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2023年3月15日水曜日

映画 「何という行き方!」

 1964年  アメリカ。





変わり者の主人公『ルイザ』(シャーリー・マクレーン)は町一番の大金持ちの『レナード』(ディーン・マーティン)に求婚されているが全く興味なし。


そもそも、お金に興味なくて慎ましい暮らしにこそ憧れているのだ。



あえて、レナードを振って、貧乏な雑貨屋の男『エドガー』(ディック・ヴァン・ダイク)と結婚したルイザ。


でも、エドガーは結婚した途端、たちまち仕事熱心になり、雑貨屋は町一番の大手スーパーにまでのしあがってしまう。


ドンドン膨らんでいく財産とともに、ルイザは広い豪邸で一人ぼっちになり、孤独をもてあます。


そうしているうちにエドガーはとうとう過労死でポックリ☠️。(ゲッ!)



莫大な遺産を相続して傷心のルイザはフランスへと渡るのだが、またしてもアバンギャルドな売れない画家『ラリー・フリント』(ポール・ニューマン)と知り合って、即、結婚。



それと同時に、それまで見向きもされなかったラリーの絵はたちまち、トンデモない高値で馬鹿売れしはじめる。


(えっ …… この流れは …… (イヤ〜な予感)まさか!?)


そんな予感は的中して、たくさんのロボットを使ってメチャクチャ、ヘンテコな絵を描かせていたラリーは、ぶっ壊れたロボットの暴走で大爆発。


事故により帰れぬ人となってしまった☠️



またしても意にせず莫大な遺産を相続して未亡人になってしまったルイザ。


そう、ルイザは《上げまん↑》で、結婚した相手は必ず富裕になるのだが、同時に《下げマン↓》でもあり、結婚した相手は必ずといってもいいくらい  死んでしまうのだった☠️。(ある意味、恐ろしい女である)


自分の運命を呪い悲しむルイザ。


でも、懲りないルイザはやっぱり3度目、4度目の結婚を繰り返してしまうのだが ……





監督は『ナバロンの要塞』や『恐怖の岬』などで有名な巨匠、J・リー・トンプソン


で、主演はヒッチコックの『ハリーの災難』やビリー・ワイルダーの『アパートの鍵 貸します』などで、これまた有名なシャーリー・マクレーンである。


お話は至って単純。

惚れっぽい女性が、何度も結婚、死別を繰り返す話。


まぁ、なんて事もないロマンティック・コメディーなのだけどね。



ただ、この映画はシャーリー・マクレーンを盛り上げる為に出てくれた俳優たちが豪華なスターばかり。


いずれも主役級を張れるような男優さん達ばかりで、今となっては少々、稀少価値の映画となっているのである。



ディーン・マーティン


ジュリー・ルイスとコンビをくんだ『底抜けシリーズ』や、歌手としても有名だったディーン・マーティンは、この時から既に大スター。


この後も、007の向こうを張ったスパイ・アクション『サイレンサー・シリーズ』や『大空港』、『キャノンボール・シリーズ』と晩年まで話題作が途切れる事はなかった。(『大空港』は観ました)


多少濡れても崩れなさそうなキリキリかけたアイパーの髪形と、年中日焼けしているような色黒さが、この人のトレードマーク。


偶然なのか?

《6月7日生まれ》で私と同じ誕生日。(一気に親しみが湧くなぁ~。そのうち他の出演作も探して観てみようかしらん)



ディック・ヴァン・ダイク

(↑ディック・ヴァン・ダイク(左))



ディック・ヴァン・ダイク
は、この映画の後、大躍進する。

あの名作『メリー・ポピンズ(1965)』や『チキ・チキ・バン・バン(1968)』に出演して、一躍スターの仲間入りに。


近年ではテレビ・シリーズにも進出して、若い世代には『Dr.マーク・スローン』シリーズで知られているという。(シーズン8まで続いたそうな)

(↑ディック・ヴァン・ダイク(中央))


そうして、今(2023年現在)も、存命していてピンピンしているという。(御年97歳。ひぇ~)

この映画では最初に死んでしまう夫役だが、よもやこんなに長生きするとは!(当時は誰も予想だにしなかったのでした)



★ポール・ニューマン



この人も、この映画当時はあまりパッとしていなかったが、その後のご活躍は周知のとおり。


明日に向かって撃て!』や『スティング』などヒット作は目白押し。

ハスラー2』では念願のアカデミー主演男優賞を受賞した。


この映画では2番目の夫役だが、髭モジャでも、ダダ漏れるハンサム具合は隠せていないのでした。(売れない画家でも『ルイザ』(シャーリー・マクレーン)が惚れてしまうのも無理ないか)



