《長島》は、地図で見ると九州は鹿児島県阿久根市の左横に位置しているような小さな島。
ある意味、大昔は離島のような場所でもあった。
昔、渡し船なんかもあったりして、すぐ近くにある阿久根市にも自由に行き来は出来たのだが、天候が悪い日は最悪。
それも滅多に出来なくなってしまう。
台風などで何日も海が荒れた時などは、全く断絶された《孤島》と化してしまうのだった。(島で暮らす、って本当に大変だ)
だからこそ、島の人間は、本土の力を借りずに自給自足で生きていかなければならない。
島の全方位に漁港をつくり、男たちは毎日漁に出ていく。
残った者たちは海側の急斜面になっている山肌を改造して、階段状に作り変えだした。
そこを田んぼや畑にして農作物を育てる。
長島の自給自足率が今でも100%なのは、島民たちの、こんな努力の成果なのである。(驚き(´⊙ω⊙`)!)
そんな長島に、阿久根市とを結ぶ大橋が掛けられる事となった。
有名な佐藤栄作が首相の頃で、まさに日本はイケイケ状態。
莫大な予算がかかったとしても、簡単に法案が通った時代で、ある意味ラッキーなのでした。
それが《黒之瀬戸大橋》(1974年完成)。
長さ502メートル、幅10メートル、
海からの高さは30メートル近くにもなっているという、鮮やかな青色で彩られた立派な大橋である。
これで陸続きになり、観光客たちがワンサと押し寄せてはやって来て、長島は発展し、リゾート地になっていくと思いきや …… 結局、そうはならなかった。
なんと! この《黒之瀬戸大橋》、阿久根市から長島に渡る為の 《通行料》としてお金を取っていたのだ!!
片道通行料金は、小型普通車なら400円、大型普通車なら600円。
大型特殊車なら 1600円 と高額な料金である。(長島に行って、阿久根市に戻ってくる往復なら、単純に計算しても、その2倍の料金である)
世は、高度経済成長期を過ぎてバブル真っ只中。
皆んなが旅行は「ハワイだ!海外だ!」と浮かれていた時代に、何を好き好んで、何も無い島を見る為だけに、こんなお金を払ってまで訪れるものですか!
オマケに大型特殊車が通る為に、そんなに費用がかかるなら、リゾート計画に乗り出す輩も出てこないのは、ごく当たり前の事である。
結局、長島は黒之瀬戸大橋が掛かっても、あまり変わらず ……
その後、1990年にやっと《無料化》になるも、かなり遅すぎた無料化なのでした。(もはやバブルも終わっているし。それにしても政府もアコギな事するわ〜)
それでも、この《黒之瀬戸大橋》は島民たちにとっては大事な命綱。
大きな病院すら無いこの島では、簡素な診療所がポツンと、いくつかあっても、大病や急病には、とてもじゃないが対処しきれない。(それで助かる命が助からなかったケースは何件あったんだろうか)
救急搬送の場合は、阿久根市から救急車🚑が《黒之瀬戸大橋》を急いで渡ってきて、すぐさま運んでくれるようになったのだった。(良かったね)
こんな長島の予備知識をアタマに入れて、今回初めて行ってみることにした。
それにしても、阿久根から《黒之瀬戸大橋》に向けて曲がってだいぶ走る🚙のに、中々、その橋みたいのが見えてこない。(実際の距離は7キロ近くあった。こんなに遠いのね〜)
それでも我慢して車を走らせていると、いきなり目の前に現れた《黒之瀬戸大橋》😳。(橋の手前で車を路肩に停める場所さえ無い。写真すら撮れない)
あっという間に、橋を渡りきって長島について、遠目から撮影した《黒之瀬戸大橋》がコチラ↓
(取りあえず、島を海岸沿いに、時計周りに一周してみよう)と思って走り出す。
海は綺麗だし、道路も整備されているし、中々いいんじゃないの …
↑《長崎鼻灯台》、明治30年に作られたそうな。
真下は岩場でオッサンたちが釣り糸をたらしております。(何が釣れるんだろ?)
