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2020年10月28日水曜日

ドラマ 「父母の誤算」

1981年。




まぁ、画像を探したけど適当なモノが見つからないわ。


そのくらい、もはや覚えている人も少ないのかな?

写真は最近の利重剛さんである。




このドラマ、金曜の夜10時くらいにやってたっけ。


私、当時、中学1年だったけど、このドラマを何となく観ておりました。(「中1が遅くまで起きてないで、さっさと寝ろよ!」とは言われない。うちは放任主義)




脚本は小山内美江子で、あの『金八先生』で有名な方。


近年、この小山内美江子を、ある番組で観る機会があったんだけど、本人も中々強烈だった。


数十年ぶりに、金八先生に出演していた上戸彩が会いに行って、「先生、お久しぶりです」と挨拶するも、

「誰だ?!お前!!」のドスのきいた迫力の一言。(終始、上戸彩がヘイコラ気を使っていて、「エラソ~な、イヤな感じの婆さんだなぁ~」に見えてしまった。)


まぁ、逆に、このくらいアクが強い性格だからこそ、あの脚本が書けるんだろうけど。




このドラマ、脚本が小山内美江子でもあり、その息子である利重剛が俳優デビューをした作品でもある。


とにかく、この利重剛が演じた『高井洋二』という役柄が、とんでもなくイヤ~な野郎。


こうして何十年経った今でも、その印象が、あまりにも強くて、ずっと尾を引いているくらいなのだ。


テレビでたまに利重剛を見かける事があっても、自分にとっては、いつまでも(あのイヤ~な感じの『高井』)なのである。(本人は良い人柄なんでしょうけど。ゴメンナサイ)




『高井洋二』という高校生は、不良は不良なんだけど、見た目がツッパリの格好をするわけでもなく、ガムシャラに暴れまわる不良とはわけが違う。


知能犯、確信犯の不良なのである。



大人の前では平身低頭、気弱な仮面をかぶって欺き、裏では態度を豹変させる不良生徒。

大病院のエリート一家に生まれた高井は、上手に仮面を使い分けて生きてきたのだ。



そんな高井が、東京から静岡の高校に編入してくると、途端に嵐が起きる。


転校初日からタバコを吸っているのを咎められるも、「ボクは吸ってません!」、「ボクは不良たちに使いパシリをされただけなんだ!」の気弱そうな顔で弁明。


だが、裏にまわれば「馬鹿な教師たちが……」と、ほくそ笑むのだ。(気持ち悪いし、まぁ、憎たらしい)



大人を完全にナメきってる高井。



だが、校長の『中林繁雄』(露口茂)だけは、そんな高井に欺かれることなく、歪みきって腐りきった高井を「何とかしてやらなければ……」と考える。(長年、『太陽にほえろ!』で悪党たちを相手にしてきた山さんですもん。こんな小悪に騙されるもんですか)



「必ず教育は人を救うんだ!」を理念としている中林繁雄に迷いはない。



ついには、高井や他の問題児たちを、住み込みで自分の家に置いて、学校に通わせながら面倒をみようと言いはじめたのだ。


そんな繁雄の提案に、妻の『せつ子』(長山藍子)は、最初こそ、「あたしは反対です」の一点ばり。


「うちには年頃の娘がいるんですよ!そんな人たちをうちに入れるなんて……問題が起きたらどうするんです?!」(長山藍子なんで、ユックリ、やんわり、しとやかな口調を崩さない。決してヒステリックに激昂なんてしません(笑))


そんなせつ子だったが、夫の繁雄の熱意に、次第に根負けして、不良たちを住み込みさせる事を、やっとこさ同意する。



だが、せつ子の予感は当たり……高井や不良たちは次から次へと問題を起こして……。


校長、中林繁雄の熱意は彼ら、不良たちを更正させられるのか………?





………っていうのが、大まかなドラマのストーリーである。


こんな書き方をすると、「どうせ熱血教師と不良のドラマなんだろ?」と思う人もいるだろうが、このドラマに限っては、少し毛色が違っていたような気がする。



なんせ、主人公の『中林繁雄』(露口茂)が会議好き。


なにか、事があれば、家族を集めて家族会議をする。そして問題の対処法を皆で考えるという特殊な家庭だった。(山さんったら……)



しかも不良たちにも手を挙げずに、コンコンと、まるで刑事の取り調べのように、自分のやった事を反省させ、さとすように、あの独特なしゃがれ声で説得するのである。(もう、山さんったら……(笑))



でも、こんなんで不良たちが改心するのかねぇ~、と思っていたら案の定、高井や不良たちは隠れて、タバコをプカプカ。



そんな時、とうとう、妻の『せつ子』(長山藍子)が動き出す。




「みんなー!ご飯よ!!降りてきて!!」


せつ子の声に、2階にいる高井や不良たちが1階の茶の間に降りてくると、せつ子が夕飯を並べている。



側に置かれた炊飯器からは異様な匂いが漏れている。


「うっ、何ですか?この匂い……」


せつ子が炊飯ジャーの蓋を開けると、異様にムワァ~と広がる匂いと共に、とんでもないモノが目に入ってきた。



大量のタバコと一緒に炊かれた米……通称《バコご飯》である!!(ゲゲッー!)





高井たちが驚愕している中、せつ子はニッコリ笑いながら、その《タバコご飯》を一人一人のお茶碗によそいはじめた。


「みんな、タバコ大好きよね?イッパイ炊いたんだから沢山食べて、おかわりしてね!」


せつ子の態度はどこまでも、にこやかで飄々としている。



そのせつ子の様子に、さすがの高井や不良たちもガタガタ震えだし、とうとう土下座して謝ったのだった。


「スミマセン!奥さん、スミマセン!!」と。



そんなせつ子はユックリ振り向くと、「タ・バ・コ・やめてもらえるわね?」と、一言。



やんわり、しっとり、おだやかに……『せつ子』(長山藍子)の口調は変わらないけど、それがかえって不良たちには不気味な怖さとして見えた瞬間だったのである。





こんなの食卓に出された日にゃ、そりゃ禁煙もできるでしょうよ (笑)。


この伝説の《バコご飯》、『高井』(利重剛)の気持ち悪さ、長山藍子の肝のすわった怖さ………これも何年経っても、忘れられないトラウマドラマである。


DVD化は、やはりされていないが、どこかで観る機会があるなら、もう一度観てみたいものだ。


錆び付いた記憶の欠片として、ここに記しておきたいと思う。

星☆☆☆。


※昔は、こんな長山藍子とか、独特な口調の人が、けっこういたよなぁ~。


そんな女優さんを、最近見かけなくなった今、ちと不満をもて余す、今日この頃なのである。