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2021年2月2日火曜日

映画 「フランス式十戒 ③」

《②の続き》




《6話目》

20歳の医学生『ピエール』(アラン・ドロン)は、ビーチ沿いでレストランを経営している両親の一人息子。


でも、何かとガミガミ小言ばかり言っている母親には、ここ最近、ウンザリしていた。


こっそり父親に愚痴るピエール。


「何であんなにうるさいんだ!あれでも本当に僕の母親なの?!」


父親はしばらく黙っていたが、意を決したように、とうとう打ち明けた。


「実はお前には、本当の母親が別にいる」と。



ガガーン!!( ̄□ ̄;)!!


思ってもいなかった衝撃の事実に大ショックのピエール。


しかも、16歳の若さでピエールを産んだ本当の母親は、誰もが知る有名女優『クラリス』(ダニエル・ダリュー)だったのだ。


またもや、ガガーン!!と大大ショックのピエール。



「二人とも若すぎたんだ……その後、私は母さんと知り合って結婚して、お前を実の子として育ててくれたんだ」


しばらく黙っていたピエール……でも……


(本当の母親がいるなら会ってみたい!)

そんな気持ちが、途端にムクムクと沸いてきた。



こうして、女優クラリスの楽屋をこっそりと訪ねたピエール。


(喜んでくれるだろうか? それとも追い返される?……)


期待と不安の中で、ピエールはクラリスを目にすると、おもわず「母さん!」と叫んだ。


クラリスは最初、ビックリしていたが、全てを察したようだった。

表情はにこやかになり、我が子ピエールを包むように抱きしめてくれた。


「あ~私の坊や、こんなに大きくなって……」


母子の再会は感動的。


だが、クラリスは、ピエールやピエールの父親が知らなかった、思わぬ衝撃の事実をピエールに話しはじめるのである……。




なんだか継母とか、実の母親とか、アラン・ドロン版『赤いシリーズ』みたいなお話である。


もう、この頃には『太陽がいっぱい』や『若者のすべて』で、世界中ドロン旋風が沸き起こっていた時代。


とっくに大スターの仲間入りをしていたアラン・ドロン。


そんな大スター、アラン・ドロンが、よくも、まぁ、こんなオムニバス映画の短い一編に出演してくれた事よ。(デュヴィヴィエ監督作品だからか?)


そして、やっぱり、この頃のアラン・ドロンの美青年ぶりは、別格すぎるくらい別格。

男の自分から見ても、「美しい」整った顔をしている。


こんなアラン・ドロン、その後も活躍していくのは、万人が知るところなのだが、デュヴィヴィエ監督との縁は続いていく。


そして、デュヴィヴィエの遺作は、アラン・ドロンを主演にした『悪魔のようなあなた』なのである。



実母クラリスを演じたダニエル・ダリューもデュヴィヴィエ監督とは、縁が深い。

以前、紹介した『自殺への契約書』でも主演してるしね。(早くDVD出してよ!)



このお話のオチも中々良いし、アラン・ドロンとダニエル・ダリューの共演で、私の好みの一編なのである。





《7話目》

調子の良さだけが売りのテキトー銀行員『ディディエ』(ジャン=クロード・ブリアリ)は、社長から本日をもってクビを宣告された。


クビと言われても、全く反省のないディディエ。


「今日はまだ6時間もある。あ~あ、クビになるなら、出社しないで寝とけばよかった~」なんて社長の前で、堂々とのたまう始末。(案の定、社長の「出てけー!」の雷が響く)


しかたなく、(最後の仕事を一応せねば…)と銀行の窓口にしぶしぶ座るディディエ。



そんなディディエの前に突然、妙な様子の男がやって来た。


新聞紙の間からピストルを覗かせると、「おい、金を出せ!」とボソッと言ってきたのだ。


( ´゚д゚`)アチャー、銀行強盗かよー。



でも、このディディエ、怖がる様子もなく、楽しそうに札束をドンドン目の前に、差し出し始めた。


「さぁ、どうぞ!ハイ、どうぞ!!」


どんどん差し出す札束の山に銀行強盗もビックリ。


それでも、何とかせっせと鞄に詰め込んでゆく強盗。


ディディエの差し出す札束は、まるでおかわりする《わんこそば》の如く、次から次へと差し出される。(いいのか?)



