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2023年5月7日日曜日

映画 「モンキー・フィスト 猿拳」

 1979年  香港。




最初に書いておく。

この映画は とっても面白いし、大傑作だ!


初主演のユン・ピョウが素晴らしいのはもちろんだし、他の出演者たちも皆、大好きになった。


何でこの映画を今の今まで観てこなかったんだろうー。バカ!バカ!私は大馬鹿ヤローだぁー!(まぁ、前の『燃えよデブゴン5』なんて糞タイトルじゃ、はなから観る気もないけどさ(笑))



『レイ』(ユン・ピョウ(左))と『マー』(レオン・カーヤン(右))は詐欺師コンビ。



運動神経が良くて、ちょいと悪知恵が働くのがレイ。

そんなレイをサポートするのが、少々ドジな相棒・マーである。


二人は間抜けな質屋の親子を騙くらかして、まんまと大金をせしめるのだが、分け前の事で内輪揉めしているうちに、そのお金を無くしてしまう。


「なぁーに、また別のカモを探せばいいさ」

前向きなレイの提案で、今度は食堂にいた白髪の中年男をターゲットにするも、あっさり返り討ち。



ご覧のように、二人はコテンパンにやっつけられた。


でも、ここでもメゲないのが前向きなレイとマーのコンビ。

「是非、俺たちを弟子にしてください!」と自ら弟子入り志願。


凄腕の拳法遣い『モードゥ』(ラウ・カーウィン)は、そんな二人の弟子入りを許して、手慰み程度に拳法を教えてやるのだが ……



でも、この師匠・モードゥには、何やらドス黒い《秘密》がありそうだぞ。


モードゥを狙って、妙な殺し屋二人組がやって来るし。

ハゲアタマに黒板消しでも乗せたような髪形の男と、化粧したオカマの二人組。(コイツら、簡単に負けるだろうなぁ~ …… )と思ったら案の定、ボコボコにされてた(笑)》



レイとマーは、師匠・モードゥを手助けして何とか殺し屋たちを倒したものの、またもや別の男が師匠・モードゥの人相書を持って二人の前に現れる。


このモードゥの正体、やっぱり《古ダヌキ》の異名を持つ大悪党だったのだ!


強盗犯の大ボスで、先程の二人組は、以前の強盗仲間。


モードゥの裏切りでムショ送りになっていたものの、ようやくシャバに出てきて、モードゥに復讐する為にやって来たのだ。(でも、あっさり瞬殺されたけど)


この人相書を持っていたのはお役人。


そんな事にも気づいていない単細胞なレイとマーはモードゥの居場所をペラペラと喋ってしまう。

鈴木亮平似のお役人?(笑)》


だが、このお役人も強すぎるモードゥには、まるで歯が立たず。

これまた、あっさりと殺されてしまう。


運の悪い『レイ』(ユン・ピョウ)は、偶然、事の成り行きを全て聞いてしまった。


「オマエ、私の正体を知ってしまったのか …… 」


躊躇もなく、非情なモードゥはレイを殺そうと襲いかかってくる。



たとえ、弟子にしたとしても自分の保身のためなら、情けなど一切無用。

心底冷酷になれる男、それがモードゥの正体だったのである。


今やレイの命は風前の灯火。そこへ ……


「やめてくれぇーーー!」

遅れて駆けつけたのは、相棒のマーだった!


訳の分からないマーだったが、殺されかけてるレイを救い出し、代わりに殴られ蹴られ続けてる。

それでも必死になってレイを庇おうとする健気な『マー』(レオン・カーヤン)。


「逃げろ!逃げるんだー!オマエだけでも生き延びてくれぇーー!!」



モードゥの脚にしがみついて、叫び続けるマー。

次の瞬間、首をねじられてマーは、レイの目の前で絶命した。😭



レイはやみくもに町中を走り続けた。

何とかモードゥから逃げおおせたレイ。



でも、走りながらも、今まで親友・マーと過ごしてきた思い出が浮かんできては、泡のように消えてゆく。



二人はいつも一緒だったのだ。


バカやって、アホやって、それでも文句も言わず、ずっと付き合ってくれたマー。


そんなマーは、もういない ……


もう、レイは半泣き状態。


でも …… 徐々にレイの顔つきが変わってくる。


おのれ〜、見ておれモードゥ!、オマエより強くなって、絶対にマーのかたきをとってやるぅ~!


それは復讐を決意した、精悍な男の《顔》なのであった ……



ここまでが、この映画の中盤過ぎ。


ここからが、猿をつれた浮浪者風の男(サモ・ハン・キンポー)の指南をうけて、レイの凄まじい修行場面になっていくのだが(その正体は隠密役人) ……


とにかく、ユン・ピョウや他の俳優たちも素晴らしいんだけど、私としては レオン・カーヤンの印象がとてつもなく強く残る


ハッキリ言って、レオン・カーヤンの功夫(クンフー)は、他の人たちに比べて段違いに ヘタクソだ。


特典映像で、本人も自らコメントしているが、元々、何の基礎すらも無いような状態で、功夫映画界に駆け込みで飛び込んでいったそうな。


そんなズブの素人に、手取り足取り、イチから教えていったのはサモ・ハン・キンポー


自分の映画の端役で使いながら、功夫の基礎を学ばせる。


そうして、とうとう、こんな重要な役(ユン・ピョウの親友役)まで与える事になったのである。(だからこそ、サモ・ハン・キンポーは偉大なのだ。分かってもらえるかな、皆さま?)


レオン・カーヤンも、そんなサモ・ハンの期待に応えようと下手なりにも必死だ。


その《必死さ》が観ているコチラ側にも伝わり、胸をうつ。


時折、この人の愛嬌の良さが見え隠れしてるが、多分、地の性格がとても良いのだろう。


今では、立派に実力をつけて武術指導者にまでなったレオン・カーヤンは、いつまでもサモ・ハンへの恩義や感謝を忘れない。

レオン・カーヤンの近影》




そうして、だいぶ脱線したが、レイの修行場面。




縄跳びしながらの連続バック転、腕立て、宙返り …… もう、ユン・ピョウのとてつもない身体能力を、我々は目にする事になる。


コレを観たら、あの「『プロジェクトA』や『ヤング・マスター 師弟出馬』のユン・ピョウは何だったの?」と思ってしまう。(兄貴分のジャッキー・チェンに遠慮して、だいぶチカラを抑えていたのかしら?)



クライマックスは宿敵・『モードゥ』(ラウ・カーウィン)との怒涛の闘い。






『レイ』(ユン・ピョウ)が、連続ウルトラCやら、華麗な足技を繰り広げながらも、中々、簡単には倒れてはくれない『モードゥ』(ラウ・カーウィン)。


この闘いはいつまで続くのだろうか …… (何十分も闘い続けている)


時間が過ぎれば過ぎるほど、モードゥのスピードと強さは、どんどん凄みを増してくるばかりだ。(本当に憎たらしいほど、強すぎるオッサンだ(笑))


見かねたサモ・ハンがユン・ピョウに加勢するも、二人がかりでもモードゥには中々敵わない様子。😱


ラウ・カーウィンの強さに、本気で立ち向かっていくのは、まるで血反吐を吐くようなものなのだ。(まだ、こんな強敵になる人材がいたとは!恐るべし、当時の香港映画界の層の厚さよ)



この映画は米サイトが選んだ「死ぬまでに観るべきクンフー映画」として認定されている。


私の評価も、もちろん星☆☆☆☆☆。(久しぶりにこんな面白い映画を観たわい)


ラストまで瞬きすら与えてくれない男たちの真剣勝負!

どうぞ、ご堪能あれ。