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2019年4月15日月曜日

ドラマ 「加山雄三のブラックジャック」

1981年1月~4月。







今まで、真面目なブログだと思ってた方は、突然、こんなのが出てきて「えっ?」と思ったんじゃないだろうか。


でも、その昔、なぜか、観ていて凄い印象に残っていたのですよ。




なんだか、夜遅い時間に放映されていて、親とたまたま一緒に観ていた記憶がある。




もちろん、漫画のブラックジャックは、読んでいたが、ブラウン菅の奥から突然始まった、このドラマには、当時戦慄し、度肝を抜かれた。




OP、派手な音楽にのって、どぎついメイクをした踊り子のオネエさんたちが現れたと思ったら、前衛的な踊り。(まるで安いストリップ・ショー)



そして、その奥、ドライアイスの霧に包まれたブラックジャックがボンヤリと現れる。(「えっ?誰?」と一瞬思うくらい、ブラックジャックに扮した加山雄三



長いマントの後ろ姿。

斜に構えた傷痕の顔をチラリと見せて、


「この世に果たしてロマンはあるか?人生を彩る愛はあるのか?」


と問いかける。(??)



そして、マントをひるがえすと、タイトルが、ジャージャーン!と我々に迫ってくる。



加山雄三のブラックジャック



もう、これだけで掴みはO.K.!



子供心に、「なんだかトンデモないものが始まった!……そして、見てはいけないものを見てしまった!」と少年だった自分は目が釘づけになってしまった。




このブラックジャック、脚本家がジェームス三木だけあって、原作を大胆に(好き放題に)アレンジしている。




昼間は画廊を営む、平凡な板東次郎なる人物。

だが、夜になればブラックジャックに変身する。



なんていうぐあいに、複雑な二重生活をしているのだ。




原作ではピノコとの、たった二人暮らしの生活なのだが、その二重生活の設定ゆえに、自然に他の人物たちとの関わりも増えてくる。




昼間の画廊では、秘書のケイコ(秋吉久美子)を雇い、板東が留守や長期の出張の時(ブラックジャックになってる時)は、暇な画廊の接客、電話番をさせている。


「もぉー!社長ったら、いつもいつも肝心の時にいなくなるんだから!」とケイコは毎度ぶつくさ。(そりゃ、そうだろ。依頼人の手術をしてるんだから)



そんな画廊を、ちょくちょく訪ねて、ひまつぶしに遊びに来る警察庁の倉持警部(藤岡琢也)。


「ちょいとお邪魔するよ~」と言っては、板東の知り合いの特権で、ただのコーヒー飲みたさにやって来る。





ブラックジャック逮捕に燃えながらも、いつも尾行を撒かれたりしては、ケイコ相手に、こちらも愚痴をぶつくさ。(藤岡琢也の風貌からなのか、一目で漫画の中の手塚治虫のキャラクター『ヒゲオヤジ』を想像してしまった)





そして、もうひとつの生活、ブラックジャックの時には、山奥に建つ屋敷に暮らし、ピノコは勿論だが、二人の同居人が存在する。



子供の頃から知るという執事の爺や、遠藤(松村達雄)と助手のケン。



まぁ、この二人、手術の手伝いもするが、画廊に行っている間のピノコの世話係といったところか。(松村達雄の時折出るべらんめぇ調は、ここでも健在)




この改変、原作愛読者からは悪評だったらしいが、自分は特に気にしなかった。


漫画やアニメでは、違和感なくても、このブラックジャックの風貌は、実写になればメチャクチャ違和感だらけだからだ。



半分白髪で、顔には皮膚の色の違う肌、そして縫いあとの傷。

黒マントを羽織った姿は、どうみても異様である。



こんなのが、いきなり、都会や町中の雑踏に現れれば、大騒ぎになるに違いないし、どうみても不審者にしか見えないはずなのだ。


実写で、この姿で、そこら辺を歩き回れば、「あの~ちょっとよろしいでしょうか?」と警察につかまり、頻繁に職務質問されるに決まっている。


だからこそ、こんな仮の姿もアリかも、と納得してしまった。(他の実写もちょこちょこ観たことがあるが、こんな姿の人間、ハロウィンの日でもない限り、「ギョ!」として、とても素通りできるはずがない)




こんな改変して悪評だったブラックジャックだが、原作の有名エピソードを印象つけながら、無理なく消化していると思う。





全13話と短いが、自分が印象に残った回は、第4話「えらばれたマスク」、第10話「灰色の館」、第11話「鬼子母神の息子」、最終話「終電車」だろうか……。




「えらばれたマスク」には、今では、あんな風になってしまった坂上忍がブラックジャックの幼少期を演じている。(今じゃ憎たらしい坂上忍も、この時は別人みたいに可愛らしい)



「灰色の館」なんて、ジャネット八田が、火だるま🔥で焼かれるシーンがあり、今でも恐ろしいトラウマもの。(これ原作も相当に怖い話で読みながらブルブル震えた記憶がある。よく実写化したよ)





「鬼子母神の息子」の松尾嘉代の迫力ある演技と整形後の醜い姿はインパクト大。(これも稀にみる残酷なお話で、捻りのきいたオチに感心した)





「終電車」では、江波杏子のクールで非情なブラッククイーン役も良かった。(ブラッククイーンには、なんとなく優しいブラックジャック)





EDは、これまた、赤や黄色、白、緑とペンキが流れ落ちるインパクト画像に、ヒカシューの『ガラスのダンス』がかかる。(名曲!)





近年のDVD化は素直にありがたい。(第8話だけが大人の諸々の事情により欠番だが)




オドロオドロしいこの独特な雰囲気は、今のテレビではもう観れないし、出せることはないだろう。



興味ある方、怖いもの見たさの方は、どうぞ御覧あれ!


星☆☆☆☆。