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2018年12月24日月曜日

映画 「ミッション:インポッシブル / フォールアウト」

2018年 アメリカ。






アクション映画に、あらすじを長々書いても野暮というもの。簡単に。


いつものように、主人公『イーサン・ハント』(トム・クルーズ)が世界の危機を救う話。(シリーズ物の説明は、どれも一緒だ)



バイク・アクションありーの、

カー・チェイスありーので、

トム・クルーズが、いつものように血眼でやっているが、最後は上手くいく事が誰でも分かっているので安心して観られる。そんな映画である。


今回は3つのプルトニウムを敵から回収するのが目的だ。(敵はいつも核爆弾で人類滅亡を狙ってる。今回で何度目だ?(笑))





なんだか、冒頭から身もふたもない書き方をしているがごめんなさい。



理由は、つい最近まで自分自身、このシリーズが《嫌い》だった為である。




ご存じ、この『ミッション:インポッシブル』は、TVシリーズ『スパイ大作戦』の映画化である。


この『スパイ大作戦』を毎週毎週、楽しみにみていた世代なのである。(もちろん、90年代の新スパイ大作戦も観てる)


だから、このシリーズが初めて映画になると聞いた時は期待もしたし、劇場へもいそいそと足を運んだ。



そして、映画一作目『ミッション:インポッシブル』……




なんじゃ、コリャー!舐めとんのかーー!💢が、正直な感想だった。




TVシリーズ『スパイ大作戦』は、それぞれの個性や特殊技能を活かして、チーム全体が団結して任務を遂行する。


そして、ソレを束ねるのが、チームの皆が尊敬してやまない、チームリーダーの『ジム・フェルプス』(ピーター・グレイヴス)である。


そんなモノが、基本あってこその『スパイ大作戦』の魅力なのだ。





それを、映画は ズタズタ にした。


主役のトム・クルーズ演じるイーサン・ハントを引き立てる為に、メンバー内では次々と裏切り行為が繰り広げられる。


ジョン・ヴォイド演じるジム・フェルプスさえも、敵に寝返ってしまう。



最後は、孤軍奮闘で戦うイーサンが、それらを見事解決する物語となっているのだ。




こんな映画を、TVシリーズを演じていた役者たちはどんな想いで観たり、思っていたのだろうか?




やはり、自分の予想どおりカンカンに怒っていた。



TVシリーズでメカ担当のバーニー役を演じたグレッグ・モリスは怒って、映画が終わる前に席を立った。


変装担当のローランを演じたマーティン・ランドーもしかり。映画に対する相当な不満をコメントしている。



そして、長年、愛着をもってジム・フェルプスを演じてきたピーター・グレイヴスも、映画でのジムの扱いを嫌って、もちろん腹をたてていた。




自分もTVシリーズの役者たちに味方するようだが、この映画が大嫌いである。



監督はブライアン・デ・パルマか ……やはり!

自分の少々苦手とする監督である。





ブライアン・デ・パルマ…ヒッチコックや他の映画から借りてきたモノを、あまりに多様しすぎて、今じゃ《芸域の狭いモノマネ監督》と烙印されている。




デ・パルマ映画も初期こそ(亜流と言われようと)面白いモノはあっても、段々と募っていく世間の不信感。(映画『アンタッチャブル』なんて、まんま『戦艦ポチョムキン』の焼き増しシーンが出てくる)


でも、この『ミッション:インポッシブル』は決定打になったかもしれない。

最近じゃ、その存在すらも聞かなくなってきた。




トム・クルーズも、この映画一本で大嫌いになってしまった。(これ以降トムの映画も観ない数年が続く)




だが、そんな事とは関係なしに、映画はヒットして、それなりの興行収入を打ち立ててしまった。


そうしてヒットすれば、必ず続編が作られるのがハリウッド商法である。




友人「今度、ミッション:インポッシブルのpartⅡが作られるって!」

私「ふ~ん、そう。」(観ない)



