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2018年11月7日水曜日

映画 「裏窓」

1954年 アメリカ。






クーラーもない、暑いときは、皆が、窓を開け、周りの目なんて気にしない、のどかな時代。




ニューヨークのアパートの一室で、ひとりの男が車椅子に乗ったまま寝ている。


写真家『L・B・ジェフリーズ』(ジェームズ・スチュワート)。※後記ジェフとする。


そばには、カーレースの写真があるところを見ると、それを撮ってる時に、たまたま事故にあったのか…………。


向かいにもアパートがあり、みんな窓を開けっぱなし。(現代じゃ考えられないくらい皆が明け透けです)






向かいの一階さんは、花壇に水をあげ、二階の老夫婦はベランダで寝て、籠に乗せた犬をロープで降ろしてる。


ダンサーらしい女性もクルクルと楽しそうに踊ってる。


作曲家らしい男が、ピアノを弾いてる(誰もウルサイとか文句も言わないし)


セールスマンらしい男と奥さんがケンカしてるのも筒抜けだ。





そんな、いつもと変わらない朝、看護師の『ステラ』(セルマ・リッター)が、ジェフのアパートを訪ねてきた。


床擦れ防止?のオイルを背中に塗りながら、マッサージをはじめると、それと同時にお説教。


「さっさと、恋人のリサと結婚しなさい!」

下着姿で踊るダンサーをチラチラ見るジェフに、半端呆れ顔。




「コラ!覗きは禁固半年の刑よ!」と釘をさして帰っていった。



そして日が沈み、再び夜。



車椅子に座ったまま、寝ぼけ眼のジェフの目の前に、絶世の美女。


噂の恋人『リサ』(グレース・ケリー)である。




恋人のリサはやさしくキスをして迫ってくる。(何でじゃ?)

どうもジェフにベタ惚れらしい(??)




ファッションモデルらしく着ている服も上等そう。

羽のようなふくらみスカートで、バッチリ着こなしている。



最初は、なごやかな夜だったが、ジェフにモデルの写真をすすめたあたりから、二人の会話は、ギクシャクして平行線。


美人のリサは、気落ちして帰っていった。(馬鹿なジェフ)





リサが帰ると、ジェフはアパートの車椅子で、再び独りぼっち。


やる事といったら、やっぱり窓の外を、眺めるしかないのだ。





そんなジェフが窓の外を見ていると、夜半、向かいのセールスマンが、雨の中、アパートから出ていった。

(こんな時間に何の用事だろう?………)



うとうとして、また目が覚めると、またセールスマンが、夜、出かけていく。




セールスマンの部屋の窓は閉めきったままだ。

奥さんのガミガミ声も、全く聞こえなくなった。



(どうしたんだろう………まさか?!)



次第に、ジェフはあらぬ想像を膨らませはじめる。



(もしや、あのセールスマン………口うるさい奥さんを殺してしまったのか?! )



セールスマンの動向が気になりはじめ、踏み込んではいけないと、知りつつも、双眼鏡で見張りを続けるジェフなのだが………。






何度、この映画を繰り返し観た事だろう……。


日曜洋画劇場で偶然観た、この映画で、ジェームズ・スチュワートを知り、グレース・ケリーを知り、監督のアルフレッド・ヒッチコックをはじめて知ったのだから。



グレイス・ケリーの美しさにウットリし、骨折して動けないジェームズ・スチュワートには、ハラハラさせられる。(動けないのに、犯人に気づかれるぞ、と)


看護師のステラ役のセルマ・リッターが、そんな二人の間に入って、気のきいた説教をしながらも、どこか面白味があって……。



『裏窓』は、完全に私を魅了した。




グレース・ケリーもジェームズ・スチュワートも、調べてみると、他のヒッチコック作品に出ているじゃないか!



それを知ると、今度はそれを追いかけはじめた。



次から次にと………時代は、レンタルビデオ店がアチコチに出来て、レンタル店の棚には、どこにでもヒッチコックの作品が、ズラ~と広い幅で占拠。(イギリス時代のサイレント映画まで置いてあったんだから。 本当に、まっこと良い時代でございました)



そうして、気がつけば、50本以上あるヒッチコックの映画を全て、完全視聴してしまったのだった!!(まぁ、中には多少駄作もあったけどね (笑) )



映画を観る楽しさを教えてくれたのは、『裏窓』。


偉大なヒッチコック作品の扉を開く、きっかけを与えてくれたのも、この『裏窓』だった。






最後は、ジェフが犯人に襲われて、窓から転落して、もう片方の足も骨折する。(それくらいですんだから良い方だ)


次の日、両足ギブスになったジェフ(トホホ……)の側で、優雅に足を組ながら、ファッション雑誌のページをめくるリサ。


そんなリサの、微笑む顔で映画は終わるのである。(この終わり方もオシャレ感半端ない)




今からヒッチコックを追いかける人には、まず入門編として『裏窓』をオススメします。



きっと気に入るはず。

そして、他の作品にも手を伸ばしてみようか……と、絶対に思うはずですから。




昔、自分が夢中になったように………。


星は☆☆☆☆☆です。