ロバート・ミッチャム



ルイザが3番目に結婚するのが、この『ロッド』(ロバート・ミッチャム)だ。



狩人の夜』や『恐怖の岬』など、《バッド・ボーイ》の異名でならしたミッチャムが、こんなロマンティック・コメディーに出ているのは意外に思えるが、『恐怖の岬』と同じJ・リー・トンプソンの監督作品なのだと思えば、それも納得か。




でも、このロッドは、それまでのミッチャムが演じてきた役とは、まるで真逆な人物。


なんせ最初から大富豪💰。(自家用ジェット機まで持ってたりする)


女性に優しくて仕事もバリバリできるし、社交性も備えているという、

ある意味、完璧な人物なのだ。



《変質者》や《犯罪者》、《粗野》、《粗暴》の要素なんてのは全く無し。(ミッチャムの映画といえばこんな役柄ばかりなのだ)


本人も、(こんなのは俺の柄じゃない …… )と思っていたのか、なんだか終始照れくさそうに見えるが ………


最後、牛に蹴られて死んでしまうのは最も悲惨な死に方で、ちと可哀想☠️。(笑)




ジーン・ケリー



そうして4番目にルイザが結婚する相手が、売れない道化師をしながら生計をたててる『ピンキー』(ジーン・ケリー)だ。(ここまでくると、このルイザって女も学習しないのかねぇ~。なにも無理に結婚しなくてもいいのに)


当然、このピンキーも大出世して、ミュージカル・スターになる。



巴里のアメリカ人』、『雨に唄えば』などで、既に大スターだったジーン・ケリーの出演となれば、歌い踊るのは当然。


華麗に、躍動感のある複雑なステップを刻みながら踊っているのだが、ここでビックリするような場面に遭遇する。





シャーリー・マクレーンも踊っているのだ!(それもジーン・ケリーに負けないくらいの鮮やかなステップで)


ジーン・ケリーのスピードについていけるのも大したものだが、シャーリー・マクレーンに踊るイメージが一切なかった私は、これを観て、しこたま驚いた。(なんせ『ハリーの災難』や『アパートの鍵 貸します』しか観てないんですもんね)


調べてみると、シャーリー・マクレーンって元々バレエ・ダンサーだったらしい。(あぁ、それで)


このピンキーの最後は大勢のフアンに揉みくちゃにされて、踏んづけられて死亡である☠️。(なんちゅー死に方じゃ(笑))




ロバート・カミングス



4人の夫に先立たれて、とうとう心神喪失になったルイザは精神科医である『ビクター』(ロバート・カミングス)の診察をうけることになった。


今までの経緯を聞いていたビクターは、最初マトモそうに見えたものの、突然変貌。



「私と結婚してくれぇーー!もうイヤなんだ!家に帰っても一人で家事をやったりして、孤独に過ごすのはーー!」(気持ちは分かる)

さすがのルイザも「冗談じゃない!」と逃げまくる。

果たして、ルイザに幸せは訪れるのか ……



ロバート・カミングスは、ヒッチコックの『逃走迷路』や『ダイヤルMを廻せ』があまりにも有名すぎて、コメディーのイメージはなかったのだが、他の映画やテレビにしても、ほぼコメディーものが主流だったそうな。


万年青年顔なんて言われていたロバート・カミングス。


確かに『逃走迷路』の時が戦前の1942年で、この映画では1964年。まる20年以上が経っている。

それなのに、ほぼ容姿が変わらないのは、本人の努力だったのか、はたまた天性の魔力だったのか。

この人もご立派なスターである。



こんな色男たちが次々と、シャーリー・マクレーンに言い寄ってくるのだから、ある意味この映画は、世の女性たちの夢を体感させてくれるものなのかも。


でも、

現実なら、こんなに短期間で夫の不審死が続けば、このルイザには警察の厳しい取り調べが待っているはず。


ましてや莫大な財産が絡んでいるとすれば尚更である。


「オマエが意図的に操作して、旦那を殺したんじゃないのかー!」なんて疑惑で責められたりするはずだ。(ロボットの爆発や暴れ牛の暴走なんてのは、故意の犯罪を疑われそうだ)



現実でこんなドラマティックな出来事が続けば大変に決まってる。


そこそこの平凡が《一番の幸せ》。

そんな風に思わせてくれた映画なのでございました。

星☆☆☆。


2023年3月9日木曜日

読書 「映画評論家・町山智浩さんの《トラウマ映画館》を読んで考えさせられたこと」

 



