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2020年3月7日土曜日

映画 「マイ・インターン」

2015年 アメリカ。
 




70歳を過ぎて、妻を亡くしてからも、それなりに友人知人たちと人生を謳歌していた『ベン・ウィテカー』(ロバート・デ・ニーロ)。



それでも何だか、いまひとつ物足りない日々……。



そんな時、スーパーの帰り道、シニア・インターンの募集を見つける。


「これだ!」


インターネットの会社ゆえ、面接の代わりに、自分で動画を撮影して応募するという。(難しそうだが、9歳の孫に教わればいいさ)


歳をとっても「何事もチャレンジ!!」精神のベンは、見事採用された。




そうして晴れて初出勤日。


ベンを入れたシニア以外にも、オタクで気の良さそうな若者『デイビス』なんてのもいる。

「ヨロシク!」

「こちらこそ」

私服でくだけた格好の連中が多い中で、ひとり背広にネクタイをピシッと決めているベンは、ある意味異質。逆に目立ってみえた。


広いワン・フロアーには、大勢の人々が、パソコンを目の前にして、忙しそうに仕事をしている。



ここは、インターネットで洋服を売るという、ファッション通販サイトの会社だ。



そして、その中心では、周り中にテキパキと指示を出している、ひとりの女性の姿。


若い女社長『ジュールズ・オースティン』(アン・ハサウェイ)がいる。


ジュールズは、「シニアのインターンなんて………」と、はなから馬鹿にして雇うのを反対していたのだが、部下の『キャメロン』に無理矢理、説得されたのだ。


そして、

「ジュールズ、君の下に直属として、誰かシニアの一人を置きたいのだが………」


「嘘でしょ?」(この忙しいのに勘弁してよ……)



そんな渋るジュールズを、これまた説き伏せると、かわりに転属されてきたのが、あのベンだった。


「ヨロシクね、ベン!」なんて言いながら、つくり笑顔で応えるジュールズだが、心の中では、(こんな、お年寄りが……ここで何の役にたつの?)ってのが、ありあり。




でも、ジュールズの当ては、完全に外れる。

ベンはオフィス内で、次々と頭角を表していくのだった……。



ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイのハート・ウォーミング・コメディー。



70歳を越えた『ベン』(ロバート・デ・ニーロ)が、同じ職場で働く若者たちに、謙虚に接しながらも、同僚たちには恋愛指南をしたり、仕事の進め方をアドバイスしたりして大活躍。


そんなベンは職場でも、次第に「頼りになる人」になっていくのが痛快である。



もちろん、女社長『ジュールズ』(アン・ハサウェイ)にとっても……。




それにしてもロバート・デ・ニーロは良い感じになってきたなぁ~。



実は白状すると、ロバート・デ・ニーロは、自分にとって苦手な俳優だった。

若い時のデ・ニーロは、そのお顔にしても、あんまり好きになれなかった。(昔ながらのフアンには失礼なんだけど)



だから、若い時分のデ・ニーロの映画をほぼ観ていない自分。



そんなデ・ニーロを克服したのは、ここ最近のこと。

そのくらい歳をとってからのデ・ニーロは、カッコイイと思えるようになってきたのだ。



白髪になり、角がとれて、柔和な顔をするようになり、時にはお茶目な部分なんてのを垣間見せたりもする。



このblogで、以前取り上げた『キラー・エリート』、『ダーティー・グランパ』、『フローレス』などを観ていても、まるで肩の力が抜けたように、ここ最近のデ・ニーロは、映画に出る事が本当に楽しそうなのだ。


アン・ハサウェイも、この映画では感心してしまった。



この人のお顔も、あんまり私の好みではなかったのだけど。(小さな顔一杯に、デカイ目や大きな口が、ようやく収まっているというのか……スミマセン(笑))


でも、この人が弱気をみせたり、泣き顔になると、途端にそれまでの印象が180度変わってしまった。


「か、可愛い~!………♥」


アン・ハサウェイ、いっぺんでフアンになってしまいました。(上げたり下げたり、自分でも何て単純な男なんだろう(笑))



それにしても、この映画を観ながら、ずっと思っていたのは、二人が働く会社が「何て素晴らしい会社なんだろう!」って事。



変な陰口もなければ、陰険な奴もいないし、オフィスは広々として綺麗だし、まるで天国みたいな会社である。



おまけに、疲れを癒す為のマッサージ師なんてのも置いている。(ひさしぶりに見たレネ・ルッソだぁ~!)



日本政府が『働き方改革』なんてのを推奨しているが、この映画を観ると、これに追い付くまでには、何年かかるのかねぇ~。

決して、他の国と比べたくはないのだが……。



特に自分がいる会社と比べると、まるで《 天国 》と《 地獄 》、《 極楽スパ 》と《 ナチの強制収容所 》くらいの違いである。(ここは声を大にして言いきってしまおう!(笑))




辛い日々、涙をのんで働く人には、この映画はまるで、ひとときのオアシス。




疲れた心を、しばし骨休めさせてくれて、明日もまた、働こうという気持ちにさせてくれる。


そんな気力を与えてくれる、稀な映画なのである。(雇用する立場の方々は、是非、是非!参考にしてほしい)

星☆☆☆☆。