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2020年7月24日金曜日

映画 「青春群像」

1953年 イタリア。








グ~タラ5人組の若者たち。

職にも付かず、毎日がグ~タラ暮らし。(あ~これぞ、青春って感じ)




女の尻ばかりを追いかけまわしてばかりいる、根っからのスケコマシ野郎『ファウスト』(フランコ・ファブリッツィ(写真左手前))。


姉と母親がいるのに、自分は働かずに享楽にふけってばかりいるオッサン顔、『アルベルト』(アルベルト・ソルディ(写真右))。



劇作家志望でメガネ君、『レオポルド』(レオポルド・トリエステ(写真中央))。


美声で歌うのが大好きな、こちらもオッサン顔、『リッカルド』(リッカルド・フェリーニ(写真上右))。


そして、仲間内では最年少の『モラルド』(フランコ・インテルレンゲ………仲間では一番のイケメンさん(写真上左))。





こんな5人組は、田舎町のイベント、ミス・コンテストにやってきた。


優勝したのはモラルドの妹『サンドラ』(レオノーラ・ルッフォ)。



だが、天候が怪しくなっきて、突然の稲光。

皆が、近くの建物の中に引き揚げていくと、雷鳴とともに外は大雨になった。



そんな中、優勝者のサンドラが突然ぶっ倒れた。

「キャアアーッ!サンドラ!!」側にいた母親が叫び、皆が騒然としている時、アレレ?……ファウストの姿がいないぞ。




ファウストは急いで帰宅すると、荷造りをしはじめた。


雨の中、急いで帰宅した息子を怪しむ父親。

「何なんだ?お前、いきなり帰ってきて!」

「頼む!親父、5000リラ貸してくれ!今から働きに行くから!」

「働きに行くって、こんな雨の中?」



そんな会話の途中、モラルドがやって来た。


「ファウスト、妹は妊娠していた……」

「へ~そうか、おめでとう」(しらを切るファウスト……明らかに相手はお前じゃないか)



立場がまずくなるのを見越して、ファウストはトンズラしようとしていたのだ。



そんな会話を戸口で聞いていたファウストの父親はカンカン。



「どこにも行かせないぞ!責任をとってお前はサンドラと結婚するんだ!分かったな?!


父親の怒声に、もはや観念!と、トホホ顔のファウスト。



雨上がりの外には、仲間のアルベルトやレオポルド、リッカルドもやって来て、はやし立てた。

「頑張れよー!ファウスト!!」

「おめでとさ~ん!!」


人の事だと思ってコイツら……




そして、後日、教会でリッカルドの美声が高らかに響く中、ファウストとサンドラの結婚式は、執り行われたのであった。




「パパ、結婚して良かったよ~」(コイツ~)


浮かれて騒いで、皆に祝福されるとファウストも、その気になって、不意に、そんな言葉が洩れた。



花嫁花婿は、列車で新婚旅行。ローマへ旅立っていき、それを見送る仲間たち。



だが、人間そんなに直ぐに変われるものか?



根っからのスケコマシ、ファウストの性格は環境が変わっても、変わらずに………。





フェデリコ・フェリーニの『青春群像』をやっと観れた。



これも、長年、「観たい、観たい」と、切に思っていた映画。


この翌年には、あの名作『道』が公開される。




この映画も評価が高く、あのスタンリー・キューブリック監督が、「一番好きな映画」として、これをイチオシしているのも知っていた。



こんなのを頭の片隅に入れていたので、観る前から、俄然、この映画にも期待してしまう。


で、観た感想………



カル~いし、みんなアホだし、

「今日が楽しければそれでいい。明日は明日の風が吹く」なんてのを地でいくような人物たち。



泣いても、怒っても、それを次の日までズルズル引っ張らない。


カラッとしてる。


これが、この時代の人間の特徴。


でも、なんて、皆、平和で、単純で楽しそうなんだろう。






この時代から数十年が経ち、こんな人間たちを、ほぼ見かけなくなった。


かくいう自分にしても、ひとつの事にジメジメ囚われて、明日も、次の日も、ずっとズルズルと考えてしまう。


イヤだ!イヤだ!



今の窮屈そうで、がんじがらめの世の中とは、まるで真逆のような大らかさ。

こんな映画を観てしまうと、「昔は良かったんだなぁ~」とつくづく思わずにはいられない。






最後、浮気を繰り返すファウストに、ウンザリしたサンドラは、乳飲み子を抱えて家を飛び出す。



サンドラに家出されて、やっと自分の愚かさに気づいたファウストは、あちらこちらを探してまわり……


結局は、サンドラは、ファウストの父親の家に赤ん坊を連れて身を隠していた。




「サンドラ~!」

やっと見つかったサンドラにホッ!とするファウストだが、このままですむはずもなく………



怒りの父親の折檻が待っている。


ファウストの父親は、ズボンからベルトを抜き取ると、サンドラと子供を部屋から追い出した。


お前という奴は……そこへなおれ!!


ベルトで、バッチン!バッチン!30男の息子をムチ打つ父親。



ヒィーーーッ!やめてくれぇー!父さん!!


部屋中を逃げ惑うファウスト。(この場面、相当可笑しくて笑ってしまう(笑) )



愛するファウストが打たれる声にたまらず、サンドラが、「もう、やめてー!」と声を荒げて喧嘩はオシマイ。


二人は抱きあってハッピー・エンド。



「ごめんよ、サンドラ……」

帰りには父親とも抱きあって和解するファウストとサンドラ。




怒りは一時のもの。そして、それを許すのも簡単なのだ。



こんな痴話喧嘩や、仲間たちのグ~タラぶりを見ていた一番若いモラルドは、「自分もこのままじゃいけない……」と街を去る決心をする。



一人、汽車に乗って、旅立とうとするモラルドに手を振る駅で働く少年。



「元気でねぇ~モラルド!」


モラルドを乗せた汽車は、遠い線路の向こうへと消えていくのである………。




フェリーニの『道』も傑作なのだが、この映画を観てしまうと、私個人は、この『青春群像』の方が好き。


適度に青春のバカさ加減がつまっていて、不安もあって、でも、毎日を明るく生きてる人々。


星☆☆☆☆☆であ~る。


※リッカルド役のリッカルド・フェリーニは、もちろん監督フェデリコ・フェリーニの実の弟さんである。

他の出演者たちの経歴を、少しずつ調べてみるのも、また今後の楽しみかもしれない。