このblogでも再三取り上げている、映画評論家町山智浩さんの書いた本《トラウマ映画館》をやっと買った。


たまたま立ち寄ったブックオフで。(定価よりお安く)


ワタシ、この本を買う前から、この本の中で取り上げている26本の映画については、世間の噂やネットなどでチラホラと耳にしたり、目にしたりしていた。


メジャーな映画ではなく、あまり知られていないようなマイナーな映画ばかりで、しかも隠れた名品を紹介しているとなれば、変わり者の自分が気にしないはずがない。


このblogでも、それらのいくつかを観ては感想を書いているので、だいぶ助けにはなったと思う。


今回買って読んでみるのは、自分の捉え方が合っているのか、違う解釈もあるのかの、いわば《答え合わせ》的なもの。


だから初めて読むのだ、この本を。


取りあえず、以前観て、自分のblogでも取りあげた第一項目の映画『バニー・レイクは行方不明』から読み進めてみると ……




えっ?

コレは大丈夫なのか?!


読んでみて愕然とした。

細かいあらすじはおろか、この本は完全なネタバレ本になっているのだ!


バニー・レイクは行方不明』に関しては、自分のblogで書く際も充分に配慮したつもり。


そのくらい、この映画には

「アッ!」と驚く意外な結末が用意されているのだ。


だが、この本は、あらすじどころかご丁寧に《真犯人》や《真犯人の動機》まで包み隠さず、ほとんどネタバレの如く、微に入り細に入り触れているのだ。


確かに、この《トラウマ映画館》の出版された当初は、いずれもDVD化されてなく観る事すら叶わなかった、いわば《幻の名品》扱いされていた映画たち。


それが、この本の出版後、それらの名品たちは続々とDVD化されていったのだ。


でも、これから「さぁ、観るぞ!」と構えている者たちには、この本は痒いところに手が届きすぎていて、あまりにも《お節介過ぎる》気がする。


他の映画の項目も(以前に観ている映画の分だけ)読んでみたが、いずれも《あらすじ》はおろか、意外な《結末》までを、ほとんど包み隠さず記しているのだ。


《どんでん返し》を知ってしまって、観る映画が面白いはずがない。(推理小説もそうでしょ?)


まぁ、かくいう私も、映画『恐怖の足跡』については、「この映画について、どう書いたらいいのやら …… 」と悩みに悩んで、一種のネタバレ的な事を書いてしまったのだけど。(だから未見の人は観た後でお読みくださいませ)


それでも、他のモノに関してはギリギリの所でコラえて、コラえて、結末なんてのはボカして書いたりして、なるべくネタバレしないように心がけているつもりである。(特にミステリー映画は気をつけないと。かの有名な映画評論家、淀川長治先生を見習ってね)


だが、この本の書き方は …… あまりにも実直すぎ。ストレート過ぎる。


と、とにかく、この本の中で挙げられている映画のリストをココにざっと書いておく。



●『バニー・レイクは行方不明』※(行方不明になった子供《バニー・レイク》は、本当に存在しているのか?が主題)


●『傷だらけのアイドル』


●『裸のジャングル』※(原住民たちに、どこまでも追いかけられる男の逃亡劇)


●『肉体の悪魔』


●『尼僧ヨアンナ』


●『不意打ち』※(自宅のエレベーターに閉じ込められたオバサマ。そこへならず者たちがやって来て …… )


●『愛と憎しみの伝説』


●『悪い種子』


●『恐怖の足跡』※(「なんで?私にだけ《ゾンビ》が見えるのー!」女性の悲劇)


●『コンバット 恐怖の人間狩り』


●『早春』


●『追想』


●『戦慄!昆虫パニック』


●『去年の夏』


●『不思議な世界』


●『マンディンゴ』※(横暴な白人が黒人に対してやりたい放題)


●『ロリ・マドンナ戦争』※(山の中にポツンとある二家族同士の凄絶な戦い)


●『ある戦慄』※(偶然同じ列車に乗った歳も人種も違う面々たち。そこへチンピラが乗り込んできて …… )


●『わが青春のマリアンヌ』※(森の中の古城に、幻のような美しさのマリアンヌがいる)


●『妖精たちの森』


●『かもめの城』


●『かわいい毒草』


●『マドモアゼル』


●『質屋』


●『眼には眼を』※(医者を逆恨みする男のネチネチした復讐物語)