↑《長島温泉♨センター 椿の湯》(露天風呂♨巡りは、まだ続けております)。
営業時間は13時〜21時。(以前は朝9時から営業していたという)
だだっ広いセンター内の窓口には、中年のオジサンがポツンと1人だけいて、暇そうにしている。他のお客の姿は見当たらない。
「なんせ、お客さんが来なくてねぇ~ …… 」こんな心のボヤキが聞こえてきそうである。
(値段は大人でも格安の350円なのに、なんでだろ?)
入ってみると地元の年寄りが二人しかいなかった。
広々した大浴場には自分を入れて、たったの三人だけ。
だが、外の露天風呂に出てみて、何となくその理由も分かった気がした。
海の側なのに、露天風呂につかれば、生け垣が邪魔して全く海の景色なんか拝めやしない!のだった。
これは完全に大失敗である。(観光客は海を眺めながらの露天風呂を期待して来るのに、肝心の海が見えなくてどーするの?って感じ)
代わりに温泉内外でもガンガン聴こえてくるのは、有線の音楽だ♪(なんでZARDの『Good by my loneliness』を聴きながら湯につからにゃならんのだ(笑))
普段なら秘湯の紹介なんてガラじゃないので、しないつもりだったが(秘湯は自分で調べて行くものと考えているので)、でも、何だか気の毒に思えてきた。
駐車場はこんなに広くて何十台も停められるのに車は、たったの3台だけ。
よかったら、どうぞ行ってくださいませ。(一応宣伝しときます。でも有線は要らないと思いますよ(笑))
そうして車を再度走らせると、今度は天草行きのフェリー乗り場の近くに着いた。
ここから車ごとフェリーに乗って30分で下島(天草)へと渡り、そこからもフェリーで30分乗り継げば、あっという間に島原市。
そこを通り抜けると、長崎まで簡単に行ける最短ルートとなっている。(水俣、熊本を通らなくても長崎へひとっ飛びだ。↓太い赤線がフェリー・ルート)
まぁ、今回は長島探訪なので止めておいた。
しばし船着き場のそばで車を停めてノンビリする。(そばでは内海ゆえにカヌー遊びをしている若者たちも大勢いた)
海は綺麗だし、晴天だし、のどかだなぁ~、平和だなぁ~(今頃、地元ではドンヨリした天気だろうに)
で、そこから海岸沿いに再び車を走らせたのだが、しばらく走ってみて、即、後悔する。
道がよかったのはここまで。
とにかく、後は整備されていないような路面のガタガタ道へと繋がってゆく。
しかも車一台がやっと通れる道幅で、Uターンも困難な細道。
このまま迷路のような悪路を自分の【勘】だけを頼りに進むしかないのである。(ここに入ってしまったのは、完全に大失敗だった)
時間はドンドン過ぎてゆき、もはやタイム・オーバー。(こんな事なら、ちゃんと地図を見て走りゃよかったよ。ヒィ〜!)
長島とをつなぐ3つの小島も見れてない。(諸裏島(しょうらじま)や竹島、伊唐島(いからじま))😭
後は夕刻時に、ようやっと本道にたどり着き、風力発電のプロペラが見えたくらいである。
それにしても、この長島、小さな島ながらも、やたらとあちこちに小学校があるのに気がついた。(児童数が多いんだろうか?少し中学校もあったかな)
その代わり、高校とかはほとんど見かけなかった。(後で調べたら、一つだけあった高校は2007年に、とっくに廃校になったそうな)
だから中学を卒業したら、島の子供たちは近くの阿久根市などの高校に通わなくてはならない。
高校を卒業しても、地元の島では仕事も無いので他の場所に就職するか、大学に通うしかない。
島からは、どんどん遠のいていく若者たち ……
残されるのは老いていくような年寄りたちばかりである。(何とかしてやれよ!政府!)
長島が観光都市として栄える事を祈って ……
バイバイ、長島。
そのうち、また来ますね。