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2024年9月28日土曜日

ドラマ 「外湯巡りミステリー 道後ストリップ嬢連続殺人」

2024年9月。(YouTube フィルムエストTVより〜)







この令和6年の現在にとんでもないドラマ!が誕生した!




フリー・ライターの『黛(まゆずみ)京子』(友近)とカメラマン『奥野茂』(モグライダー・芝)は、取材で来た愛媛県は松山市《道後》の旅行を満喫している。

名物の《坊っちゃん団子》を食べたり、居酒屋で食事をしたりして楽しむ二人。




だが、奥野の目的は別にあって、突然こんな事を言いだした。

「道後の夜といえば、やっぱストリップ劇場でしょうよ!ねぇ京子さん、観に行きましょうよぉ〜」

「ス、ストリップ〜?!」(普通、女性をストリップ劇場に誘うかねぇ〜?(笑))



こうして、無理矢理引っ張られていった京子。


だが、連れてこられた劇場の看板には見覚えのあるような顔があった。

(この人 …… 昼間、道端で男と言い争いをしていた女性にそっくりだわ …… )


それがNo.1ストリップ嬢である『岬美華』という女である。


やがてショーが始まり、安っぽくてケバい化粧をした踊り子たちが代わる代わるに現れた。(ストリップなのに全然脱がない踊り子たち。それでも文句も言わない観客ばかりで、それに苦笑いする(笑))


そうしてトリの岬美華が現れた時、ステージの照明が突然消えて辺りが真っ暗になった。

再びライトが点くと、ステージの中央には背中を🔪刺された 美華の死体 が!


「わぁー、死んでるぞ!死んでるぞー!」と言いながらも大して驚いた風でもない観客のオッサンたち。

「そんな … 美華さんが … 」と言いながらも、カメラを向けては、夢中でシャッターをきり続けるカメラマン奥野。(オイオイ)


しばらくして警察が来ると、水を得た魚のように自分の目撃談をペラペラと喋りたおす京子。(まぁ、友近だし(笑))



こうした珍妙な出来事で、道後の夜はふけていくのであった ……





このドラマ、最近(2024年9月半ば頃)にYouTubeにアップされて、あっと言う間に脅威の200万再生超え。

オススメにも出てきたので何気に観てみた。


前述にも書いたように、あらすじだけ追えば、往年にあった《サスペンス劇場》風に作っているが、このドラマの作り自体は、我々の想像をかなり上回っている。


まるで時代を逆行するように、本当に、自分らが体験してきた80年代の《あの頃》を蘇らせ、自然にタイム・スリップさせてくれるのだ。


こんなドラマも珍しい。


元々、この『フィルムエストTV』というチャンネルは、80年代に本当に実在したようなワイドショーネタやニュースなどをパロディー化して観せるようなモノである。


まるで昔のアナログテレビのような4:3の画面作り。

VHSビデオテープ時代のようなフィルム撮影の映像処理などをほどこしていたりする。


そこへ80年代好きの友近が自ら企画を持ち込んで、YouTubeとは思えないほどの大作(1時間半以上)を完成させてしまったのだ。


これが面白かった。


パロディーでもやり過ぎにならず、ギリギリのところでキチンと作りこんであって、とても好感が持てた。


そうして、友近はともかく、私、今回初めて、このモグライダー・芝って人(芸人)を知ったのだが、この人、何気にお芝居がお上手!


まるで往年の船越英一郎を彷彿させるのだ(笑)。




CM明け(このCMも手の込んだ作りで、ここまで忠実に80年代風を再現してくれることに感動すら覚えるわ!)、この二人の会話が、キチンとサスペンスドラマの〈ツボ〉をおさえているのにも驚愕する。


「もう一度、初めから事件を整理してみましょうよ、京子さん!」

「うん、うん」

「まず最初に京子さんが謎の男と岬美華さんが口論しているのを見た」

「次に奥野くんがストリップ劇場に行こうと言いだした」

「そして照明が消されて美華さんが殺された!」

「その暗闇の中、謎の女が立ち去っていく姿を私が見た」


…… こんな会話(たぶん、こんな感じだったと思う)を要所要所に挟みながら、おさらいをさせて、視聴者を置き去りにせず、親切丁寧な筋書きに引き込んでいくやり方は、まさにサスペンスドラマの王道である。



それにしても、この友近の無茶振りとも思える企画に賛同して、脚本・監督を手掛けた西井紘輝という人は大したものだ。


まだ若干29歳という年齢にも驚いてしまった(⁠´⁠⊙⁠ω⁠⊙⁠`⁠)⁠!。


わずか17人のスタッフと6日間の撮影で、これだけ良質なサスペンスドラマを撮りあげてしまったのだから、本当に恐れ入る。(どんだけ才能があるんだ!)


とにかく、数十分くらいのお手軽な動画ばかりが羅列するYouTubeの世界で、この長時間ドラマの成功は、ある意味、この業界を震撼させ、一種の《楔(くさび)》を打ち込んだんじゃないのかな。


そうして、現在のテレビ関係者たちも、手放した良質なコンテンツに今さらながらに後悔して、このドラマの成功に眠れないほど歯ぎしりすればよい。



あなたの一回の視聴が、もしかしたら、この先第二弾、第三弾を生むかもしれない。


私も陰ながら応援、オススメしときますね。