――数年後、

別の友人「今度、ミッション:インポッシブルのpartⅢが公開されるって!」

私「ふ~ん、そう。」(観ない)




――また数年後、

TV「今度、トム・クルーズが、ミッション:インポッシブルの新作の為に、来日しました」

私「ピッ!」(チャンネルを変える音)




―――またまた数年後、

友人「ミッション:インポッシブルのpartⅤを借りてきたよ」

私「ありがとう」(しばらく放置。でも、この頃になるとだいぶ軟化している)




そうして、「なんにも観る番組もないし、見てみるか……」で、5作目『ローグ・ネイション』を観てみると ………




まぁ、まぁ、普通に面白かった。




そうして、「おやっ?」とも思った。



いつの間にか、ちゃんとチームが出来てるじゃーございませんか。(相変わらずトム・クルーズが主人公で、一人浮いてハッチャケ過ぎてるが)



少し、さかのぼって4作目『ゴースト・プロトコル』を観てみた。

コレが充分に面白かった!

それに良作に仕上がってると思ってしまった。




なにが、そんなに良かったのか?



それは、サイモン・ペッグ演じるベンジーの存在なのだ。(これにつきる)





前にも、他の映画の事で描いたが、コメディリリーフの存在は、それだけで貴重なのだ。



彼が出てくるだけで、無機質な只のアクション映画である、この『ミッション:インポッシブル』も、だいぶ違って見えている。



『ゴースト・プロトコル』では、イーサンとベンジーが、変装してクレムリンに潜入するところなんかが特に良い。




同じような背丈の二人が並んでロシアの軍服を着て歩いている。


ベンジーは緊張の為なのかベラベラとお喋りが止まらない様子。


それを口髭をつけて変装したイーサンが、ジロリと睨んで、二人は仲良く敵のアジトへと潜入していくのだ。(そう、こんなスパイ大作戦が観たかったのだ、自分は)




ルーサー役のヴィング・レイムスも良い味をだしている。




監督はブラッド・バード(なんと実写映画は、これが初。Mr.インクレティブルなどのピクサーアニメの監督なのだ。)



今のところ、これがシリーズ中でも一番の出来じゃないかな。



そして、シリーズは、『ローグ・ネイション』、『フォールアウト』と続くのだが、監督の方は変わってしまった。(二作連続監督は、クリストファー・マッカリー




決してつまらなくはないのだが、やや凡庸な仕上がり。


この『フォールアウト』も及第点だが、特にどうってことないアクション映画になってしまっている。




それにしても、このシリーズは、いったいどこまで続いてゆくのだろう……?



『フォールアウト』で後半、偶然居合わせた元妻のジュリア(離婚してもお互いに愛し続けている。その生存だけが、今のところイーサンのアキレス腱である)が、プルトニウムの爆弾解除をするルーサーを手伝いながら、こんな風にイーサンの事を話している。


「イーサンは引退しても、世界で何かが起こった時に、きっと『あの時に、自分が居れば食い止められた』と思うはずだ」






《世界を救いたい病》も、ここまできたか ……

気楽に引退もできやしない。




このシリーズの最後は、イーサンの死で幕を閉じるしかないんじゃなかろうか。




トム・クルーズも56歳。(2018年時点)

今期の事故もあるし、次のミッションが行われるのも、早くても60間近である。




アクション映画のシリーズで単独主人公の記録は、007のロジャー・ムーアが最長7作で降板している。(もちろん、スタントを使っているが)


自身のスタントにこだわり続けるトムにしても、(次のミッションが最後になるのでは?)と思わずにはいられない。




それとも、その限界を越えていけるのか?


まぁ、ベンジー役のサイモン・ペッグが、劇中で殺されたり降板しない限りは観るつもりではいるけど。(すっかりサイモン・ペッグのフアン)



だいぶ脱線してしまいましたが、星☆☆☆とさせて頂きます。