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2020年11月9日月曜日

映画 「コブラ」

1986年 アメリカ。





マリオン・コブレッティー》……通称、コブラ


ロス市警ではゾンビ班なる部署に配属されている。(なんちゅー、ネーミングセンスの班なんじゃ!)

手に負えないような、凶悪な異常者を相手にするのが、このゾンビ班である。


レイバンのサングラスをかけて、口には爪楊枝?マッチ?何か知らんが、をたくわえている。(お前は木枯らし紋次郎か? (笑) )


愛車は、1950年型のマーキュリー・クーペ。



今日も、「スーパーマーケットで異常者が銃を乱射している!」なんて事件の通報が入ると、コブラは早速、愛車のクーペで駆けつけた。


騒然とした現場では、警察がスーパーを取り囲んでいる。


「状況は?」とコブラが訊くと、一足先に来ていた相棒の『ゴンザレス警部補』(レニ・サントーニ)が飄々(ひょうひょう)として近づき、「やばい」とだけ呟いた。



それだけ聞けば充分とばかり、コブラはスーパーの中へ堂々と、単身入っていく。



既に殺されている買い物客たちの死体をよけながら、奥へと進んでいくと、あきらかに異常そうな男が、若い女を人質にして騒いでいた。



「何だ?!テメェは!!それ以上近づくんじゃねぇー!このスーパーがどうなってもいいのか?!」

「別に……俺はここで買い物しない」


コブラは袖口に隠したナイフを手に、ストン!と落とすと、それを掴み、犯人めがけて投げた。


「ギャアァー!!」ナイフは犯人の懐に見事に刺さる。


そして、間髪入れずにコブラの愛銃《コルト・ゴールドカップ・ナショナルマッチ》(名前の長~い銃)からは、連続して3発の弾丸が発射された。



犯人絶命、これにて事件は解決!


外に出て、騒ぐマスコミたちの群をぬけると、苦虫を噛み潰したような《モンテ警部補》(アンドリュー・ロビンソン)の憎々しい顔。


「こんな、お前のやり方を、俺は絶対に認めないぞ!」(多分、コブラが大嫌いなんだろう)


こんなモンテ警部補の言葉にも、シレ~として、「知ったことか!」のコブラ。


異常者たちが出れば、必ず俺の出番がくるのだ。


頼りになる男、悪を許さない非情な男……それが《コブラ》なのである。



そして、ロスの街では、またもや別の、無差別殺人が横行していたのだった。


コブラの出番である!




久しぶりに観た『コブラ』、やっぱり面白かった。


話がサクサク進んで、中だるみもなく、次から次へと怒濤のアクションの連続に興奮しっぱなし。


それもそのはず、何と!この『コブラ』、上映時間が90分もないのだ。(およそ88分)


この時間で、これだけ濃縮されたアクションを楽しめるんだから、ちょっとした暇な時間には、もってこいである。



このコブラには、一応、原作らしきモノがある。



女流ミステリー作家、ポーラ・ゴズリングが書いた『逃げるアヒル』が原作なのだが、ほぼ原作無視。(いいのかなぁ~?)


《殺人犯を偶然、目撃してしまった女性が、命を狙われながら、ボディーガードの刑事と逃避行しながら闘う》


ただ、この一点だけを借りてきて、登場人物の名前も、背景もすべて変えられているので、完全に別物になっております。(※いくら、当時新進の女流作家でも、このあまりの改変には腹がたったのかなぁ~? この後、同じ原作で、ウイリアム・ボールドウィンを主演にして『フェア・ゲーム』というタイトルで映画になっている。)



で、殺人集団《ナイト・スラッシャー》の顔を目撃してしまったのが、たまたま車で帰宅途中だった、運の悪い女性『イングリット・ヌードセン』(ブリジット・ニールセン)。


それから、いく先々で殺人集団に命を狙われるイングリットは、「キャアァー!!キャアァー!!」と泣き叫ぶが……ごめんなさい。全然、か弱そうに見えない(笑)。


なんせ、演じているのが、身長が185cmもある大柄なブリジット・ニールセンですもん。(警護するスタローンは身長178cm)


この『コブラ』、面白いんだけど、ただ1つの失敗は、この《ブリジット・ニールセンの起用だった》と、あらためて思ってしまった。



でも、しょうがないっていえば、しょうがないんだけど……。



なんせ、スタローンとブリジットは当時、ラブラブ夫婦。


映画『ロッキー4』で知り合い、結婚して、そのままの流れで、この『コブラ』に出演してるのだから。(でも、翌年の1987年には離婚している二人。スタローンも、やっと正気を取り戻したようだ (笑) )


つくづく、ヒロインが、「このブリジット・ニールセンじゃなかったらねぇ~ ……」なんて思わずにはいられない。




スタローンが、この映画で目指したのは、クリント・イーストウッドの『ダーティ・ハリー』のような孤高の刑事が活躍するアクションである。


80年代になっても、まだまだ刑事といえば、『ダーティ・ハリー』と言われるほど、そのインパクトは、かなり強烈だったようで、あらゆる後続の刑事モノ映画は、ダーティ・ハリーをお手本に、インスパイアされて作られていたようだった。



ロッキー、ランボーと、ヒット・シリーズを打ち立てたスタローンも、


「俺も、今度は、《ダーティ・ハリー》のような刑事モノので、ひと山、当てたる!!」の思惑があったと思う。



相棒役に、『ダーティ・ハリー』の相棒チコ役だった、レニ・サントーニが起用されていたり、

嫌味な刑事役に、同じように、『ダーティ・ハリー』の凶悪犯だったスコルピオ役のアンドリュー・ロビンソンが、いたりと、素人でも分かりやすいくらい、この映画『コブラ』には、『ダーティ・ハリー』の影が、アチコチに見え隠れする。



ただ、この起用、アンドリュー・ロビンソンにとっては、嬉しい救済になったようである。



『ダーティ・ハリー』の極悪なスコルピオを演じてから、そのインパクトゆえ、来る役、来る役が同じような犯罪者役ばかりで、嫌気がさした彼はとうとう、芝居から距離をとって、5年間、故郷に引っ込んで田舎暮らしをしていたのだ。


その間は、大工仕事をしたり、演劇を教えたり……完全に映画から離れていたアンドリュー・ロビンソン。



この『コブラ』は、そんな彼が、再び、再起するきっかけを与えてくれた映画なのである。

映画のラスト、殺人集団ナイト・スラッシャーたちを絶滅させ、イングリットを救いだしたコブラ(スタローン)は、嫌味なモンテ警部補(アンドリュー・ロビンソン)に、一発パンチをおみまいする。


今にして思えば、このラスト、「よく、映画界に戻ってきてくれた…」なんていう、ある意味、スタローンなりの激励のパンチだったのかもしれない。


そんな気がしてならないのだが……(考えすぎか?)



カーアクション、手榴弾の爆破、バイクが、そこらじゅうにぶっ飛び、火炎をあげる!




これもスタローンの佳作として、星☆☆☆☆であ~る。(面白いよ)