1984~1996年。
《オープニング♪》
あたしは、ジェシカ・フレッチャー『ミステリー作家』です。
頭の中でいろいろ推理を進めながら本を書くのって、本当に楽しい仕事です。
でも、いったん本物の事件に巻き込まれると、もう大変!
書くより、そっちのほうに夢中になってしまうんです。
どうしてこうなんでしょうねぇ~。
主人公『ジェシカ』(アンジェラ・ランズベリー)が、タイプライターをカタカタと打ちながら、こんな出だしで始まるオープニング。
たま~にNHKでやっていると、よく観てました。(けっこう再放送もやっていたし)
このドラマ、見始めた時に、けっこう感心して、観ていた記憶がある。
ちゃんと筋が通った謎解きミステリーになっているのだ。
謎解き自体は、決して大袈裟なものはないが、それでも、わずか1時間弱の中で理路整然としていて、キチンと収まっている。
原作となる小説もなく(後にノベライズ本が出版されるが)、これを12年間の長い間、視聴者を飽きさせる事もなく続けることが、いかに大変な事か。
出演者やスタッフには、いまさらながら頭が下がります。
残念ながら、日本ではシーズン3までしか放送されなかったが、機会があれば続きを見てみたいものである。
ジェシカの住むのは、のどかな町キャボット・コーブ。
たま~に、ちょっとしたトラブルもあるが、基本、のどかな町にあうような善人ばかりが住む町。
お人好しの『エイモス・タッパー保安官』(トム・ボスレー)は、何かあれば、すぐさま頼ってくる。
「どうにかならんかねぇ~ジェシカァ~」
そんなエイモスとジェシカの古くからの友人で、キャボット・コーブで開業している医師の『セス・ハズリット』(ウィリアム・ウィンダム)は、二人のお目付け役。
エイモスには、
「しっかりしてくれよ、エイモス」と尻をたたき、
ジェシカには、
「歳を考えて、いい加減事件に首を突っ込むのはよさないか」
と注意する。(ジェシカが、ぎっくり腰をおこした時などに……でも、全く言うこときかないジェシカだけど(笑))
そして、数多い親戚の中でも、ジェシカを慕う、甥の『グレディー・フレッチャー』(マイケル・ホートン)。
グレディーの行くとこトラブル続き。
その優しいが、少しばかり頼りない性格ゆえ、
「助けて~おばさん!」なのだ。
そして、そして、最後に、『ジェシカ・フレッチャー』(アンジェラ・ランズベリー)。
もともと演技派なれど、昔から、中々チャンスに恵まれなかった彼女。
身長の高さや、元々の老け顔で、若い時から、脇役や老け役ばかりに甘んじてきた苦労人である。
1944年のイングリッド・バーグマン主演の『ガス燈』では、メイド役。
1978年の『ナイル殺人事件』では、酒浸りの老作家オッターボーン夫人役で、額を犯人にピストルで撃ち抜かれて死亡。(この殺され方も、今考えると凄い)
1980年の『クリスタル殺人事件』では、主役のミス・マープル役だが、白髪にして老婆を演じている。(この時、アンジェラ・ランズベリー、まだ55歳ですぞ)
やっと年相応の(開始時59歳)ジェシカ・フレッチャー役がまわってきた時は、さぞや嬉しかっただろう。
そして、よもや12年も続く長寿シリーズになろうとは思わなかったはずだ。
紛れもなく、これは彼女の代表作である。
アンジェラの明るくて好奇心旺盛なジェシカも良かったが、我々、日本人には、ピッタリの吹き替えも魅力的であった。
名女優:森光子。
今でもジェシカ・フレッチャーの声は森光子で再生されるほど印象に残っている。
ジェシカの口癖、
「よござんすか?」
は、もちろん森光子のアドリブだろう。
これらの効果で、想い出深い『ジェシカおばさんの事件簿』。
機会があれば、ぜひぜひ、ご覧くださいませ。
星☆☆☆☆
確か、事件に巻き込まれるテニスプレイヤー役だったと思うが……。
他にも探せば、後に有名になったスターもいるやもしれない。