ホーム

2020年4月26日日曜日

映画 「ゲット・バッカーズ」

2014年 アメリカ。






何でこんな邦題になってるのかな?


原題は、『Reach Me』(私に届きます)なんだけど。







「自分を変えるんだ!自分自身を変えなきゃ望みは叶えられない!」



自己啓発本、《救いの手》で、人生が180度変わったラップ・スターは、熱心にテレビで語りかけている。




本の著者は、誰も姿を見た事がない、《匿名の著者》である。




それを食い入るように観ている囚人、『コレット』(キーラ・セジウィック)。(明日、出所)


(こんな私でも出所したら、生まれ変われるかも………)なんて思いながらドキドキ。





ゴシップ記者『ロジャー』(ケヴィン・コナリー)も、たまたま、テレビを観ていた。(禁煙パッチをつけても禁煙出来ずにイライラ)



そんな、ロジャーに、上司の『ジェラルド』(シルベスター・スタローン)から、呼び出しの電話が鳴る。



すぐさま、とんで駆けつけると、ロジャーの胸ポケットから覗いている煙草を見て、チクリ。


「いつまで煙草を吸い続けるんだ!そんな息の臭い奴と、キスをしたいって女がどこにいる?だからお前は、ダメダメなんだ!」



ケチョン!ケチョン!に、こき下ろすジェラルドに、ロジャーは何も言い返す事ができない。
そして、ジェラルドは命令した。



「この、話題の啓発本の著者を、何としても探し出すんだ!わかったな!?これは、きっと良いネタになるぞ!」



(こんなゴシップ記事なんて、本当は書きたくないのに………)


頭では、そう思っていても、ジェラルドの迫力に気圧されて、従うしかないロジャーなのだった。




マフィアの間でも、この《救いの手》は、話題になってる。


(俺もこんな下っぱの汚れ仕事なんてしたくないんだ!俺も生まれ変わりたい!)と。



人を捜査で、すぐに撃ち殺してしまう刑事は、神父に懺悔を乞うものの、偶然が偶然をよんで、やっぱり《救いの手》に引き寄せられるように…………




仕事も環境も違う人々が、ぞくぞく集まりはじめる。



たった一冊の本、《救いの手》の為に。



そんな時、秘密の著者、『テディ』(トム・べレンジャー)は、自身も、ひとり悩みを抱えて、町をさ迷っていたのだった………





シルベスター・スタローンが出演していると思って、偶然手にとった1本であるが………あんまり期待しないで。




スタローンは、あくまでもその他大勢でした。(これ観たかんじ、主役はトム・べレンジャーじゃないか?それにしても久しぶりに観たべレンジャーは、だいぶ太って、だらしないオッサンになったなぁ~)





《自己啓発》なんてものを、はなから信じていない私は、それに感化される人の気持ちが、最後まで、全然分からなかった。




それでも、映画は、多少のコメディー色があって、それぞれが丸くおさまっていき、幸せな結末をむかえるんだけど………。





でも、これって、ある種の《 洗脳 》なんじゃないのかな?



宗教などに、のめりこんでいる人にも似ている感じがして、あんまり良い気持ちがしなかったです。




うちにも、たま~にやって来ます。



ピンポーン♪


ドアの覗き穴から見ると、パンフレットや、それらしき本を抱えている人が笑顔で、

「私、●●という活動をしています。是非、お困りの方々の力になりたいのです。」と。



私、ドアも開けずに、

「あ、けっこうです」の一言で済ますけど。




帰った後、いつも考える事だけど……こういう活動にハマる人たちって、(どういう気持ちでやってるんだ?)って思う。




ヤッパリ同じような思想の人を増やしたい為?


だとしたら、恐ろしい考えだ。





これは自分なりの考えだが、「同じ思想の人が大勢集まると、ろくな事にならない」と思っているからだ。




《多少気が合う》とか、《趣味が合う》くらいの人が、、少人数(3~4人)で集まるくらいが、丁度よい。




同じ考え(思想)の人が、数十人、集団、国家になるほどの人数に、どんどん膨れあがると、それは今度は、逆に、少数派や違う考えの人間たちを除外したり、迫害したり、そして弾圧したりへと変わっていくからだ。




やがて戦争に変わっていく事を、私たちは、充分知っているはずである。





そんな集団思想ほど、この世で恐ろしいモノはないのだ。




《イジメ》も同じ考え(思想)の集まりの結果だと思う。




こんなのも、個々に分けてしまえば、パワーダウンして、みるみる減退していくはずだ。




別に、《人それぞれで、かまわない》し、《人の考えや人生を無理に変えようとは思わない》。




自然の流れにまかせて、決して押しつけず、変わっていくなら、それはそれでよし!である。







映画のクライマックス、同じような考えに取りつかれた人々が、大勢で集会に集まっていく場面を観て、ゾッ!とする。



見知らぬ著者の何に期待していて、ここまでするんだろうか。




私には、分からない。




唯一、この著者に同調しないで、ゴシップ記事の為だけと割りきっている、孤高の人『ジェラルド』(シルベスター・スタローン)がいた事が、この映画の、ただ1つの救いなのである。

星☆☆。