やっと満足した銀行強盗が立ち去った後、ディディエは警報ベルを押して、失神するフリをして、その場に倒れたのだった。



その後、警察の事情聴取でも、デタラメな犯人の人相をペラペラと喋るディディエ。


でも、ディディエには、ある考えがあったのだ。


(あの強盗、どこかで会った気がする……そして、あの強盗から上手くあの金を奪えたら……)


仕事はテキトーでも、ディディエの悪知恵は天下逸品。

早速、金儲けの為、行動を開始する……。



ジャン=クロード・ブリアリも、日本ではあまり知られていないが、それなりに有名な俳優。


クロード・シャブロル監督の『いとこ同志』や別のデュヴィヴィエ監督作品『火刑の部屋』にも主演しているという。


アラン・ドロンの話を観た後に、ブリアリじゃ、ブリアリには、ちと部が悪いかも。(そのくらいアラン・ドロンの美青年ぶりが光っているので)


でも、ブリアリも、もちろん整ったお顔をしていて好青年なんだけどね。(一応、テキトーだけどフォローしとく (笑) )



「盗んだ金を盗みかえして何が悪い?」


こんな開き直りと、主人公のご覧のようなテキトーな性格で、このお話がドタバタ・コメディーとしては、一番明るいかも。


話は凡庸だが、映画を明るく締めるなら、丁度いい作品ってところかもしれない。




《エピローグ》

《1話目》の『司教』と『ジェローム老人』(ミシェル・シモン)は、昔ばなしに夢中になりすぎて、ワインを何本も空けながら、すでにベロベロ、泥酔状態。


神を冒涜しないよう、十戒の説教をしていたのも、すっかり忘れてしまっている様子の司教様。


料理女は、そんな二人の接待で日曜だというのに家にも帰れず、台所ではブツブツと文句が止まらない。



そんな3人の目の前に現れた『蛇』=悪魔の化身。


「キャアーッ!蛇よ!!早く暖炉に投げ込んでちょうだい!!」


ジェローム老人、少しも慌てず、蛇を手掴みすると(ゲゲッ!よく触れるよ)外の井戸に持っていって投げ入れた。


[ギャアアァーッ!!なんて事するんだ?!このヤロー!!]『蛇』(悪魔)は、雄叫びを上げながら落ちていく。



でも、しばらくすると、またもや別の所から、スルスルと現れて、ひょっこりと顔を出す『蛇』(悪魔)。


[ハハハーッ!バーカ!!そんなに簡単に悪魔が殺されるかよ!](なんじゃ?このお茶目な演技過剰の悪魔は (笑) )



『人間』が存在する限り、『悪魔』も死なず。

映画は、そんな教訓を残して《Fin》となるのである。




こんな感じで、書いてみた『フランス式十戒』いかがだっただろうか?


3回にも分けて長々と、この映画だけについて語っている変わり者もいないはず。(よく書いたよ)


私の評価は全体として、星☆☆☆。


「面白いー!」というのもあれば、これは「ん~……」とアタマを捻りたくなるのもあって、プラスマイナスで、評価としてはこれが妥当かな。


オムニバス映画は観るのも、その感想を書くのも難しい。


取りあえずは書いてみて、「当分オムニバス映画は、もう、いいや…」ってのが正直な本音。(まぁ、とにかく大変なので)



それでも、この映画を観る際の、何かの参考になってくれれば、これ幸いである。



とにかく、面白いと思う話は深く考えずに笑いとばそう!(下の画像の二人のように)


人生はケ・セラセラ(なるようになるさ!)である。


こんな言葉を結びとして、ひとまず終わりにしたいと思う。(それにしても、ハァー、疲れたびー)