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2020年5月20日水曜日

映画 「トランス」

2013年 イギリス。





絵画競売人の『サイモン』(ジェームズ・マカヴォイ)は、ギャンブル依存症。



その為、膨れ上がった借金を肩代わりしてくれた、ギャングのリーダー『フランク』(ヴァンサン・カッセル)の計画に加担する事になる。




それは、オークション会場からの、絵画《 魔女たちの飛翔 》の強奪計画だ。



ガスを充満させ、会場が大騒ぎになり、パニックの中、見事、サイモンとの連携プレイで、絵画を強奪すると、フランクは、ホクホク顔で仲間のいるアジトに戻った。




そして、期待して包みを開くと……



…………ガックリ。



額縁だけやんけ~!何じゃコリャ~!!


舐めとんのかぁ~、あのヤローが裏切りやがったのかぁぁぁぁ~!!




サイモンは案の定、ボッコボコに殴られて、病院送り。


やっと退院すると、(ヤッパリね)フランク達の制裁が待っていた。


「俺の絵をどこに隠したんだ!!言え!!」


「覚えてないんだ!本当だよ!あんたに殴られて、その時の記憶がないんだ!!」



どんなに拷問されても、指の爪を剥がされても(ヒィーッ!痛そう)、口を割らないサイモンに、さすがのフランクも、


(本当に記憶喪失………?)と、信じはじめる。


でも、どうやって奴の記憶を取り戻せばいい?……



催眠術?そうだ!《 催眠療法 》だ!!


「おい!この中からどれでもいい、お前が選べ!!」

スマホ画面に、ズラズラと出てくる催眠療法師のリストから、サイモンは何となく、一人の女性を指差した。


「この人がいい………」



次の日から、選ばれた催眠療法師『エリザベス』(ロザリオ・ドーソン)との、マンツーマンのカウンセリングがはじまった。


もちろん、サイモンには、隠しマイクがつけられていて、フランクと他の3人の仲間達は、離れた場所で盗聴しながら、耳をタコにして、待ち構えている。



「さぁ、リラックスしてね……」



エリザベスは、そう言うと、自身が語りかける、あらかじめ録音していた声を流すと、サイモンに、『何も喋らないで!』というカードを目の前に差し出した。


『盗聴されてるのね?』というカードを見せて、サイモンには頷く合図だけをさせる。



そして、サイモンの胸ポケットにある隠しマイクを見つけると、それに向かって、おもいっきり、「ワァー!!」と叫んだ。




聴いていたサイモンたちは、耳がキーーーーンッ!!



「ぎゃあああぁぁーーー!!」の、けたたましい叫び声をあげる。





「あんた、いったいどういうつもりなんだ!?」


もはや、隠れてコソコソする必要もなくなったフランクは、エリザベスの前に現れた。


もう、とっくに、フランク達がギャングの一味で、記憶喪失のサイモンを使って、何かを探りだそうとしている事はお見通しなのだ。



そんなフランクに全く動じるような様子もないエリザベスは、「フフン」と笑みを浮かべて、

「私をあなた達の仲間に入れてよ」と逆に提案してきた。


「何を言ってるんだ?!」


「私が必要なはずよ、サイモンの記憶を取り戻す為にはね」


「ムムッ……」確かにフランク達だけでは、どうしようもないのだが、この女の、人をクッたような態度には、ムカッ腹が立つ。



こらえて……こらえて……



「いいだろう、分かったよ」と、渋々仲間に入れたフランク。




こうして、エリザベスの治療が再び始まる。



イラつくフランク……


(まるで、この女に、いいように主導権を握られたも同然だ………)


だが、イラつく気持ちとは、真逆の感情が芽生えはじめ、この不思議な女性、エリザベスに、フランクはどんどん惹かれてゆく………。




絵画を絡めた男女のサスペンス・スリラーである。



何だか、この映画、けっこうあちこちで、あんまり評判は良くないのですが、私は楽しめました。



マイナーな映画ゆえ、またもや、長々と冒頭のあらすじを書いてみたけど…………、懐かしい顔が出てるじゃないですか。




ジェームズ・マカヴォイを久しぶりに観たような気がする。(少しヤッパリ歳をとったかな? 顔も前よりふっくらしてるような)





ヴァンサン・カッセルが出演している映画を取り上げるのも、このblogじゃ初めてかもしれない。


言わずとしれた、いまや有名な2世俳優。



父親は、あの『オリエント急行殺人事件』の車掌ピエールや、『料理長殿、ご用心』の鳩料理人ルイでお馴染みの、『ジャン・ピエール=カッセル』。


後々になって、こんな話を知る事になるのだが、私、最初、このヴァンサン・カッセルの顔を、初めて見たとき、(ゴメンナサイ!ハッキリ言うと)気持ち悪かった。


「何だか、カマキリみたいな顔だなぁ~」ってのが素直な印象。


でも、見慣れてくると、不思議なもので、最近では、逆にカッコよくも思えてくる。


今や、歳をとって、溢れ漏れる男の色気みたいなモノが、今やムンムン。





そして、ロザリオ・ドーソン…


この映画で初めて見た女優さんだけど、この人、何人(なにじん)なんだろ?って思うくらい変わったお顔。



デカイ目、デカイ鼻、デカイ口、しっかりした顎。



調べてみると、《プエルトリコ人とキューバ人の混血である母親と、ネイティブ・アメリカ、アイルランド人の混血である父親のもとに生まれる》とある。



色々なお国の血が入ってるのも納得だ。




こんなロザリオ・ドーソンであるが、この映画の後、監督のダニー・ボイルとデキちゃったり、なんかする。



『監督』と『女優』………よくある話なんだけどね。



やっぱり、下世話な話、ダニー・ボイル監督も、カメラのフィルター越しに、女優ロザリオを見つめていると、なんだか特別な感情が生まれてくるのかな?


この女優に「触りたい!」、「引き寄せたい!」って思い始めるのかもねぇ~。





と、下世話な話は、このくらいにして。(エッ?いいのか?いきなり真面目!)




この映画で取り上げられる絵画も、なかなか魅力的でした。

《ゴヤ作『魔女たちの飛翔』》




話の中心になる、ゴヤの『魔女たちの飛翔』もいいけれど、映画の冒頭に出てくるレンブラントの『ガラリアの海の嵐』の素晴らしさに、見た瞬間、心奪われてしまった。


《レンブラント作『ガラリアの海の嵐』》




「なんて躍動感があって、荒々しくて、壮大で、素晴らしい絵なんだろう!」と。


こんな絵画なら、自分も欲しいし、一日中、見ていても見飽きる事もないだろうなぁ~。



映画が終わっても、冒頭の『ガラリアの海の嵐』が、もう1度見たくなってしまって、また再生してしまったくらいである。(1990年に盗まれて、いまだ行方不明。高額な3億ドルの値がつく盗難絵画である。誰だ~? 盗んだのは~?!)



レンブラントなら『夜警』が有名だが、この『ガラリアの海の嵐』は、なぜか、私を、強く惹き付けてしまった。


本当に素晴らしい絵画です。



映画は、星☆☆☆。

絵画もたまには、良いモノですね。


※《後記》ちなみに、この映画とは、全く関係ないが、とんでもないモノを見つけてしまった。



こちらが、画家ミレーが描いた『オフィーリア』の肖像画。


《ミレー作 『オフィーリア』》




そして、こちらが、それに扮している《樹木希林》である。



最後まで、お騒がせなバアさまだ(笑)。

お粗末!