぱり危ない……学園の平和の為にも、ここは決心しなければ……)


その夜、ジョンには、美味しい《毒キノコ》の料理がふるまわれたのでした。


メデタシ、メデタシ……。(メデタシなのか?)



ドギツくて、変態的で、なんとも言えないような内容の映画でしょ?


冒頭、少女がキノコ採りに行って、見つけたのは、食べられないけど立派な《キノコ》を持った男なのでした。


キノコではじまり、皆が《キノコ》を求めて、毒キノコで終わる。


なんだかキノコ尽くしの映画。


この映画は、こんな解釈でいいのかな?(失礼!(~_~;) だいぶ口が滑りました (笑) )


長々、お粗末さま!