ホーム

2020年6月23日火曜日

映画 「イレヴン・ナイツ」

1987年 イギリス。




レンタルビデオの時代に、あちこちでこれを見かけた人たちも多かったんじゃないかな?



監督は、ジョー・ダマト。


低予算でサクサク作られた映画は200以上だといわれている量産監督である。


そのジャンルもB級、C級を地でいくようなモノばかり。



とにかく本人が、「芸術性なんてクソくらえ!配給収入だけが大問題なんだ!!」の《金、金、金》の金儲け主義の人だったらしい。


ここまで、ハッキリ、キッパリ言われると、逆になんだか清々しい気もしてくるのだが……。


そんな膨大な作品の中でも、この映画はまだマシな方かも。



ひと言でいえば、この映画は《 女に嫐(なぶ)られる男》の、お話である。





『マイケル』(ジョシュア・マクドナルド)は、普通に恋人もいて、数日後には、その恋人との結婚もひかえている、ごくごく普通の男性。



そんなマイケルは、ある日、肉感的な女性『サラ』(ジェシカ・ムーア)と知り合う。


サラの魔性のような魅力に抗えないマイケルは、そのまま関係をもってしまい、ズルズルと………。






でも、このサラは普通の情事じゃ、全然満足できない女性なのだ。



ある夜、サラと二人、ホテルにやって来たマイケル。



普通にコトが運ぶと思いきや、マイケルは素っ裸にされて、腕を持ち上げられて部屋の柱に腕を縛られる。


(な…何が始まるんだ?)



不安なマイケルの前でユックリ全裸になるサラ。



サラは笑いながら、ジャムの瓶をもってマイケルの体に塗りたくり、それをベロンベロン。


いやらしく攻めてくるサラに、妙な快感で、身悶えするマイケル。




そうして柱に縛られたままグッタリ。




そんなサラは、さっさ着替えると、柱に素っ裸で縛られたままのマイケルを置いて、笑顔を向けると、ホテルのドアから、ひとり出ていった。


「オーイ!!待ってくれ!!この縄を解いてくれー!!」


放置プレイで、恥ずかしい姿のまま、後に残されるマイケル。


(チクチョー!あの女!!………)


サラへの怒りと恥ずかしさで、ジタバタするマイケルは、そのまま朝を迎えた。



ホテルの掃除婦がドアを開けて入ってくると、素っ裸で柱に縛られたマイケルの姿を見てビックリ。


(あ~、どうにでもなれ…………)

窓ガラスの朝陽に目を向けるマイケルなのだった。





そうして、

(今度会ったらどうしてくれようか……)

プンプン!怒りまくりのマイケルなのだが、いざ、サラを目の前にしたら、サラの色香に、途端にデレデレ。


サラのペースで引きずり回される、もう、どうしようもないマイケルなのである。




パーティーに誘われたマイケルは、ドレス姿のサラに、無理矢理トイレに連れていかれる。


「全部着替えるのよ!全部脱いでちょうだい!」

またもや、トイレの中で素っ裸にされるマイケル。(もう、イジメじゃん(笑))



そんなマイケルに女モノのパンティーやガーターベルト、ドレス、カツラが投げ込まれる。


「こ、これを着ろと?」

「そうよ!いうとおりにして!でないと、いつまでもそこで素っ裸よ」


トホホ……渋々、パンティーを穿いて、ガーターベルトを付けはじめるマイケル。



トイレから出てきた姿は、まるでドラッグ・クイーンのようだった。


代わりにサラは、マイケルのスーツを着こんでいて男装している。


サラは、そんなマイケルに化粧をほどこすと、「まぁ、綺麗だわ」と言い、女装したマイケルを引っ張っていった。



ジロジロと道行く人に見られて、まるで見世物のようにさらされるマイケル。


もう恥ずかしさでイッパイだ。


「もう、やめてくれ!」

マイケルの悲痛な叫びに、「フフッ」なんて笑みをたたえるサラ。


サラはマイケルをホテルの部屋に引っ張っていくと、ベットにマイケルを押し倒した。


そして、馬乗りになってくる。


「あなたは《女の子》、私が襲ってあげる」

マイケルの羞恥心は完全に崩壊し、全てがサラのなすがまま。


こうして、どんどんマイケルは倒錯した快楽に身を委ねていくのであった………。






遠いVHS時代の記憶を掘り返して、たしか、こんな内容だったと思う。(それにしても我ながら、よく覚えているわ)


なんせ、これを観たときは純な高校生くらいの時期。

倒錯した世界にクラクラして、思春期には、衝撃的だった。



こんだけ《恥ずかしさ》や《羞恥心》を、「これでもか!」ってな具合で、突かれて、揺さぶられるんですもの。


心をむき出しにされるような感じで、心に幾つも囲ってある防護壁なんて、もはや粉々。


もう『お好きにしてちょうだい』状態なマイケルの気持ちも分かる気がする。




まぁ、このマイケル役の『ジョシュア・マクドナルド』も男のくせに、サド心をくすぐるような、妙な色気があるけどね。




でも、この後、サラは身を引いて、マイケルは恋人の元へと戻っていくんだけど………余計なお世話だけど「上手くいくのかねぇ~」なんて思ったりして。


1度覚えた《 蜜の味 》は忘れられないような気もするのだが。



なんだか、妙にドキドキ興奮させられた1本で、これも思春期の思い出として、ここに取り上げさせていただく。(なお、日本ではDVDは発売されておりません)

星☆☆☆。