●『愛すれど心さびしく』




※印はすでに観ていて、このblogでも自分なりの感想を書いているモノである。


他にも、ジャンヌ・モロー主演の『マドモアゼル』も観たのだが、トラウマどころか、あまりにも胸糞悪くて取り上げる気になれなかった。(ジャンヌ・モローがこの映画で一気に嫌いになったくらいだ)


私が観たのは26本中、10本。


中でもベスト・ワンを選ぶとすれば『ある戦慄』かな。(列車内を舞台にした集団劇。傑作である)


言っておくが、これらの映画に爽快感などは期待しない方がいい。


「心臓を素手で掴まれて、キリキリとえぐられる」ような感覚の映画群と言ったところか。(それゆえ町山氏は《トラウマ映画館》の表題にしたんだろうけど)


とにかく、これらのリストのどれかの映画を観てから、この本は手に取った方がいいと思う。


決してこの本を読んで、映画を観た気分にならないでほしい。


以前、You Tubeで《○分で映画の内容が誰でも分かる》なんて動画が挙がっていた事が問題視されたが、それに近いモノがある。


ちゃんと2時間の映画なら2時間かけて、ゆっくり観ましょう。



味気ない世の中に警鐘として書いてみた一編でございました。(これも要らぬお節介かもしれないけど)


2023年3月1日水曜日

映画 「南北酔拳」

 1979年  香港。




重い腰を上げて、ようやっとコレを観たって感じである。


南北酔拳』…… 大ヒット作『ドランクモンキー  酔拳』の正当な続編。


ただし、ジャッキー・チェンは出演していない。(これが理由で中々食指が動かなかったのだ。)




その代わり、この『南北酔拳』では、『ドランクモンキー 酔拳』で活躍した他のキャストやスタッフたちが勢ぞろいしている。




赤鼻の酔拳師範代『ソー』(ユエン・シャオティエン)は、『ドランクモンキー 酔拳』で愛弟子『ウォン』(ジャッキー・チェン)の勝利を見届けた後、3年ぶりに妻が待つ村へと向かっていた。(このジーサン、てっきり宿無しのフーテンだと思っていたら、まさか結婚していたとは!(⁠´⁠⊙⁠ω⁠⊙⁠`⁠)⁠!)



そんな同時刻、不審な二人連れがソーを探して、村までやって来ていた。

北酔拳の遣い手『ソンツォ』(ウォン・チェンリー)と、その弟子である。



「我こそは酔拳最高の遣い手なり!南にいるという、酔拳師範代ソーを見事打ち負かして、名声を轟かせてやる!!」(なんだか『蛇拳』の時と同じような目的の敵である)


そんな肝心のソーはというと …… 途中立ち寄った食堂でアベックの詐欺師に、まんまと金を盗まれて踏んだり蹴ったり。


追いかけようとするも、勘違いした食堂で働く若者『ワンハン』(ユエン・シュンイー)に邪魔されて、アベックを取り逃してしまう。


意気消沈のソーが実家に戻ってくると、妻(リンダ・リー・イン)はカンカン!


「アンタ、今の今までいったいどこにいっていたのよぉー!連絡も全然しないで!!」(まぁ、3年もほっとかれりゃ、奥さんの怒りも分かるわな(笑))



先程、しつこい借金取りを追っ払ったばっかりで、それもあってか、奥さんの怒りは頂点だ。


二人がスッタモンダで喧嘩をしてると、そこへ割り込んで来た一人の男。


なんと!

あの食堂にいた、さっきの若い青年ではないか!



「母さんも、父さんも喧嘩をヤメてよ!」

「と、父さん?!」

見も知らない男に、突然《父さん》呼ばわりされてスーは驚いた。


「オマエという女は、俺の留守中に浮気をしていたのかー!」

スーの頭は混乱して、こんな言葉を投げつけると、呆れた妻からは、即座にこんな返答が。


「バカ!《養子》だよ!《養子》!!うちは子供がいないからね。あんたがいない間に養子をとったのさ!」


「養子ねぇ~ …… 」


先程の出会いが最悪すぎたのか、ソーがワンハンを見る目つきは、あんまり好ましくない。


「そうだ!アンタ、ワンハンに《酔拳》を教えてやりなよ!」

妻が突然、突飛な提案をした。



それにのっかってワンハンも「是非、ボクも習いたいです!」という始末。

「はぁ~、なんでワシがぁ〜?!…… 」

全く気乗りのしないスー。


そんな頃、敵となる北酔拳の二人連れは、すぐ側まで来ていて ……






この上記の男がユエン・シャオティエンの本当の実子であり(映画では養子だが)、監督のユエン・ウーピンの弟、《ユエン・シュンイー》である。


今回、ジャッキー不在の続編である『南北酔拳』で、このユエン・シュンイーが実質主役を担うのだが ……… 



まぁ、それにしても地味だ。

まるで 華がないわ~(笑)。


このユエン・シュンイーが前作の『酔拳』にも違う役で出ていたらしいのだが、まるで思いだせない。(そのくらい印象薄い顔なのだ)



他の面々は即座に判別がついたのに。




★『蛇拳』や『酔拳』で宿敵を演じたウォン・チェンリーは、ここでも最大の敵役。


ただ、白髪の長いロン毛、口髭、眉毛の変装が邪魔そうで、『酔拳』の時よりも動きのキレは鈍そうに見えてしまう。





リンダ・リン・インさんは『酔拳』ではジャッキーの手強い叔母役だったが、ここでもやっぱり強いスー師範の妻役。


この垂直にピーン!と伸びる足上げは健在である。




★『酔拳』でジャッキーの兄弟子だったディーン・セキは、ここでもコメディーリリーフ。


小悪党の銀行頭取役を嬉々として演じておられます。




こんな面々が『酔拳』とは違う役で出ているのは、けっこう楽しい。




ただ、やっぱり残念なのは、この男(ユエン・シュンイー)が主役ってのがねぇ~
……




この後、スー師範はデタラメの修行をさせて、まるでやる気無し。(金が絡んでないからなのか?)


しまいには、

「オマエには酔拳の素質はゼロ!才能なし!」と冷たく突き放す。



それに ガ~ン!と大ショックを受けたワンハンは書き置きを残して家出。


《孤児の自分を養子にまでしてくれて、今までありがとうございました。さようなら …… 》(この置き手紙、案外ホロリとさせる)



で、普通なら後悔した『ソー師範』(ユエン・シャオティエン)がワンハンを追いかけていって、もう一度、酔拳の修行をさせると思いきや、この映画ではそうはならない。

トンデモない展開が待っているのだ。




ワンハンが偶然出会った、顔色の悪そうな、この怪しげな男↓



この男を師匠にして、病人拳なる拳法を学ぶ事になるのだ!(凄いネーミングの拳法だ)



それを会得するためにワンハンは修行、修行の毎日をおくりはじめる。(でも、「病人が修行して健康的に強くなるなんて、どんな理屈やねん!」って話だ(笑))



見事、《病人拳》を会得して、強くなったワンハンは、苦戦しているスー師範を助け出し、北酔拳の刺客二人を打ち負かした。



ただ、唯一の誤算は 本物の病人になってしまったこと。



北酔拳の最大の敵『ソンツォ』(ウォン・チェンリー)を倒した後も、誰も彼もがソンツォに見えてしまう幻覚がはじまるのだ。(こんなデメリットがあったとは)



錯乱状態のワンハンは、たまたま側に立っていた『スー師範』(ユエン・シャオティエン)に飛びかかって襲いはじめる。


「ま、待て!ワシだ!分からんのか?!ヒィーー!!」


ワンハンの攻撃から逃げまどうスー師範。

映画はここで《劇終》となる。………





全く酒の呑めないワンハン青年、それに《病人拳》なる珍拳法 ……



《酔拳》のタイトル、ほぼ関係ないじゃん!(笑)




こんな映画でも、前年の《ドランクモンキー 酔拳》の余波なのか、当時は興行収入ランキングで10位にくい込んだそうな。(あり得ない)



でも、私の感想は星☆☆。

『酔拳』を楽しめた人には、「こんな後日談がありましたよ」ってところで、大甘に見ても星☆☆☆。



つくづく「ジャッキー・チェンが出演出来てればなぁ~」と思わずにはいられない。(後年『酔拳2』なんて映画が作られるが、全然『ドランクモンキー 酔拳』の続編ではない)



でも、当時のジャッキーにユエン・ウーピン監督の映画に再び出る事は不可能だったのだ。(※詳しい事情は、2022年10月に、このblogで書いた《人物 「ロー・ウェイ」》を参照くだされませ)





尚、このユエン・シュンイーさんの主役はこれっきり。


後に見かけるのは、ユン・ピョウ主演の映画『ツーフィンガー鷹(1981)』。

こんな凶悪顔でお見かけする事になる。




華のない主役をつとめるよりも、印象的な悪役へと活路を見出したのだろうか。



本当に俳優さんたちの仕事も大変である。

長々、お粗末さま。(↓たった数年でいったい彼に何があったのだ。とにかくスゲ~顔だ(笑))